適性(あまちゃん)
あまちゃん 第18週「おら、地元に帰ろう!?」第103,104話(脚本:宮藤官九郎、演出:井上剛 (C) NHK)より
ついに天野春子(小泉今日子)の話は核心に入ったが、微妙に真相を隠して話していた。真相を知らない鈴鹿ひろみ(薬師丸ひろ子)と違ってアキ(のん)(と水口(松田龍平))は気が気ではなかった。ついに極度の緊張で「うわー」と叫んでしまった。
鈴鹿ひろみ「それ、ここでは良いけど、本番でやったら一発で降ろされるわよ。」
と一応、注意。その後も恐ろしい話が続いたが
天野春子「(アキは)アイドルだったんですよ。鈴鹿さんの前で言うのも変なんだけど歌が上手くてもお芝居が上手でも、それだけじゃアイドルになれないでしょう。なんか、こう、あたしにはわかんないんだけど、なんかがあるわけでしょう、ねえ、大将。」
いきなり話を振られた梅頭(ピエール瀧)はびっくり仰天。ネタが手からすっ飛んでしまった。
天野春子「そのね、なんかが何なのか、私自身、知りたいんです。アイドルって偶像だっけ、シンボルとかね、アキはアイドルだったの。小さい田舎のしょうもない街ででもそこでは間違いなくアイドルだったんですよねえ、種市君。」
いきなり話を振られた種市(福士蒼汰)は梅頭と違って落ち着いていたのか
種市浩一「はい。」
そして春子は話を続けた。
天野春子「みんなの期待を一身に背負って出てきたんです。だからみんなあたしに声かけるの、今でも。アキちゃん、元気、どうしてる? とっくにいないのによ。それってアイドルでしょう。そこにいないのに、みんなの心にアキがいるって事でしょ?」
自身の体験もあってか春子がアイドルになる適性を知りたがっているのは本音のようである。さてアイドルになれた鈴鹿ひろみはこう答えた。
鈴鹿ひろみ「そうね。」
そして春子に話した。
鈴鹿ひろみ「たしかにあなたの娘さんは一緒にいて楽しいし、度胸もあるし、お顔だって可愛いし、(アキが「うわあ」と叫ぶ)こんな感じだけどアイドルの資質、あるかもしれません。でもお母さん、そんな子はごまんといるんです。原石なんてゴロゴロと転がっているの。その中で磨いて光るのは、たった1個なんです。」
おそらく水口は勉さんが言った言葉を改めて思い出していたのだろう。とその時、荒巻太一(古田新太)が現れた。驚く一同。来た理由は
鈴鹿ひろみ「私が呼んだの。」
この緊張に耐えきれなかった梅頭はネタとシャリを逆さにした状態で寿司を皿に置いてしまった。でそれをそのまま出す種市だったが、最終的にそれはお土産にする事になった。鈴鹿ひろみは荒巻を糾弾。何故アキを首にしたのを尋ねた後、荒巻の言葉を否定しまくり
鈴鹿ひろみ「太巻さんも守りに入っちゃったんだ。昔は柔軟だったのに。年取って、もう若い子の意見とか聞かないんだ。」
なお鈴鹿ひろみは焼酎を飲んで出来上がった状態でもあった。荒巻はこんなことまで口走った。
これを聞いた水口の表情が凍りついたが
アキはその件を思い返した。
鈴鹿ひろみ「だけど地元じゃ凄い人気みたいよ。お母さんの話だと。アイドルなんですって。お友達と二人で『潮騒のメモリー』歌って。」
太巻が元々はユイ(橋本愛)をスカウトしていたという話をしたが
天野春子「あら。水口さんはアキの方が有望だとおっしゃってますけど。」
思わず太巻が水口の方を見たので
水口拓磨「どっちも、どっちもです。」
と誤魔化しにかかった。さらに鈴鹿ひろみはこんなことを言い出した。
鈴鹿ひろみ「天野さんを解雇するなら、あたしも辞めますから。」
とっくの昔にハートフルを辞めているという話を太巻は持ち出したのだが
鈴鹿ひろみ「女優を辞めるんです。」
この驚愕の発言は何故か太巻には効いた。その理由は後に明かされる事もあったのだろうと思うが、視聴者に明かされるのは遥か先。ここで鈴鹿ひろみは立ち上がったのだが酔いが回っているせいかよろけてしまった。水口が声をかけた事もあってかなんとか立ち上がり
鈴鹿ひろみ「女優、辞めてもいいの?」
ついに太巻は
荒巻太一「(小声で)辞めると言っても辞めないくせに。(大声で)わかりました。天野の解雇は撤回します。」
喜ぶアキ。鈴鹿ひろみは立ち去った。しかし、かなり酔いが回っている状態であった。
その後、春子とアキは黒川正宗(尾身としのり)のマンションへ直行。そしてアキは閃いた。
天野アキ「さっきの鈴鹿さん、誰かに似てると思ったんだべ。」
さて誰に似ているのか?
天野春子「ああ、もしかして夏さん。」
天野アキ「んだ! 夏バッパみてえだったべ。」
事情を全く知らない正宗は「そうなの?」と尋ねたのだが、兎に角、天野夏(宮本信子)に似ていればアイドルの適性があるという結論が得られたところで、この記事は終了するが、後にそれを証明するような話が、今度は天野夏が上京した時に明かされるとは、この時点で視聴者が知る由はないのであった。ヒントは海女クラブのメンバーがいつも歌っている、橋幸夫の歌である。