フィクションなどから拾う情報処理用語 その30 情報漏洩 (アルセーヌ・ルパン)

パリの高校生イジドール・ボートルレはボートルレの友人のところに居候し、果敢にもアルセーヌ・ルパンに戦いを挑んだが、常に裏をかかれていた。その理由をなんとルパン自身が明かしてしまった。

以下は「奇岩城」モーリス・ルブラン著、平岡敦訳、ハヤカワ・ミステリ文庫からの引用である。

ルパンはボートルレの前に立った。「でもこんな話をしたら、きっときみは泣き出すだろうな。どうやってわたしがきみの動向をつかんだのか、わかるかい?マシバンがきみに書いた手紙や、今朝ヴェリーヌの城で待ち合わせたことを、どうやって察知したのか?実は友達が漏らしたのさ。きみは友達の家に泊めてもらい……あのお調子者に何でも打ち明けている。するとやつは、さっそく恋人に話してしまう……そこからルパンへ筒抜けってわけだ……変なことを言ったかな?どぎまぎしてるじゃないか……おや、目が潤んでいるね……友情が裏切られたのが、そんなに悲しいのかい……本当にかわいいね、きみは……思わず抱きしめたくなるよ……いつも驚いたような目をしているのが、胸に迫るんだ……ガイヨンでわたしを訪ねてきた晩のことは、忘れられないな……もちろんあの公証人は、わたしだったのさ……だから、さあ笑って……さっきも言っただろ。きみには笑顔がないんだ。そうきみには……何ていうか……《磊落さ》が欠けている。《豪放磊落》がわが信条なんだがね」

つまり情報が漏洩していたのである。

イジドール・ボートルレ → ボートルレの友人 → ボートルレの友人の恋人 → アルセーヌ・ルパン(の部下?)

となっており、ボートルレの友人がセキュリティーホールだったのであった。

これに懲りたボートルレはボートルレの友人のところから出て行ったのであった。