不正(必殺仕置人)

必殺仕置人 第25話「能なしカラス爪をトグ」(脚本:鴨井達比古、監督:工藤栄一 (C) 松竹)より

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第25話「能なしカラス爪をトグ」1973.10.6

 半次が憧れ、ほのかな恋情を抱いていた貧乏旗本の娘・秋絵は苦学生の弟・和馬の世話をずっと見てきた苦労人。その弟は難関を突破し晴れて湯島の学問所に。しかし落ちた長崎奉行・松坂の馬鹿息子、その母は合格者に欠員を作り息子を押し込もうと謀り、和馬を暗殺する挙に出る。前後の事情から松坂邸に赴き、弟の仇と馬鹿息子に斬りかかる秋絵だが用心棒に敢無く始末されてしまう。二つになった棺桶の前で、半次は秋絵が半次に世話になった礼として遺した金を仕置料として置く。
*半次は錠と共に松坂邸へ乗り込み、馬鹿息子を育てた母を詰り毒づく。こんなことしてもあの姉弟は帰ってこないと感情を爆発させる半次の姿が哀れ。殺しは行われず立ち去る。鉄は馬鹿息子の叔父の書院番頭と用心棒を他所で仕置。

ロケ地
・塾の門、京都御所九条邸跡・拾翠邸。塾からの帰り姉弟が渡る橋、京都御所厳島神社九条池の橋。
・湯島学問所、大覚寺明智門。
・数馬が暗殺される内藤家菩提寺、くろ谷か永観堂か。
・松坂邸、不明。
・馬鹿息子と金引き替えの浅草明神下榎、今宮神社高倉。鉄は梁にいて様子を窺っている。
・ラスト、仕置帰りの鉄が橋下に佇む半次に「千両箱」放り投げるのは中ノ島橋。

今回の主役は実質的にはおひろめの半次である。雨宿りしている時に傘を貸してくれたのがきっかけで内藤秋絵(島かおり)に惚れてしまい、学問に精を出す弟の内藤和馬(三木豊、のちの津山栄一)も応援する。和馬は無事湯島の学問所への入学が決まった。半次は錠、鉄などへ一両を借りに行ったのだが断られ、仕方なく主水ところへ。主水がへそくりを隠しているところから一両を出すのをりつにみられ、へそくりの隠し場所がバレて一騒動あり、主水は腰を打って寝込んでしまった。なお、彼の出番はこれだけなので可哀想。

だが、学問嫌いな学友の松坂隆之助(坂本友章)が落ちてしまい、母の吉乃(浅茅しのぶ)が怒り狂ったところから話の流れがおかしくなった。吉乃は兄の書院番頭 小沼土佐守(入江正徳)と一緒に林大学頭宗春(入江慎也)から欠員が出れば入学できると聞き、暴挙に出た。

まず小沼は使いをやって秋絵を説得して入学辞退をさせようとしたのだが、秋絵は断った。そのため、小沼はを人を差し向け、和馬を斬るという暴挙に及んだ。前後の事情から松阪邸へ乗り込んだ秋絵も用心棒 黒川兵庫(浜伸二)に斬られ、死体は簀巻きにされて返された。そして半次に託されたお金(切餅一つこと二十五両)が仕置料となった。今回、鉄砲玉のおきんは登場しない。

鉄はバカ息子隆之助を拉致し、半次と錠とともにバカ息子隆之助を責めまくった。刀を抜いたので

棺桶の錠「刃物はよした方がいいなあ。」

にビビりまくる。さらに半次からも折檻されて漏らす始末。結局、バカ息子は書状を書かされ、松阪家に脅迫状が届けられた。身代金は千両。

そして取引の場。小沼と黒川を鉄が待ち受ける。

そして半次は錠と一緒にバカ息子を棺桶の中に入れて松阪邸に乗り込み、バカ息子と棺桶の蓋を開けた母吉乃を「言葉で仕置」する。

おひろめの半次「おめえはな二人の息子を殺したんだ。このクソババア。」

他にも言葉で責め立てる半次だったが

おひろめの半次「だがな、そんなこと言ったところで、あの姉弟はもう帰ってこないんだよ。」

と立ち去ったのであった。

場面変わって取引の場。鉄は黒川、小沼達を仕置したのであった。なお千両箱の中身は石だらけ。

念仏の鉄「半公、こいつらのすることはこんなもんだ。」