オープンソースカンファレンス2011Kansai@Kyoto 第1日目訪問記

昨日(2011/7/15)はオープンソースカンファレンス2011Kansai@Kyotoへ行ってきました。前日に京都に入り、会場のKRPと同じ五条通沿いにあるホテルにチェックイン。会場には近かったです。ただこのホテル、地上デジタル放送は受信できてもBSはアナログ放送であるなど、同じ系列に比べて設備がイマイチでした (><) 一番困ったのは洗濯で、洗濯機が一台しかないためなかなか空かず、洗濯が終わって寝ることができたのは深夜の2時頃でした。これが後々響きました。


まず「OSSライセンスの初歩」を聴講しに小会議室Dへ行きました。その日の予定では私が聴講予定にしていた「ウィキペディア英語版から翻訳するには」が講師の体調不良により中止になったとの知らせが貼られていました。実はその前日か前々日に登録していた人にはそのメールが届いていました。だから知っていたのですが、改めてそれを知らされると身が引き締まる思いがしました(ちょっと表現がおかしい?) 閑話休題。発表は超満員。この発表の肝はOSSのライセンスが頒布の規定をどのように決めているかというのを説明するところにありました。ソフトウェアにも著作権はあります。著作権法ではソフトウェアを使用することに制限は設けていませんが、再配布することは著作権者の許可が必要になっています。姉崎さんはテレビ番組を例にあげて説明されておりました。テレビ番組の著作権は基本的には制作会社にあります。テレビ局は制作会社から許可を得て番組を放送しています。それを視聴者が観るのは自由ですし、録画するのも自由です。しかし、録画した番組を制作会社の許可を得ずに広く配布するのは禁止されているのです。ソフトウェアにも同様のことが言えます。で、どういう条件を満たしていれば再配布しても良いのかをライセンスで規定しているのです。GPLBSDライセンスの条文はその観点で見ていくとわかりやすいのではないかというのが姉崎さんのお話でした。


一旦会場を出て河原町三条にある伝説のすた丼屋で昼食を食べた後、「Linuxの標準機能LXCを用いた仮想化 - 入門編 -」を聴講しました。Linuxでコンテナを作る機能が標準で実装されているとは知りませんでした。私はSolaris 10のコンテナ機能を使ったことがありますので、話の内容はよくわかりました。OpenVZ、KVMとの比較も行なっていました。コンテナなので、講師の山本政秀さんはVirtual Machineという言葉をあまり使わず、Virtual Environment(山本さんの造語)を用いておりましたが、たしかにVMというのはしっくり来ないかもしれませんね。


とここまで聴いたところで睡魔が襲ってきました。急速に眠くなってきましたので、休めるところはないだろうか、と思ったところ、Wikipediaの発表が中止になっていることを思い出しました。そのつぎの灘中・高の発表も同じ場所です。それまで寝られるだろう。そこで小会議室Dへ行きました。ところが、講師席に若い男性が座ってパソコンを操作しています。「あれ、中止じゃなかったの?」と思ったら、その方は関西ウィキメディアユーザ会の青子守歌さんでした。急遽、代打を頼まれたとのことでした。うーむ、騙された (^^; というわけで寝るわけにもいかず、セッションに参加することにしました。観客は関西ウィキメディアユーザ会の方二名(要するにサクラ)と私と、その前に行なわれていたLibreOffice BoFからの流れで残っていた方1名。ネタも決まっていなかったのでフリートークの形で話が始まりました。実質的な観客の中で Wikipedia の編集をしたことがあるのは私だけだったので、初めの方は私と関西ウィキメディアユーザ会の方とで話が進みました。私が「特撮番組で最近スーツアクターの記述について出典を厳しく求めるようになったけれどあそこまで厳密にしなくてもよいと思うことがある」というのがきっかけだったのか、その前振りとなった青子守歌さんの言葉がきっかけだったのかは覚えていませんが、それがきっかけで出典についての話が中心になりました。まあ要約すると、そこに書かれていることの真贋を判断できる材料を載せてほしい、というのが最近出典を求めるようになったことの理由のようです。たしかにそれはわかります。なお、ウィキメディアというのはWikipediaのサーバを動かしているエンジン部のことで、関西ウィキメディアユーザ会で取り上げているのはWikipediaだけではありません。さてセッションが終わった後で会場入口の案内を見てみると「中止」の紙が剥がされていました。うーむ。本当に突然代打を立てることが決まったようですね。


少々の番狂わせはありましたが、次の灘中・高の発表も面白かったです。活動の内容の報告の後、ルービック・キューブを解くプログラムの発表とフォントに着いての発表が行なわれました。どちらもかなりレベルが高く、自分が高校生の頃はここまで高度なことをやっていたのかなあと思いました。まずルービック・キューブの方ですが、大学数学で習う概念を取り入れているため群や写像なんて言葉も飛び出しました。群なんて私は大学で習いました。しかも情けないことに一回落としました。またツクダオリジナルの社員の独断で日本でルービック・キューブが売りだされたというのも知りませんでした。良く調べてあります。つぎにフォントの話。高校二年生の時に学園祭のパンフレットを編集したことがあり、写植の指定も行なったので懐かしく思いました。そういえば最近写研の名前を聞かないなあと思ったところ、自社の保有するフォントを解放しなかったため、DTPではほとんど使われなかったのだそうです。しかも「他社のフォントが自社のフォントと似ているが、これは自社の権利を侵害しているのではないか」という訴訟を起こしたところ敗訴し、しかも「他社でも写研と遜色ないフォントがあるんだ」という逆宣伝にもなってしまったそうです。そのため長らくDTPでは低迷していたのですが、最近、自社フォントの開放を決めたようです。


最後はjus研究会京都大会「企業内でのスマートデバイスセキュリティポリシーを考えてみよう」を聴講。諸事情により日本UNIXユーザ会私は参加しておりませんが、非会員でも参加可能です。司会は日本UNIXユーザ会の岩井雅治さんで講師は柳原秀基さんでした。ただ岩井さんは初めの紹介と最後に「ありがとうございました。」と言っただけで後はひたすら柳原さんがくっちゃべっていました。あるプロジェクトに関わっていてそのプロジェクトの概念を話していたのであまり口外はしないでくれとのことだったので発表の内容を詳しく書くことは出来ませんが、要するにスマートデバイス(柳原さんの造語でiPadのような高機能な端末やスマートフォンのこと)でもパソコンと同様のセキュリティポリシーが必要になるでしょう、ということです。余談ですが、岩井さんはWikipedianでもあります。


とまあこんな感じでセッションを聴講しました。会場には昔懐かしい Luna や NEWS Station も置かれています。皆様も是非足を運ばれてはいかがでしょうか。祇園祭も開かれていますし。なお今日は懇親会が予定されています。