フィクションなどから拾う情報処理用語 その11 確率 (仮面ライダー)
仮面ライダー 第41話「マグマ怪人ゴースター 桜島大決戦」(脚本:伊上勝、監督:山田稔、技斗:高橋一俊、(C) 石森プロ、東映)より
時は1972年1月8日。
ヨーロッパで死神博士率いるショッカーの軍団と戦っていた本郷猛はその前週の1972年1月1日(つまり元日)には日本に舞い戻り、九州で一文字隼人と共闘していた。盆と正月に帰ってくるのは「ライダー世界を律する法則」のようである。閑話休題。
本郷猛と一文字隼人は達治少年と知り合った。達治は岩に座って泣いていた。
本郷猛「坊や、どうしたんだ。坊や、腹でも痛いのか?」
一文字隼人「男のくせにメソメソするな。」
達治は言った。
達治「母ちゃんが、どっか連れて行かれたんだ。」
隼人「お前のお母さんが?」
本郷「坊や、詳しく話してみないか。」
その頃、五郎は(多分)桜島を歩き回っていた。
五郎「隼人にいちゃーん。大変なんだよー。隼人にいちゃーん。どこ行っちゃったんだろなあ。」
なぜ本郷の名を呼んでいないかと言えば答えは簡単、全く会っていないからである。
五郎が本郷猛と会うのは一文字隼人が南米へ発った頃。
一文字隼人が南米に発つまで本郷は立花藤兵衛とも顔を合わせなかった。
またヨーロッパでの元助手のエミとミカにも本郷は会わなかった。
滝とは(なぜか)アフリカから日本に来た時に顔を合わせているが。
もっとも手紙を立花レーシングクラブに出してはいた。
ただ五郎、ユリ、エミ、ミカが仮面ライダーの正体を知っていたかどうかは微妙である。
緑川ルリ子は本郷猛の意向で本郷猛が改造人間であることなどは伏せられていた。
史郎と野原ひろみがどうだったかまでは知らない。
閑話休題。
さて達治から話を聞いた一文字隼人と本郷猛は
隼人「くっそー。ショッカーのやりそうな手口だ。」
本郷「うん。」
一文字隼人は駆け出したが
本郷「待て、隼人。」
と呼び止めた。
隼人「どうして止める?」
本郷「止めやしないが追跡は一人でいいだろう。」
じゃあ隼人を呼び止める必要はなかったのではないか?
まあ隼人は納得した。
隼人「わかった。じゃあどうやって決める? お前と俺。」
本郷はニヤニヤしながらポケットからコインを取り出した。
本郷「好きな方。」
隼人「おいおい。両方表なんてコインを使うんじゃないだろうなあ。」
本郷は笑顔のままこう言った。
本郷「俺を信用しろよ。」
隼人はなおも怪訝な表情のままこう言った。
隼人「よーし、表だ。」
ニヤッと笑ったまま、本郷はコインを上に投げて右手を使って左手の甲にコインを受け止めた。出たのはウラだった。残念がる隼人。ニヤッと笑う本郷。
本郷「残念だったなあ。」
隼人「俺はあの坊主を家まで送る。落ち合う場所は?」
本郷「桜島の展望台にしよう。」
隼人「よし。坊や、おいで。」
達治が隼人のところに駆け寄った。
隼人「滝や親父さんにも連絡をつけておくか。」
本郷「ああ。」
隼人は達治を連れてオートバイに乗った。
隼人「頼んだぞ。」
隼人が走り去るのを見送りながら
本郷「一文字。悪く思うな。お前の言った通り、コインは両方ともウラだ。」
つまり表が出る確率はハナから0だったわけである。本郷は一文字隼人のウラをかいたのである、文字通り。本郷のIQは600。それだけ高いから…ちょっと待て、本郷。一文字隼人が「ウラ」(出る確率は当然100%)と言ったら、どうするつもりだったのだ?
このモヤッとする感じはこの話の展開の伏線だった…と言うわけではありません。