団体交渉(あまちゃん)

あまちゃん 第9週「おらの大失恋」第52話(脚本:宮藤官九郎、演出:西村武五郎 (C) NHK)より

さて北三陸高校潜水土木科だけでなく海女クラブにも大きな動きがあった。天野家のあの部屋でアキ(のん)にユイ(橋本愛)が水口(松田龍平)が芸能界のスカウトではないかという疑惑を話してから「潮騒のメモリー」を一緒に歌った時の事を思い出した日の夜、アキは漁協にいた。

花巻珠子「潮騒のメモリーのメモリーだな。」
天野アキ「え?」
花巻珠子「何でもねえ。まめぶ汁食え。」

アキはそのまま残ることにした。さて漁協にいたのは海女クラブの他には長内六郎(でんでん)と水口琢磨(松田龍平)。六郎はかつ枝のそばに座り、水口は熊谷美寿々(美保純)のそばに座っていた。なるほど。水口が美寿々の誘いに乗った理由が何となく理解できたが、それは先の展開を知っている人だから思う事で当時の私は気がついてはいなかった。何しろ

熊谷美寿々「彼(水口)は良いべえ。無口だし、琥珀にしか興味がねえから。」

という先入観が未だ残っていたからだ。そして大人達は酒を飲みながら話し始めた。天野アキの人気のおかげで海女ブームが起きている事が自然と話題になっていた。それを水口もしっかり聞いていた。そして取り分の話になり

水口琢磨「それ、搾取し過ぎでしょう。」

と取りようによっては水口が質問までしている始末。だが誰も気づかず、美寿々も弥生(渡辺えり)も六郎に噛みついていた。それを宥めすかす六郎。

長内六郎「あのなあ、これは観光協会に相談せねば。」

だが

長内かつ枝「あのなあ、海女の稼ぎはなあ、海女に還元すべきだべえ。」

という意見が飛び出てしまった。そして

天野夏「アキ、アキ、おめえ、どう思う?」

から話の流れが変わってきた。

天野アキ「どうって、おら、まだ一個しか獲ってねえし。」

すかさず

水口琢磨「え?」

するとペラペラとその時の話を美寿々が話し始めた。

熊谷美寿々「そうなのう。夏の終わりに一個獲ったきりなのう。」

それで水口は合点が行った。

水口琢磨「ああ、だからあんなに喜んでたんだ。」

水口は足立ヒロシ(小池徹平)がホームページに貼り付けた動画を思い出していた。弥生と美寿々は「去年の年収、100円だもんなあ。」と笑った。ちなみにウニ1個で500円なのだが、そのうち200円を漁業協同組合に納めて、さらに200円を北三陸観光協会に納めるので天野家の年収はその程度になってしまうのである。だがそれがきっかけで話が思わぬ方向へ向かうことになる。

アキ「おか(陸)さいで、みんなが潜ってるの見でる方が多がった。それで思ったんだが、海女さんが潜ってる間、お客さんが寛げる場所があったらいいなあって」
一同「ん?」
アキ「待ってる間、意外と暇だべ。だから他に何が食べるもの売ったり…」

そこから話が進み、「海女カフェ」を開設して一年中営業しようとする話に発展したのであった。

翌朝、海女クラブに天野アキを先頭に乗り込み、北三陸観光協会で団体交渉が行われるのであった。

天野夏「夏までに何らかの回答がなければ、今年は潜んねえぞ。」

これを聞いて呑気にも

菅原保「海女ストライキだよ、これ。」

と言う保であったが、さてどうなるのかは今後の映像をお楽しみに。