模倣品(暗闇仕留人)

暗闇仕留人 第8話 「儲けて候」(脚本:安倍徹郎、監督:松本明 (C) 松竹)より

あらすじは便利なこのサイトより引用。

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第8話「儲けて候」1974.8.17

 警護に駆りだされる諸藩に鉄砲売って大儲けの武器商・堺屋、品不足の売り手市場に小藩などは歯牙にもかけぬ勢い。裏では木作りのフェイクを売り捌き、これをネタに脅したちんぴらは虫けらのように始末され、女を餌に抱きこんだ鉄砲鍛冶も用済みになれば女ごと始末。表の手柄にしようと図った主水の思惑は仲間に止められ仕置に入る運びとなる。

 ロケ地、堺屋を強請る芝居小屋の定八、大覚寺護摩堂脇。鉄砲鍛冶と堺屋の妾が始末される芝口鉄砲場、広沢池東岸。仕置も同所。
*堺屋に津川雅彦、欲深・色悪・酷薄と三拍子揃ったワルを熱演。仕置される際にはわたわたと見苦しく騒ぎ、土下座を装い貢を水中に引きずり込んだりと悪あがき。断末魔は「あェやー」、止め絵が二つに裂けるという演出。*糸井貢、市中でブーメランを見て殺し道具に新工夫の撥を用いる。

今回の主な標的は堺屋利兵衛(津川雅彦)。松本明監督とはお友達でその線からの配役なのは間違いない。又蔵(長谷川明男)は主水と関わりがあり、定八(工藤堅太郎)と仁助(牧冬吉)は糸井貢と関わりがある。

又蔵は近江国友村の鉄砲鍛冶。浦賀へ行って黒船の元込め銃の図面を手に入れることに成功するが、北町奉行所に捕まってしまった。だが堺屋は片岡(唐沢民賢)を通じて北町奉行所とも関わりがあり、その情報を察知。さらには「俺の女」ことお涼(赤座美代子)に「手を出した」罠に嵌められた事により足抜けができなくなった。

一方、定八と仁助は木造りの偽鉄砲を堺屋が作っている情報を得て接触。強請りにかかるが堺屋の方が一枚上。定八と仁助はあっさり消されてしまった。その直後、貢は三味線のバチを2枚組み合わせてブーメランのように遊んでいるのを目撃。

一方、又蔵はお涼を愛してしまい、足抜けを考えるまでになってしまった。だが最終的に又蔵とお涼は消されてしまったが、そこまでの堺屋も交えた凶悪なやり取りも見所の一つ。まず堺屋は「お涼の喜ぶところ」を教えてやると言い

堺屋「又蔵、観るんだ!」

というセリフが酷すぎる。堺屋のお涼への「愛撫」を又蔵は静止できない。その後、

堺屋「又蔵、確かに渡したぞ。」

又蔵とお涼は国友村へ向かう道中

堺屋「土産をな、もう一つやるのを忘れてた。」

と遭遇してしまい、短筒を渡されたが弾倉に弾は入っていなかった。

堺屋「悪かったな。(先ほど渡した短筒の)弾を渡すのを忘れてしまった。やるから持っていけ。」

と始末されてしまった。これをおきんが目撃していた。主水とおきんと大吉が話す最中(主水は手柄にしたがるがおきんと大吉は裏の仕事にしたがる)に貢登場。

糸井貢「堺屋は私がやろう。」

その後に語る理由が本当に青臭い。

糸井貢「小屋の男が殺されたんだ。何の取り柄もないつまらん奴だった。平穏な一生を終えていい奴だった。あの男をやった堺屋、生かしてはおけん。」

これが決定打になり、裏の仕事になってしまった。仕留料は堺屋が使用した短筒を売り払って調達することになった。

まず貢が堺屋に乗り込んで短筒を売りつけて「10両」の半金「5両」を入手。堺屋には

糸井貢「残る半金は今夜芝口の鉄砲場でな。」

と言い捨てて去る。そして用心棒を連れて芝口へ向かう堺屋の前に主水が現れ、堺屋の目の前で用心棒を斬るのだが堺屋は短筒を主水に構えた。

堺屋「同心にしちゃあ、いい腕してるじゃないか。だが、頭が悪い。さあ、刀を捨てて。手をあげなさい。(主水、両手を挙げる)番頭さん、手伝ってあげなさい。」

主水は無策すぎやしないか? だが、これは罠。この後、色々と偉そうなことを堺屋がほざいて主水に短筒を突きつけている最中に何かが飛んできた。貢がバチを2枚組み合わせて作った「ブーメラン」である。堺屋の手に命中して堺屋は短筒を落としてしまった。主水は堺屋の用心棒を斬り、番頭は大吉にやられ、そして堺屋。堺屋は逃げ回ったが、貢と対決。なんと堺屋は川の中で土下座を始めた。

堺屋「すまねえ。俺が悪かった。勘弁してくれ。この通りだ。」

やはり迷いがあるのか貢はバチを懐にしまった。堺屋は小判まで出して渡そうとまでするのだが、それは罠。貢を突き倒して上に乗って押さえつけた。窒息死させようというのだ。貢がぐったりしたのをみて笑い出したが、次の瞬間、斬られて、堺屋の止め絵も真っ二つ。直後の貢の顔は晴々しているように見えた。やはり仕留人の主役は糸井貢だと思うけど殺し屋にはなりきれなかった感じがこの話でもするのだねえ。