フィクションなどから拾う情報処理用語? その28 サンドボックス (仮面ライダーBLACK RX)

仮面ライダーBLACK RX 第4話「光の車ライドロン」(脚本:江連卓、監督:蓑輪雅夫、アクション監督:金田治 (C)石森プロ、東映)より

南光太郎は光の車ライドロンを作っていた。設計図通りに作った(はずな)のにライドロンは全く動かない。微動だにしない。なんで? なんでライドロンは動かないの? (チコちゃん談)

でまあ本当に色々あった末、光太郎はこう言った。

南光太郎「そうだ。ライドロンをあそこに連れて行けば。」

あそこってどこ? そういえば「大都会 PARTII」で松田優作演じる徳吉がこう言った。

徳吉「黒(岩)さん、あそこ行きましょうよ。」

そのあそこではない。松田優作もふざけていたが私もふざけ過ぎだ。閑話休題。そこへクライシス帝国の刺客ガンガディンがやってきた。結城丈二もとい大門豊が電人サボーガーに命令を出して戦わせたデス・ガンダーやらヘルガンダーやらブル・ガンダーやらを小さくしたような姿なのだ。全くの余談だが、映画版の監督を務めた井口昇さんは大月俊倫さんの猛反対を押し切ってブル・ガンダーを出した。曰く、ブル・ガンダーを出さなかったら、電人ザボーガーではない。この話を聞いて私は映画を観に行くことを決めた。やはり私はバカである。もっとも、映画は原作への愛が炸裂していたが井口昇監督独特の異常な作風も炸裂していた。

閑話休題。この状態でどうやって「あそこ」へライドロンを運ぶのか? と思う間もなくガンガディンが突入。何故か南光太郎がいない。ライドロンとアクロバッターがいるだけ。

ガンガディン「これがライドロン。RXめ。俺を恐れて大事なものを捨てて逃げよった。あのライドロンを木っ端微塵にしてくれる。」

この短慮が後に敗北を招くのだが、ガンガディンも視聴者もこの時点ではそこまではわかっていない。さてアクロバッターが動き始めた。無謀にもガンガディンに体当たり。

ガンガディン「お前から先に破壊してやる。」

それにしてもアクロバッターはなぜガンガディンに体当たりしたの? そこまでガンガディンが考えれば良かったのだが、ガンガディンの頭は「目の前にあるライドロン」破壊でいっぱいだ。注意がアクロバッターの方へ行ってしまった。でいつの間にか、外へ出てしまった。アクロバッターは倒れたが、また起き上がって体当たり。この撮影、どうやって行なったのかが興味深いで。当然、当時のCGではそこまで表現できないので人力(?)だ。とそこへ機甲隊長ガテゾーンがオートバイに乗ってやってきた。曰く

ガテゾーン「ガンガディン、アクロバッターは俺が引き受けたぜ。」

と言うわけでガンガディンはアクロバッターを振り切り、ライドロン破壊に成功…したかに見えた。なお破壊した場所は採石場。わざわざあそこへ運んだのだ。どうやって運んだのかねえ。

政宗一成「ライドロンはたった一度も地上を走ることなく爆破されてしまったのであろうか? いや、そうではない。敵の到来を察知した光太郎がアクロバッターと策を立て、秘密の地下通路から運び出していたのである。仮面ライダーを愛する諸君、君たちは一度死んだ仮面ライダーBLACKがクジラ怪人によって奇跡的に蘇った、聖なる海の洞窟を覚えているか。ここがその場所だ。光太郎はライドロンに命を与えるべく再びここに来ていたのだ。」

あの大きなライドロンをどうやって運んだのかは謎だが、ライドロンと光太郎がいる場所は、そこだ。あそことは聖なる海の洞窟だったのだ。なお、徳吉刑事が言った「あそこ」がどこなのかは定かではない。多分、松田優作が渡哲也や石原裕次郎達と行って酒を飲んだりした、あそこなのだろう。

南光太郎仮面ライダーBLACK RXに変身し、ガンガディンと戦闘開始。何気に凄いアクションを岡元次郎さん(でしょう)もといRXは見せるが、やはりガンガディンは強敵だ。なにしろ結城丈二もとい大門豊が電人サボーガーに命令を出して戦わせたデス・ガンダーやらヘルガンダーやらブル・ガンダーやらを小さくしたような姿。自動車繋がりだ。

仮面ライダーBLACK RX「ライドローン!」

と叫ぶや否や、その時、不思議な事が起こった…と言うセリフを今回は政宗一成は一言も喋らなかったが、そういう事が起こった。ライドロンが始動したのだ。RXのところに駆けつけた。

仮面ライダーBLACK RX「ライドロン、命を持ったのか?」

なんとライドロンは喋るのだ。アクロバッターみたいだな。

ライドロン「RX、私はライドロン。お前の同志。」
仮面ライダーBLACK RX「お前は俺の同志。俺の友達だ。」

想定外の事態に、当然、ガンガディンは驚いた。

ガンガディン「そんなバカな。ライドロンは俺が爆破したはずだ。」

RXは種明かしを始めた。

仮面ライダーBLACK RX「ガンガディン、お前が爆破したのは偽物だ。」
ガンガディン「なに!」

要するにサンドボックスを設けたのだ。これにガンガディンはモノの見事に騙されたのだ。

仮面ライダーBLACK RX「本物は聖なる海の洞窟で命を与えられ、ここにある。ガンガディン、俺とライドロンを見事に倒してみるか。」

皆さん、もう結末は分かったよね。新・必殺仕置人第41話「解散無用」(脚本:村尾昭、監督:原田雄一 (C) 松竹)で中村主水がこう言っていた。

中村主水「そう、あんたの思った通りだよ、師岡さん。」

と言うわけで仮面ライダーBLACK RXはライドロンに乗り、ガンガディンを攻撃。ガンガディンはリボルケインで倒されたのであった。