挨拶(あまちゃん)

あまちゃん 第7週「おらのママに歴史あり」第41話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

時間を取れ(ずと言って実際は時間を取ら)ずにズルズル行くうちに黒川正宗(尾身としのり)がいつの間にか北三陸にやってきて天野家に居座って北三陸の会社に就職し、天野忠兵衛(蟹江敬三)も就職し、「潮騒のメモリー」という歌まで飛び出してしまったのだが、全体を俯瞰すると見過ごせない大きな出来事が起きた。

さてリアス。いつも琥珀ばかり磨いている小田勉(塩見三省)の左隣に若い男(松田龍平)が座って同じく琥珀を磨いていた。ところがリアスにいた誰もそれに気づかず、好き勝手な事を話していた。それくらい、勉さんは目立たない存在だったのだ。だがかつ枝(木野花)が気づいた。

長内かつ枝「ところで勉さん、その人は誰だい?」
小田勉「やっと気づいた。あのね、なんというか、弟子。」

全員、驚いた。なお店番は天野夏(宮本信子)。客は今野あつし(菅原大吉)、今野弥生(渡辺えり)、そして吉田正義(荒川良々)。弟子は立ち上がった。

水口琢磨「ご挨拶遅れてすみません。今日から、勉さんのところに弟子入りすることになりました、水口琢磨と申します。」

皆、挨拶した。勉さんは目を輝かしてこういった。

小田勉「ゆんべ、いきなり訪ねてきてなあ、琥珀の魅力について朝まで語り明かしたんです。」
水口琢磨「大学で考古学を勉強していたんです。」

本放送当時、この時点で私は流して気にもしていなかった。だって他にイベントが目白押しだったから。だが

今野弥生「怪しい。」

その理由は

今野弥生「琥珀掘りたいなんていう若者、いるわけがねえ。さてはおめえ、スパイだな。」

この問いを受け勉さんは水口を見た。弥生の直感が続く。

今野弥生「八戸から来たスパイだな。まちおごすの探りに来たんだべえ。」

だが正義がこう指摘した。

吉田正義「仮にスパイだとしても勉さんの近くにいて何かメリットありますか?」

いやあるんだなあ、これが。だが

長内かつ枝「ねえな。」

一同大笑い。こうして水口は北三陸の人への挨拶を済ませたのであった。彼が天野アキ、天野春子、黒川正宗などの運命を変えるとは誰も思っていなかったのであった、水口自身も含めてね。