なりすまし?(特捜最前線)

『特捜最前線』第12話『地獄に墜ちる愛』(脚本:江連卓、監督:松島稔、助監督:稲垣信明、(C) 東映)より。

東京湾に男の死体が発見されたと言う知らせが特命捜査課に入った。今回は吉野竜次(誠直也)が主役である。吉野と桜井哲夫警部(当時の階級で演じるのは藤岡弘、)はヘリコプターに乗り込み、死体を探索し、死体を発見。死体はゆすり屋の中条だと判明した。死因は溺死。ウイスキーを飲んでいたらしい。船から落ちたのである。船に乗っている最中にウイスキーを飲んだと言う事は「飲みながら会える相手」と一緒に船に乗っていた可能性が高い。とまあ特命捜査課の面々が死体発見現場で推測。

神代(二谷英明)「その辺がポイントになりそうだ。どうも気に食わんな。状況から見て単純な溺死とは思えん。何のために誰と東京湾で中条はあっていたか。その辺から始めよう。」

船村(大滝秀治)は現場付近の聞き込みから始める事にし、津上(荒木しげる)と一緒に現場から立ち去った。桜井哲夫警部(当時の階級)は吉野と一緒に中条の事務所へ行く事にした。なお、この場面に高杉陽三(西田敏行)はいない。

さて桜井哲夫警部(当時の階級)と吉野は中条の事務所「三栄通信社」へ行ったが、そこには事務員(野村けい子)しかいなかった。事務員は「何も知らない」の一点張り。ついには

事務員「ねえ刑事さん、あんた、今月の給料払ってよ。」

これを聞いた吉野は

吉野「なんで俺があんたの給料、払わないけんの?」

と興奮。すると

事務員「じゃ、帰ろうっと。仕事探さなくちゃ。」

と帰ってしまった。

一方、津上と船村は目撃者を見つけ出していた。その夜、デートして自動車を止めていたという。

そして吉野は中条のゆすった相手が女だったと言うことと、アジトを調べ上げ、アジトであるマンションへ行ってみれば、そこにはあの事務員がいた。事務員は何かの書類を取り出していた直後。何も知らないと言うのは嘘だったようだ。それを吉野が咎めると

事務員「あんたが私の給料を払っているわけじゃないでしょ。協力する筋合い、ないわよ。」

と開き直る始末。吉野は事務員が持っていた書類に気がつき、取り上げた。そして見ると

沢田ルミの青春

と書かれていた。

吉野「沢田ルミ。この名は?」
事務員「知らないわよ。」

さらに

吉野「なんでここだけ破れてるんだ。ん?」

事務員は何も答えなかった。

吉野「これは預かっておく。お前は中条がゆすっている相手も知ってるんだな。」

仕方なく

事務員「この女でしょう。」

と答えて示したのは雑誌に載っているファッションデザイナー(ジャネット八田)水村可奈子(28才)の記事だった。ネタはなんだと尋ねれば

事務員「そこまでわかんないわよ。あんた刑事なんでしょう。その先は自分で調べなさいよ。」

呆れた吉野は

吉野「お前はいつも一言多いんだよ。たっぷり油を絞ってやるからな。」

と言えば

事務員「絞っても何にも出ないわよ。」

と言う始末。アリバイを尋ねれば

事務員「(夜の)9時まで事務所にいましたよ。待ってても誰も来ないから、私、帰っちゃったの。」

だの

事務員「(証人なんて)いるわけないじゃない。バカみたい。」

と開き直った。

さて次の場面は吉野と桜井哲夫警部が水村可奈子(ジャネット八田)に会いに行くところ。お店の開店は翌日だと告げる店員に吉野は水村可奈子を呼び出させた。桜井は水村可奈子に警察手帳を見せて質問がある事を告げると水村可奈子は吉野と桜井を奥に通した。ファッションショーを翌日に控えているので店は散らかり、人が何人も動き回っていた。

桜井哲夫警部(当時の階級)「早速ですがねえ、中条てつおって男を知ってますか?」

と直球勝負に打って出たが

水村可奈子「私は存じません。」

とはぐらかされた。吉野と桜井は中条が東京湾で死体として上がった話やら中条に水村可奈子がゆすられていたと言う情報があると告げても水村可奈子は「存じません」の一点張り。だが中条の写真を桜井を見せると

