フィクションなどから拾う情報処理用語? その122 プロ根性(必殺仕掛人)

必殺仕掛人 第1話「仕掛けて仕損じなし」(脚本:池上金男、監督:深作欣二 (C) 松竹)より

 

工藤栄一監督もそうだけど深作欣二監督も東映にゆかりの監督。その監督が京都映画の作品を撮っていたとは面白い。だから後に(当時の)JAC必殺シリーズに参加したりしたのかなあと思ったりもする。

さて本題。伊勢屋勝五郎(浜田寅彦)からの依頼を受けた音羽屋半右衛門(山村聡)は辰巳屋(富田仲次郎)殺しを仕掛人で鍼医者としての顔も持つ藤枝梅安(緒形拳)に依頼。

藤枝梅安「妾通いの一人歩きか。どうも色事ってのは命取りだなあ。お互いに気をつけなくっちゃいけねえ。」

とまあ、屋根の上から様子を伺いながら余裕たっぷりに針を選んでいた梅安。一本選んで口に咥えた。この口に咥えるのは緒形拳さんのアドリブらしいけど以後定着した。そして屋根から飛び降りて辰巳屋をやろうとした、ちょうどその時、そこへ変な笹笛の音が聞こえて怪しい浪人西村左内(林与一)がやってきて、こんな事を言い出した。

西村左内「町人。」
辰巳屋「へい。」
西村左内「気の毒だが、命をもらう。」

当然、辰巳屋は驚き、土下座までして命乞いするのだが

西村左内「銭金ではない。これが俺の病でなあ。」

なんという危ない浪人。辻斬りが趣味らしい。まあ考えようによっては、うまくすれば何もしなくてもお金が入るぞ…とは梅安は思わなかった。

藤枝梅安「冗談じゃねえや。折角の獲物を辻斬りなんかに横取りされてたまるかい。」

危険な仕事をやるからには自分でやりたいと言うのはプロ根性というものでしょう。藤枝梅安先生もそういうプロ根性を持っていたのである。だから銭金にはうるさいのだが、心がこもっているお金を受け取ってしまえば少額でもやってしまうのもプロ根性。そういうものを皆さん、お持ちでしょう? え、持ってない。ああ、そうですか。そういう人がいることも私は否定するつもりはありません。人それぞれですからねえ。でも私は藤枝梅安先生みたいなところもあるけどね。

それは兎に角。かくして藤枝梅安は西村左内と戦闘開始。結局、辰巳屋は逃してしまう結果にはなってしまったが

藤枝梅安「あばよ、さんぴん。」

西村左内は梅安を追いかけようとしたが、草履にはしっかり針が刺さっていたので追いかけるのをやめた。

西村左内「恐ろしい奴。」

後に仲間となるとは二人とも知らないのであった。

さて藤枝梅安は鍼医者としても良い腕を持っていて、銭金抜きで貧しい病人を治療したり患者の家族を心配する人情家としての面もあるのだ。食い道楽でもあるんだなあ。