練習(あまちゃん)

あまちゃん 第15週「おらの仁義なき戦い」第86,87話(脚本:宮藤官九郎、演出:西村武五郎 (C) NHK)より

鈴鹿ひろみ(薬師丸ひろ子)のバーターで付人の天野アキ(のん)は役をもらった。水口(松田龍平)もそれを知った。

水口琢磨「ちゃんとお礼言わないとね。」
天野アキ「監督かPにか?」

あのねえ。

水口琢磨鈴鹿さんにだよ。鈴鹿さんのお陰で出れるんだから。で、セリフ、あるの? お! あるじゃん!」
天野アキ「あるんですよ、それが。」

ここで脚本が映ったのだが、こんな感じで書かれていた。

島田の部屋の呼び鈴を何度も鳴らすが
島田はでてこない
かわりに隣の部屋のドアが開く
隣人C「島田さん、先週引っ越しましたよ」
寿「え!?」
隣人Cドアを閉める
立ち尽くす寿

隣人Cがアキの演じる役である。なお寿が鈴鹿ひろみの演じる役で主役なのだ。アキはセリフを言ってみたのだが

水口琢磨「訛ってんなあ。」

なんだか先行き不安である。

天野アキ「ダメかなあ。東北出身の隣人ってことで。」

ダメだろう。

水口琢磨「それは監督が決めることだから。」

水口は冷たく言い放ったのだがアキは無邪気にこう言った。

天野アキ「そうですよねえ。うわあ、どうすべ。夏バッパさ電話しねえと。」

まだ浮かれている。そして電話が終わった後、部屋で電話してしまったアキに対し

小野寺薫子(優希美青)「ドラマ、おめでとう。」
天野アキ「ごめん、聞こえてた?」
小野寺薫子「今度から外で電話したほうがいいかも。」
天野アキ「え?」
小野寺薫子「ドラマ出たいの、アキちゃんだけじゃないから。」

床で寝ていた入間しおり(松岡茉優)が咳払いした。しっかり聞いていたようである。鈍感だねえ、アキは。

その後、アキがユイの母よしえを見かけた話を水口にした後、水口は確認した。

水口琢磨「セリフ完璧?」

と言うわけでアキが言ってみたのだが

水口琢磨「棒読みだな。」

すると

天野アキ「いやいや、今のは本気じゃねえし。」

うーむ。と言うわけで

水口琢磨「じゃ、本気でやってよ。この扉使って。」

と言うわけで練習してみたのだが、

水口琢磨「ピンポーン。島田さーん。」
天野アキ「島田さん、先週引っ越しましたよ」

と言うやりとりを何度もやったのだが

水口琢磨「ダメ、もう一回。」

そして翌日からアキはイベントもこなしたのだが、頭の片隅に色々邪念が残ってしまったのだろう。

入間しおり「ちょっと、しっかりしてよ。」

とアキは注意される事態となってしまった。さらになんと握手会の最中に

天野アキ「(握手しながら)島田さん、引っ越しました。」

と連呼してしまい

宮下アユミ(宮下リオ)「誰? 島田とかいうメンバーおらんし。」

と注意される事態まで引き起こしてしまった。そして気がついた。

天野アキ「開票日とドラマの収録日重なっている。どうすべ。」

その様子を見て不安を覚える水口は荒巻が言った言葉を思い出していた。

荒巻太一「あの子(天野アキ)はなあ、何か違う。なんか違う。」

だが呑気にもアキはこんなことを言っていた。

天野アキ「ねえ、水口さん、6人で無事に年越せたら安部ちゃんに年越しそば作ってもらうべ。」

上の空で頷きながら

水口琢磨「なんかうまいものでも食わしてやるよ。兎に角、食え。みんなここまで頑張ったんだから。悔いのないように正々堂々戦い、どんな結果も受け入れ、ちゃんと前を向いて…」

出て行ってしまった。その時、アキのミサンガが一本切れたのだが、水口は荒巻の言った言葉を頭の中で反芻していたのだった。

さて練習の成果がどうなるのかは映像でご確認を。