フィクションなどから拾う情報処理用語 その4 コピペ (秘密戦隊ゴレンジャー)

秘密戦隊ゴレンジャー第61話「桃色のKOパンチ! エンドボール勝負」(脚本:曽田博久、監督:山田稔、技斗:岡田勝 (C) 石森プロ、東映

季節は初夏。
いつもの造成地(と思っていたけど稲城付近の採石場)にゴレンジャーを呼び出した者がいた。
なおキレンジャーに転換するのは大岩大太ではなく、
もっと巨大な熊野大五郎こと2代目である。
総司令によれば成績優秀だったと言うことだが初出動時はなかなか転換できず、アカ達が頭を抱えた、もとい、「精神を集中するんだ」と忠告した、あのウドの大木である(意見には個人差があります (C) 今夜も生でさだまさし)。
しかし転換後の大きさは初代とあまり変わらない気がする。
ニューゴレンジャースーツは体型までも変えるらしい。
閑話休題

海城剛「名を名乗れ。」
牛靴仮面「黒十字軍のエース! 牛靴仮面だ。」

すかさず新命明がこう返した。

新命「ボロ靴め! 何の用だ?」

それを聞いた(自称)黒十字軍のエース牛靴仮面と配下のゾルダーは全員こけた。
まるで吉本新喜劇を見ているかのようなノリであるが、
本放送当時は関東ではさほど有名ではなかったので、
東八郎てんぷくトリオコント55号などを輩出した浅草の喜劇のノリと表現すべきであろう。
それは兎に角、牛靴仮面は怒り狂った。よく見ればゴレンジャーのコピペなのかマントまでしている。

牛靴仮面「ボロ靴! ボロ靴とはなんだ! えー、かかれえ。」

と同時に戦闘開始。あっという間にゾルダーは倒され、牛靴仮面はゴレンジャーに囲まれたが

牛靴仮面「ええい、騒ぐな、ゴレンジャー。あれを見ろ!」

牛靴仮面が指差した先を見るとゾルダー2名がトランペットでファンファーレを鳴らし、ゾルダー達が行進してきた。行進して来たのは総勢5人。一人が先頭に立って赤い帽子を被り、その斜め後ろに2名ずつ並んで行進していた。毎回思うのだがゾルダーは何故雨後の筍の如く倒しても倒しても湧いて(?)出てくるのだろうか?

キ(2代目)「あれはなんだ?」
牛靴仮面「へ、へ、へ。貴様ら5人を地獄へ送ってやろうと思ってなあ。あっと驚く新兵器を用意してきたのだ。」
アカ「新兵器?」
牛靴仮面「それ。エンドボールだ。」

エンドボール? と思う間もなく先頭に立っていたゾルダーが真っ黒なボールを取り出した。
ゴレンジャーハリケーンのエンドボールを真っ黒にしたような感じのボールで流石にゴレンジャーのマークは入れられないので御丁寧にも黒い十字の印が入っていた。

ゾルダー「ホーイ!」

その黒いボールをゾルダーが牛靴仮面にパス。

牛靴仮面「よーく見ていろ。」

牛靴仮面はボールを咥えてジャンプ。
先ほどボールを投げた連中とは別のところにゾルダーが総勢7名横に並んでいるところの前に立ち、どっかで見たようなポーズでボールを押さえた。

牛靴仮面「行くぞー!」
ゾルダー「ホイ!」

ゾルダー7名全員、牛靴仮面同様に右腕を前に突き出して屈んだ。
まるでお控えなすってのポーズもといゴレンジャーハリケーンのポーズみたいである。
なお大野剣友会時代のゴレンジャーハリケーンのポーズもお控えなすってのポーズを岡田勝がコピペもとい翻案したものである。アクションがJACに替わってからはそのポーズを使わなくなってしまったのが非常に残念である。閑話休題
身構えるゴレンジャー。
すると先ほどファンファーレを鳴らしたゾルダーがまたファンファーレを鳴らした。
牛靴仮面はやおら立ち上がり、こう叫んだ。