水村可奈子「ああ。この男なら覚えていますわ。一人でお茶を飲んでいる時、私を口説こうとした図々しい男ですわ。無論、私は無視しました。それだけの事ですわ。」

と一蹴した。念の為、桜井は水村可奈子に夕べのアリバイを尋ねたが、水村可奈子はここ(オフィス)で準備に追われていたと証言した。そのやり取りの最中にたくさん祝電が届いたのだが、なぜか1通だけ、水村可奈子は丸めてしまおうとした。それを桜井は見逃さず

桜井哲夫警部(当時の階級)「どうしました?」

と尋ねた。

水村可奈子「悪質な嫌がらせです。この世界では成功した人間に対する中傷が多い世界なんです。」

それでも桜井は半ば強引に水村可奈子がくしゃくしゃに丸めた電報を取り上げ見た。すると電報にはこう書かれていた。

ジゴクニオチロ

一見、水村可奈子の主張は正しいようにも見えるのだが

桜井哲夫警部(当時の階級)「誰かに恨まれている心当たりは?」

と尋ねたが

水村可奈子「いいえ。思い当たりませんわ。」

と答えるのみだった。CMが明けて、吉野と桜井は帰って行ったのだが、それと入れ替わるようにして三栄通信社の事務員がやってきた(実はこれ重要)。事務員はこう言うのを吉野と桜井は見逃さなかった。

事務員「週刊誌の広告見て来たんですけど。」
水村可奈子「ああ、お手伝いさんの募集のね。」
事務員「デザインの勉強もできると書いてありますけど。」
水村可奈子「そうよ。いらっしゃい。」

事務員は中に通された。それを怪しむ吉野だったが、結局、特命捜査課に戻る事にした。

さて捜査の結果、水村可奈子の他に「得体の知れない女(神代談)」である沢田ルミが捜査対象として残った(実はこれも重要)。さらに、先ほどの事務員瀬戸さちこも怪しい。

神代「中条の死によって、この3人のうち誰が一番利益を上げるかだな。」

これは重要なポイントだよ。

桜井哲夫警部(当時の階級)「まず水村以外には考えられません。私の当たりでは彼女の過去に何かあるんじゃないかと言う気がするんです。」

これに船村も賛成した。

船村「パリ帰りの新進デザイナーに人に知られて困るような過去があるとすれば、それを暴かれては致命傷になるでしょうからね。」

神代もその意見に賛同したようだ。さらに

津上「それから、水村の過去なんですがね、本籍は板橋にありました。母一人、子一人の母子家庭で、その母とも中学時代に死に別れて、以後、一人なんです。それで同級生は当たってみたんですがねえ、それが誰も覚えてないんです。」

お! これも重要なポイントだよ。神代がそれを受けて、こう言った。

神代「彼女は6年前、デザインコンクールに入賞してパリ留学の切符を手に入れた。」
津上「ええ。しかし、それまでの10年間、彼女の言葉を信じる以外、全く消されてるんです。」

怪しい臭いがプンプンしてきたよ。

神代「過去を消した女かあ。」

しばらく考えた後、

神代「家のない根無草のような人間のうちの約90%は犯罪や自殺で消えるという統計がある。彼女はその残りの10%に入る意思の強い女と見ていい。」
船村「それだけに相当無理をして来ているかも知れませんなあ。」

と言うわけで桜井は水村の線を引き続き当たり、吉野は沢田ルミについて調べる事になった。驚いた吉野だったが

神代「この女の正体を暴くのが鍵だと思ってくれ。」

吉野は神代の意図を知って、「はい。」と言ったのだが、ブツクサと不満を述べて神代に咎められた。自動的に船村は裏を固める方、つまり瀬戸さちこの調査に回った。なお今回、高杉陽三は出ていない。非番だったのだろうか? それから、津上は何も指示されなかった。連絡係という事なのだろうか。

