テスト(必殺仕置人)

必殺仕置人 第6話 「塀に書かれた恨み文字」(脚本:國弘威雄、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

観音長屋に住む女郎のおしま(三島ゆり子)の父茂助(寺島雄作)と妹おしず(なかつかかずよ)が川越に帰ろうとした夜、運悪く、4人の侍(守山藩主 松平右京大夫忠則(中尾彬)、斎藤市蔵(佐々木功)、御徒組 新田内膳(大村文武)、御徒組 戸浦多三郎(千葉敏郎))に遭遇してしまった。もっとも斎藤市蔵は乗り気ではなく、遠く離れてはいたが。そして松平右京大夫忠則は刀を抜いて茂助を一刀両断。新田内膳と戸浦多三郎が茂助とおしずにトドメを刺した。その後の会話は次の通り。

新田内膳「殿、お見事。」
松平右京大夫忠則「うむ。だがこの刀は斬れん。」
新田内膳「左様でございますな。」
戸浦多三郎「やはり今夜はあの備前物になさるべきでした。されば、一刀の元に。」

この連中、刀の試し斬り、すなわち、テストのために辻斬りを行なっていた、危ない人達だったのだ。だが、戸浦は気がついた。

戸浦多三郎「齋藤。(近寄って)何故斬らん。何故また刀を抜かんのだ。」

どうやら斎藤市蔵は以前もイヤイヤ連れて来られたらしい。

斎藤市蔵「戸浦、いや、殿。(と近寄って)やはり、私にはこのようなことは…。」

そりゃそうだ、とこのバカ殿の右京大夫が思うわけがなかったが市蔵は続けた。

斎藤市蔵「たとえどのような殿のお考えがあるにせよ、何の罪咎のない百姓町人をこのように斬る事は。」

だが

新田内膳「貴様、ここまで来てまだくどくどと。そのような腰抜けだからこそ、殿は今夜わざわざお前をここへ連れてきたんだぞ。」
松平右京大夫忠則「まだわからんか、齋藤。今は武士と言えども戦いの夢を見ず、刀や槍はただの飾りになっている。だからこそ我らはいつでも鍛えておかねばならんのだ。市にいて乱を忘れず。しかし、こう誰か少しは手応えのある者に出会わねばつまらん。」

というや否や、未だ生きていたおしずが起き上がってしまった。それに気がついたバカ殿右京大夫は何度もおしずを斬ってしまった。とそこへ見回りの姿が。中村主水がやってきたのだ。慌てて身を潜めるバカ殿達。どうやら主水は帰り道だったらしいが、茂助の死体に気がついた。

中村主水「また辻斬りか。」

そして主水はおしずの死体にも気がついた。

中村主水「仏さん、ほっとくわけにもいかないな。奉行所へ逆戻りか。うち帰って女房にぶつぶつ帰るより、その方が良いだろう。」

だがしっかり見てしまった。バカ殿達が退散する姿を。そしてバカ殿達が守山藩の藩邸に入るのもしっかり見届けたのだった。さてこの続きはどうなるか。詳細は映像で。