フィクションなどから拾う情報処理用語 その15 鬱病 (秘密戦隊ゴレンジャー)

秘密戦隊ゴレンジャー 第34話「黄色いスパイ戦! 見たかYTCの威力」(脚本:上原正三、監督:北村秀敏、技斗:岡田勝、(C)石森プロ、東映)、秘密戦隊ゴレンジャー 第35話「黒い大怪鳥! コンドラー戦斗爆撃隊」(脚本:上原正三、監督:田口勝彦、技斗:岡田勝、(C)石森プロ、東映)より

季節は1975年の年の暮。私は自宅至近の幼稚園に歩いて通っていた。
そして、またも鉄人仮面テムジン将軍配下の鋼鉄軍団の仮面怪人が倒された。

黒十字総統「またやられたのか。」

このセリフ、何度言われたのだろうか?

鉄人仮面「は。キレンジャーの思わぬ反撃を食らいまして。」

鉄人仮面はそう答えたのだが、黒十字総統のご機嫌はよろしくなかった。

黒十字総統「弁解無用! はやくゴレンジャーを倒せ。倒せ。倒せー。」

相当お怒りのようである。生真面目な鉄人仮面は悩んだ。

こうして次回になった。
度重なる失敗に鉄人仮面は責任を感じ、自らを磔にさせた。
その場所はいつもの造成地(と思っていたけど稲城付近の採石場)である。

ゾルダー「どうぞ。」

ゾルダーは銃を渡した。

スチール仮面(声:大宮悌二)「うん。」

スチール仮面は銃を構えた…のだが、やめてしまった。

鉄人仮面「よーし、遠慮は要らん。私を撃て、スチール仮面。」
スチール仮面「は。」

そしてスチール仮面は銃を構え、引き金に手をや…ろうとしたのだが、やめてしまった。

鉄人仮面「どうした。はやく死刑執行しろ。」
スチール仮面「ダメです。私には撃てません。」

鋼鉄軍団の鉄の規律が伺えるセリフだ。これが日輪仮面だったら虹仮面なんかが喜んで銃殺していたことだろう。だが鉄人仮面は困惑した。

鉄人仮面「私は連戦連敗の将軍だ。総統閣下の御期待に沿えなかった。死んでお詫びをするしかないのだ。はやく撃て。命令だぞ。スチール仮面。」

なんだか鉄人仮面の目から涙が出そうな勢いである。
仕方なく

スチール仮面「は。では。」
鉄人仮面「うーん。」

スチール仮面は覚悟を決めた。

鉄人仮面「黒十字総統、万歳。」

と叫ぶや否や

黒十字総統「待て。」

その声を聞くや否や、スチール仮面もゾルダーも一斉に振り返った。

ゾルダー「ホイ!」

(磔にされている鉄人仮面以外の)皆、敬礼。
黒十字総統は銃殺刑を止めに来たのだ。

鉄人仮面「あ、総統閣下。」
黒十字総統「犬死は許さん。」

これを聞き、安心したのか

スチール仮面「はやく鎖を解け。」

鉄人仮面の磔は解かれた。

黒十字総統「見よ。」

すると飛行物体が何機も飛んできた。

黒十字総統「南米のナスカ高原から呼んだコンドラー戦闘機隊だ。コンドラー戦闘機隊は強力な援軍だぞ。もはやバリブルーンも恐るるに足りぬ。これまでの恨みを一気に爆発させろ。我が黒十字軍、反撃の時は来た。」

鉄人仮面とスチール仮面は深々と頭を下げた。
こうして鉄人仮面の気分は晴れたのであった。