宴会(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第5話 「王手無用」(脚本:安倍徹郎、監督:工藤栄一 (C) 松竹)より

紆余曲折の末、中村主水も仕置に参加。煙詰が解けずに悩む疋田兵庫(菅貫太郎)は外へ誘い出されて解説を受けた後、

伊藤宗看(伊藤果)「この玉はあなたの命だ。」

と言われた兵庫は念仏の鉄に取り押さえられて窓のところまで連れ出され

中村主水「疋田さん。あんたを守るのが私の役目だ。だがあなたは少しやりすぎたようだな。死んでもらうぜ。」

そして障子越しに刀で刺されて疋田兵庫は殺された。事件は「疋田兵庫の自害」として処理された。

後日。鍋を2人でつつきながら

中村主水「あの初津(横山リエ)って女は宗看(伊藤果)のなんだったんだ?」
念仏の鉄「旦那も鈍いね。」
中村主水「は?」
念仏の鉄「ただの女弟子に高い銭使うかよ。五十石五人扶持の将棋所がよ。」

やっと主水が合点がいった。

中村主水「そうか。それじゃあ、おめえ、あれは宗看の(小指を立てて)これだったのか。」

頷く鉄。鍋を食べながら

念仏の鉄「だから虎に頼んだのよ。五十両も大枚を使ってな。」
中村主水「なるほど。」

どっかで聞いたようなやり取りだが攻守交代している気がするよ。さて主水は一番気になる話を始めた。

中村主水「おい。後金はちゃんと出たんだろうなあ。」
念仏の鉄「出た。」
中村主水「一人頭十両だったな。」

だが

念仏の鉄「お前、五両だ。」

計算が違うぞと思った主水はこう言った。

中村主水「何を?」
念仏の鉄「今度の仕事は煙詰だ。1人ずつ順繰りに消してってお前さんがやったのは最後の詰めだけだ。」

ここで鉄は取り皿を置き、主水に分け前の五両を渡した。そして主水は言った。

中村主水「これはねえだろう、おい。」
念仏の鉄「これはねえだろうって、お前、障子の間から刀突き出しただけじゃないか。あんなのはバカでもできる。それとよ。」

何を言うのかと思えば、食事をやめて立ち上がり

念仏の鉄「どうも御馳走さん。うまかったあ、トラフグ。勘定頼むぜ。」

唖然とする主水を置いて鉄は出て行った。さて鍋の中は

中村主水「なんだこら。あの野郎、菜葉だけ残して行きやがった。やっぱり鮟鱇にするんだったなあ。」

後悔する主水であった。