デバッグ(必殺仕置人)

必殺仕置人 第14話「賭けた命のかわら版」(脚本:三芳加也、監督:工藤栄一 (C) 松竹)の脚本について、松原佳成さんの貴重な証言がこちらの本に載っていたので引用しよう。

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松原 私は『必殺』では、他のライターと異なる立場だったんです。亡くなられた仲川利久プロデューサーからの依頼でしたが、もともと朝日放送大阪テレビだった時代から脚本を書いておりまして、昭和40年にメインライターに指定されて30本ものの時代劇をずいぶん頼まれました。

(省略)

その次の『必殺仕置人』(73年)も何本か直しています。三芳加也というライターのホンを直せというので当人に会ってみると、かつて松浦武郎門下にいた後輩のペンネーム。あれは石井孝芳といいまして、大田区パーマ屋の息子です。このときだけは同門のよしみで直し料はもらっておりません。(省略)音楽の平尾昌晃さんの紹介で書かせてもらったと言っておりました。それ1本きりだったと思いますが。脚本料は基本的には松竹の支払いですが、わたしの場合は朝日放送でした。当時、わたしは朝日放送から助っ人相談料みたいな給付を毎月もらっていて、会社には原稿用紙つきの机がありました。ですから『必殺』の場合も全体がどのような経過になっているかをプロデューサーと同じ視点で見通せていたんです。

なんと必殺シリーズでは脚本のデバッグ担当者が朝日放送に控えていたのだ。なお松浦武郎さんは曽田博久さんの師匠でもある。曽田さんは『影同心II』の脚本を書いている。それは兎に角、いわゆる前期必殺シリーズの品質が高かった理由の一端がわかったような気がする。

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