情報漏洩未遂(必殺仕置屋稼業)
必殺仕置屋稼業 第27話「一筆啓上 大奥が見えた」(脚本:國弘威雄、監督:渡邊祐介 (C) 松竹)より
ある夜。中村主水は見回りの最中、おとき(ひろみどり)と竹次郎(伊吹剛)に声をかけた。男と女中の道連れと思ったのである。
中村主水「待ちなさい。こんな夜更けにどちらへ?」
竹次郎は答えた。
竹次郎「決して怪しい者ではございません。このまま行かしてください。」
中村主水は役目柄、こう言った。
中村主水「いやいや。行かさんとは言ってない。失礼ながら、そちらのお女中とお二人の様子から察して何かわけがありそうなんで。」
どこか遠くへ旅に出るような格好をおときと竹次郎はしていたのだ。おときや竹次郎が見逃してくれと懇願したので
中村主水「何か仔細がありそうだが、見て見ぬふりをして退散しますか。」
と見逃した。これで終わればよかったのだが、直後に戸田左近(佐藤京一)が二人を追いかけて主水のすぐそばを通り過ぎ、二人を斬り殺してしまった。竹次郎の叫び声を聞いて主水は現場に急行。戸田左近も中村主水もお互いの顔をしっかり見てしまった。左近は逃走。主水はまだ息のあるおときを助け起こし
中村主水「お女中、しっかりなさい。」
仔細を聞こうとしたのだが、結局、息絶えてしまった。即座に岩田外記(波田久夫)と細川頼母(田畑猛雄)という徒目付がやって来た。これは相手が悪い。
岩田外記「北か南か?」
中村主水「南町奉行所同心」
岩田外記「名は?」
中村主水「中村主水と申します。」
岩田外記「今夜の一件は見なかったことにしろ。何も起こりはしなかった。いいな。」
細川頼母「そうする方がその方の身のためなのだ。」
主水は引き下がらざるを得なかった。
その翌日。主水は村野様に呼び出された。用件は
与力 村野「中村、お前が夕べ出会った事件だが、大目付から内密の達しがあった。」
他言しないようにとの念押しである。主水は村野様から金まで貰ってしまった。
与力 村野「ここだけの話だがなあ、実は夕べの事件というのは大奥に関わる事件だ。」
先ほどのおときは大奥の者でしかも上様のお手つき中臈だったのである。なので口止めに躍起になっていたのである。
さて話がこれで終わると思ったら、大間違い。今までの話は前置きでしかない。色々あって、主水はおはつのいる飯屋へ行った。おはつには南町奉行所同心という身分は内緒にしているのである。
中村主水「おはつちゃん。」
ところがそこに戸田左近がいたから、さあ大変。主水と左近の間に緊張が走る。おはつも、左近と一緒にいたみわ(竹下景子)もただならぬ様子を察してしまった。みわは飯屋を出て逃げてしまい、それでも主水は座ろうとしたのだが
戸田左近「目付から達しが行っているはずだ。南町同心の出る幕じゃない。失せろ。」
そう言い残して左近は立ち去った。
おはつ「おじさん。」
思わずおはつは主水に声をかけたのだが
中村主水「あ。ああ、なんでもない、なんでもない。さ、いつもの奴、頼むぞ。」
なんとかおはつにバレずに済んだようである。
なお余談だが、実は主水は例の一件を裏の仕事として市松達に持ちかけていた。またおはつは次回の最終回には登場しない。