吉野によるナレーション「私は沢田ルミの『青春』というレポートの1ページから洗ってみた。」

この手法、主役の刑事がナレーションをするというのは前回(第11話)から始まっている。つまり、吉野が自分が回されて不服に思った沢田ルミの線も重要だったのだ。

吉野によるナレーション「それによればルミは、東京湾の漁業で生計を営む漁師のうちに産まれたという。」

ロケ地も羽田空港の辺りである。東京湾の漁場で生計を立てているのは間違いないような場所ではある。

吉野によるナレーション「きっと子供の頃は毎日のように海辺で遊んでいたに違いない。」

そんな幼女を吉野は見かけていた。そして幼女が映る様子が暗転した。巧みな演出だ。そして吉野は横浜の前田橋を歩いて渡っていた。ここは『俺たちの勲章』でもロケ地となった場所だが、今は頭上を首都高速道路が通っているので映像とは風景は一変している。

吉野によるナレーション「東京湾の汚染で漁場を追われたルミの一家は横浜に引っ越している。この時、ルミは12歳。中学時代から21歳までルミの消息はプッツリ切れている。」

おや。水村可奈子との共通点があったよ。今度は中華街を吉野は歩く。確かに前田橋の近くである。

吉野によるナレーション「それでも街のどこかで彼女は彼女なりの生活をしていたはずだ。」

余談だが、母方の伯母一家は中区に住んでいて、中華街や元町から丘というより山一つ越えたところにへばりつくように家が建っていた。今はマンションに建て替えられて伯母一家もそのマンションに住んでいるが。

吉野によるナレーション「21歳から22歳までの一年間、ルミは工業デザインスクールに籍を置いている。その時、ルミが住み込みでアルバイトをしていると言う、バー「赤い鳥」に足を向けた。」

そこで吉野は聞き込みへ行ったのだが、ママに聞き込みをしている最中に、恐そうな男が入ってきて開口一番

恐そうな男「おい、おめえか、こないだから嗅ぎ回っている野郎っていうのは。」

この如何にも恐そうな男にビビるような吉野ではない。刑事でなかったらヤクザに見えるぞ。

吉野「あれ? 誰か、俺の他にもいるの? え?」
恐そうな男「ルミのこと、嗅ぎ回るのはやめろ。」

そんな脅しに屈する吉野ではなく、最終的に男がパンチを放ったが、吉野は目には目を、歯には歯を、蚊には金鳥マットです、ではなくて、パンチを何発もぶちかまし、さらには即座に手錠をかけてしまった。公務執行妨害の現行犯逮捕だと主張するのだろうか。吉野はママに頼んだ。

吉野「なあ、ルミの事話してくれないか。何もかもバレてるんだよ。」

何もかもバレているのなら、そんな事を訊く訳がないような気がするが、

吉野「ここはヤクの巣窟だって事がなあ。話してくれたら、この店には手をつけん。」

というわけで

ママ「ルミは何か思い詰めたところのある女でねえ。」

と話し出した。ルミは一流のデザイナーになるといつも言っていた。あれ。回想シーンにジャネット八田が映っているような気がするぞ。ここは重要なポイントだ。ルミはヤクの売人をやらせてくれと自分から言って来たのだ。一味はルミをヤクの患者にしようと思ってヤクを射ったのだが、その次の日、ルミは逃げたのだ。

ママ「役の誘惑に打ち勝ったのは私の知る限り、あの子一人だったわ。」

吉野はルミが借りていた部屋が屋根裏の部屋である事を聞き出した。早速調べる吉野。ルミが逃げて以来、誰も使っていないのだという。確かに蜘蛛の巣がはり放題。埃も溜まり放題。そこで見つけたのは一枚のデザイン画とメモ書きだ。

吉野「〝夢”沢田ルミ」

吉野は注射された麻薬を一生懸命、口で吸い出そうとするルミの姿を脳裏に浮かべて

吉野「(心の声)麻薬にも溺れず、ここから飛び出して行ったルミ。(走り去る女性の後ろ姿が映る)彼女の熱い心臓の鼓動が、この部屋から響いてくるような気がする。」

その頃、桜井は津上と一緒に水村可奈子の店の前で張り込んでいたのだが、男(多宮健二)が椅子を店に投げ込んで扉のガラスを割った。だが気の強い水村可奈子は怯まない。男は桜井と津上に取り押さえられ、連れ出された。それを良い機会とみたのか、桜井は誰かに恨まれるのではないかと水村可奈子に尋ねたが

