フィクションなどから拾う情報処理用語? その43 ジェンダーレス (翔べ! 必殺うらごろし)

翔べ! 必殺うらごろし 第2話 「突如 奥方と芸者の人格が入れ替った」(脚本:野上龍雄、監督:森崎東)より

 

一応、前回の続きであるが、例によってバッサリ削って一気に終盤である。

上州漆ケ原の代官の妻である琴路(小山明子)と若(和田アキ子)が話していた。代官の悪事を承知しながら代官の元へと戻る琴路を見かね、若は琴路に忠告したが琴路は聞き入れようとせず、挙げ句の果てにはこんなことまで言ってしまった!

琴路「女子の気持ちは男の其方にはわかりません!」

ガーン!

と言う音はもちろん入らないが、その代わりに若がドアップになった。演者から察しがつくとは思うのだが、若は女性。世を拗ねて男装しているのだが女性なのだ。蛇足になるかもしれないが、2023年3月1日14:02時点のWikipediaから引用しよう。

男装の女性。大柄な体格と人並み外れた怪力を持つばかりに女扱いをされず、世を拗ねて、男として生きることを決めている。旅の途中で出会った先生の力を目の当たりにし、彼に弟子入りする。粗野な言動が目立つが、実は心優しい人情家で涙もろい。料理や裁縫も得意で、下手な主婦顔負けなほど。博打好きなようで、正十と一緒や単独で賭場に出入りする場面が多い。
先生の弟子となっているが、あまり一緒に修行はさせてもらえていない。一人で山ごもりなどしている時もあるようだが、術の類は一切使えず、先生のように自然食だけで生きるということもできないため、普通に握り飯などを食べている。
殺しもするが、正十と共に情報収集を任されることも多い。先生に倣い、報酬は受け取らない。
終盤は登場機会が減少し、最終話も病気で寝込んだという設定で、冒頭と末尾に登場するのみである。これは演じた和田の体調不良により取られた措置だったことが後年に明かされている。最終話、一人あてもなく旅立つ様子がラストシーンとして使用された。
演じた和田はオファーが来た当初は「時代劇に出られる」と聞いて、大奥のような優雅な役を想像して喜んでいたが、設定が男と間違われる大女で、さらに殺し方も相手をひたすら殴り殺すということを聞かされ、ショックを受けたという。また「殺しのシーンを綺麗に撮影してくれたことは非常に嬉しかった」とも述べている。
用意された衣装(刺し子)のうち、未着用のものが、後番組の『必殺仕事人』の秀の初期衣装に転用されている。

結構、女性らしさも見せるのだが、姿形は和田アキ子さんそのままの姿で殺し技も撲殺すなわちボクシングなのである。殴って殴って殴りまくって殺すのが基本なのだが、ただそれだけ。被害者の恨みを叩きつけているかのような殺し技でこれも恐かったのかもしれない。もっとも和田アキ子さんは一生懸命演じたわけだけどね。

こういうジェンダーレスの考え方は当然江戸時代にはない。なので琴路の発言は無理もないのだが、若は衝撃を受けたのも事実だろう。若は黙って琴路を見送るしかできなかったのであった。