牛靴仮面「黒十字ハリケーン 黒い十字架。アタック!」

本当にゴレンジャーハリケーンの完全コピペみたいな技である。
もっともゴレンジャーも黒十字軍も中身は大野剣友会の人達なのでコピペは容易である。
閑話休題

珍妙な曲が流れ出した後、

モモ「ゴレンジャーハリケーンと似てるわ。」

牛靴仮面はゾルダーに黒いボールをパス。
7名のゾルダーが投げてパスした後、

ゾルダー「ホイ!」

遠くにいたゾルダーがバック転した後、その黒いボールを受け取った。
器械体操のように軽快な動きなので中の人は上田弘司さんかもしれない。
体育大学に通っていた上田さんは教員免許を取得して卒業後は体育教師になる予定だったが、
アルバイトで大野剣友会が公演していた後楽園ゆうえんちのヒーローショーに出て
観客の歓声を聞いて調子こき、もとい、感動し、
大学卒業後に大野剣友会に入ったという経歴の持ち主だ。
今は新堀和男さんが立ち上げた会社レッド・エンタテインメント・デリヴァーに移籍している。
閑話休題

ボールを受け取ったゾルダーはアオがボールを置くようなポーズを真似てこう言った。

ゾルダー「殺人キック! ゴー!」

掛け声はゴレンジャーハリケーンよりも凶悪だ。

牛靴仮面「OK!」

やたらと大仰に両手で丸を作った牛靴仮面はボールに向かって突進。
この一連のポーズも技斗の岡田勝さんの発案であろう。
脚本も遊んでいるが殺陣師も遊びまくっているのである。
閑話休題

牛靴仮面「そーれ! ほりゃ!」

と黒いボールを蹴った。
まるでアカレンジャーみたいだが中の人は新堀和男さんではないはずだ、知らんけど。
空を跳ぶ黒いボールは突如変形。
黒い十字架になって爆発し、火の玉になって(?)ゴレンジャーに襲いかかった。
その火の粉が舞い落ち、モモレンジャーも餌食になった。

モモ「あーん」

本放送当時は小1だったので私は気づかなかったが、大人になった今観ると子供向け番組とは思えない、官能的な喘ぎ声である…とピクシブ百科事典でネタにされていたが、そのネタを読んでしまった後で観るとどうしても邪念が入ってそう聞こえてしまう。閑話休題

牛靴仮面「やったぞー! 大成功だあ。」

モモの声を聞き、もとい、黒十字ハリケーンが炸裂して大喜びする黒十字軍の皆さん…だったが、突如、火の玉(?)は消えてしまった。

牛靴仮面「あやややや!? 失敗か。おかしいなあ。こんな筈じゃあ。」

それを無視して(?)

アカ「みんな大丈夫か?」
ミド「ああ。どうやら生きているみたいだ。」

リーダーらしくアカは皆の無事を確認していた。

キ(2代目)「牛靴仮面、お返しをしてやるぞ。」

アドリブを交えて軽妙なセリフを話す大岩大太とは違い、熊野大五郎は台本通りのセリフである。

モモ「いいわね、行くわよ。」

形勢逆転(?) モモがイヤリングに右手をやると牛靴仮面は情けないことに右手で顔を隠し

牛靴仮面「いや、いや、いや。ま、待て。そいつは困る。ちょっと、ちょっと出直して来ます。」

と低姿勢になって逃げてしまったのであった。

アオ「逃げ足の速い奴め。」

以下、脚本を書いた曽田博久さんはゴレンジャーハリケーンのコピペネタだけで突き進む、剛速球ネタを用意したのであーる。伏線は四国松山でロケ(ただしゴレンジャーハリケーンの部分はどうみてもいつもの三浦半島の剣崎でロケ)した前話(もちろん脚本は曽田博久で監督は山田稔)から貼られているが残念ながら紙面の関係で書けない。

ゴールデン仮面大将軍「馬鹿者が!」
黒十字総統(2代目)「わしゃ帰る。」
ゴールデン仮面「総統閣下、ちょっとお待ちを。あのバカ!」
007「やっぱりね。」
ゴールデン仮面「総統閣下がお怒りではないか。このバカ。間抜け。このー、馬鹿者が! あ、総統閣下。」

が個人的には最大の見所である。
安直なコピペは不具合のもと。
良い方法とは言えないのである。
まあこういうなんかの番組からのコピペ記事も皆さん食傷気味であろう。

ちなみに牛靴仮面の最期のセリフは

牛靴仮面「俺はダメだなあ。」

であった。