水村可奈子「こんなひどいことされる覚えはありません。」

と否定した。さらに男は津上や桜井の取り調べものらりくらりと交わしてしまった。

さて船村は村木さちこと言う女が「アマになるのが嫌で東京に飛び出した」事を聞き込んでいた。さらに

村木さちこの実家の近所のオバさん「村木の家は子供運に恵まれんでなあ。長男は東京に出たのは良いが、女房に逃げられちまってえ。子供連れで心中しちまうし。」

と言う事がわかった。最終的に、それは8年前だと判明したが、

村木さちこの実家の近所のオジさん「さちこの奴、その逃げたっつう嫁様のこと、えれえ恨んでいたなあ。」

ということもわかった。

さて桜井は水村可奈子が入賞したデザインコンテストを主催したデザイン学校に足を運んでいた。水村可奈子のデザイン画が残っていたが、沢田ルミもデザインコンテストに応募していた事もわかった。そこに描かれているのはなんと「〝夢”沢田ルミ」と書かれていた。吉野の調査と一致したよ。

桜井哲夫警部(当時の階級)「この二つの作品をお借りしても良いですか?」

二つ返事で了承された。そして当時の二人の住所も判明。さらに吉野の調査で

役所の戸籍係「沢田ルミ。46年11月死亡。」

驚く吉野だったが更に分かった事は

役所の戸籍係「板橋区役所からの通知でねえ。」

だが吉野が板橋区役所へ行ってみれば、桜井と鉢合わせした。

吉野「沢田ルミは死んでました。」
桜井哲夫警部(当時の階級)「俺もそれで来たんだ。」

どういう事?

板橋区役所の職員「お尋ねの沢田ルミの事ですが、6年前の11月15日に、記録によりますと、脳腫瘍で死亡してますねえ。入院した時は手遅れでした。」

プッツリと線が切れたかに見えたが、話には続きがあった。

板橋区役所の職員「遺体引き取り人がいない時は、こうして灰にしてるんですよ。11月15日から12月1日まで預かっている記録があります。」

それを受けて桜井はこう言った。

桜井哲夫警部(当時の階級)「それを水村可奈子が引き取ったってわけだ。」

桜井はそこまで調べ上げていたのだ。

板橋区役所の職員「ええ。引き取り手のない場合は、こうして区役所で一定期間保存する事になってます。」

吉野は置いてけ堀である。

吉野「桜井さん、これ、どういう事なんですか。」
桜井警部(当時の階級)「いやなあ、(水村)可奈子と(沢田)ルミは一緒のアパートに住んでいたんだ。」

前回も主役の津上が置いてけ堀のような感じになっていた。これは偶然の一致かも知れないが。さて、その話をした直後、桜井は閃いた。

桜井哲夫警部(当時の階級)「死んだのがルミじゃなくて可奈子だったら、どうなるのかなあ。」

いやあ、やっと真相が掴めたねえ。そう。筆跡鑑定が行なわれた。

桜井哲夫警部(当時の階級)「6年前の沢田ルミの筆跡と現在の水村可奈子の筆跡だ。」

その二つがピッタリと一致したのを吉野も確認した。

吉野「そんなバカな。」

ここでCMが挿入されたが、CM明けたら、水村可奈子のファッションショーの会場に桜井と吉野がやってきた。その現場で男の声で

男(多宮健二)の声「地獄に堕ちろ。地獄に堕ちるんだ。

と響いた。思わず桜井と吉野が周囲を見まわした。

男の声「水村可奈子、お前の秘密は左手のブレスレットの中にある。」

これを聞いて驚く水村可奈子。

水村可奈子「誰? 誰なの? 私に恨みがあるなら出てらっしゃい。」

やはり気の強い性格だが、事実だったのか、慌てふためいている。吉野がオープンリールのテープを見つけてスイッチを切り、声は止まった。そして、これを口実に、と言うか、きっかけにしたのだろう。

桜井哲夫警部(当時の階級)「ご同行願えませんか。」

と桜井と吉野は水村可奈子を特命捜査課へ引っ張った。なぜと尋ねる水村可奈子だったが

吉野「あんたは水村可奈子じゃない。沢田ルミだ。」

そう。この事件は沢田ルミが水村可奈子になりすましていたのが一つのキーポイントだったのであーる。初視聴時、私はこれで事件解決だと思っていた。だが、これで事件が解決したわけではない。取調室で

吉野「沢田ルミ、東京湾上で中条に会い、酒を飲ませて海へ突き落としたのはお前だな。」

これが事実ではないのであーる。実際、沢田ルミは黙秘した。だが

桜井哲夫警部(当時の階級)「この作品は覚えているね。脳腫瘍で死んだのは本物の水村可奈子だ。君はその名を騙り、フランス留学の切符を手に入れた。」

この追求には反応した。

沢田ルミ「騙りだなんて言わないでください。あなた達、私達(水村可奈子と沢田ルミ)の悲しみなんてわからない。」

どう言う事?

吉野「私達の?」
桜井哲夫警部(当時の階級)「話してもらおうか。」

沢田ルミは話し始めた。

沢田ルミ「私とカナちゃんは新しいデザイナーの卵でした。両親とも地位もなく、生まれた境遇もそっくりでした。フランス留学だけは、当時の私達の生き甲斐でした。でも、カナちゃんは既に病魔に蝕まれていたんです。」

一生懸命看病する沢田ルミにカナちゃんがこう言ったのだ。

本物の(?)水村可奈子「これ(パリ行き)はあなたのものよ。」

驚くルミに

本物の(?)水村可奈子「私の命はもう長くない。私がパリに行っても、何の意味もないわ。ルミ、あなたは私の名前を使って行くのよ。」

ルミは断ろうとしたのだが

本物の(?)水村可奈子「ルミ、そうして欲しいの。私達、このまま死ぬのは悔しいの。でも、あなたが私の名前を使っている限り、私はあなたと生きているの。ねえ、そうして。死ぬのは沢田ルミ。あなたの過去よ。」

沢田ルミは水村可奈子の手を取り、泣いた。

沢田ルミ「私が泣いたのは、その時が最後でした。私はカナちゃんの分まで頑張りました。今度のショーは、カナちゃんのショーでもあるんです。」

うーむ。沢田ルミは合法的(?)かどうか、私にはそういう難しい事はわかりませんが(林家こん平談)、ある意味、水村可奈子をペンネームとして使用していたという解釈も成り立ちそうだ。この供述を神代も外で覗き見して聞いていた。

吉野「そのすり替わりに中条が気づき、ゆすりをかけてきた。そうだね?」

やはり水村可奈子に戻そう。

水村可奈子「はい。断れば、全部バラす。スキャンダルになれば、スポンサーも降りるし、私の社会的地位も抹殺されるって。」

確かに水村可奈子は中条と会ったのだが交わした会話は

水村可奈子「私をつけ回すのはやめてください。今日はそれを言いに来たんです。」
中条「良いのかな、そんなこと言って。」
水村可奈子「かまいません。どこにでも発表してください。」

と言うものだったと言うのだ。

水村可奈子「私は中条を殺してなんかいません。」

え!? とその時、船村が中に入ってきた。なおも追求する桜井と吉野。

吉野「水村可奈子が偽者だとわかれば、それだけでショーは中止となる。」
水村可奈子「やめてください。それだけは発表しないでください。なんでもします。ショーが終われば、全てお話しします。刑事さん、一生のお願いです。お願いします。」

あの気の強い水村可奈子が頭を下げたのである。吉野は沢田ルミが描いたデザイン画を見せた。

吉野「そう。夢。あんたのデザインだ。横浜でのあんたは、昼も夜も働きながら、これを描いた。ヤクを口で吸い取ろうとした。あんたの強い意志。」

この言葉が水村可奈子の心に響き始めたようだ。ここで終わりにしたいのだが、吉野の熱弁はなおも続く。

吉野「あんたの追い求めたものは夢ではなかったはずだ。そう。夢。沢田ルミの夢だ。君から沢田ルミの名前が消えても沢田ルミの心は消え得る筈はない。君は沢田ルミだ。話してくれないか。ブレスレットの秘密を。」

さてここから事件の真相(の一部)が語られるのだが、それはこの記事の趣旨とは関係ないので、この記事はここでおしまいにしよう。続きは映像で確認してほしい。なお。沢田ルミもとい水村可奈子は一言も嘘をついてはいない。事件の真相のヒントは既に書いたので、詳細は映像で確認して欲しい。事実、この後、

神代「一応、お帰りになって結構です。」

と水村可奈子に告げ、後のヘリコプターの中でも神代は「可奈子」と呼んでいるのであーる。