詐称(あまちゃん)

あまちゃん 第13週「おら、奈落に落ちる」第78話(脚本:宮藤官九郎、演出:井上剛 (C) NHK)より

ここは東京EDOシアターそば(つまりアメ横)にある無頼鮨。ここにGMTのメンバーと水口琢磨が来ていた。衝立を隔てたところにある女性(薬師丸ひろ子)が座っていたのだが、メンバーは誰も気がついていなかった。

この前段、アキは天野夏(宮本信子)から寿司の相場は「(回ってないのは)2000円あれば大丈夫」と聞いていた。更に注文の仕方は

天野夏「メニューがねえ時はなあ、適当にって言うんだ。」

と聞いていたので

天野アキ「適当に」

と頼んでしまった。途端に水口の表情がこわばったのだが、アキはそれに気づきもしなかった。夏は北三陸辺りの相場で答えたのだろうが、無頼鮨の場合は…

そして注文の品が届き、皆、ご機嫌になった。水口は注意した。そして

水口琢磨「おい、お前、未成年のくせに飲んでいるんじゃねえよ。」

なんと宮下アユミは酒を飲んでいた。

宮下アユミ「すいません。年齢詐称。私はほんまは二十歳。今年二十一です。」
他のメンバー「ジェジェジェ。」
宮下アユミ「ジェージェー。」

驚く一同。詐称していた理由は

宮下アユミ「アメ女なんてサバ読んでる奴はめっちゃおるで。」
喜屋武エレン「まあ、売れたら勝ちさあね。」

それを聞いた水口は

水口琢磨「声でけえよ。誰が聞いてるかわかんないんだからね。」

と注意した。

だが詐称しているのはアユミだけではなかった。まあクレジットでは最初からバレバレだったのだが

遠藤まな(大野いと)「ごめんなさい。うちもウソばついてました。」

思わず年齢のことかと思う一同だったが

遠藤まな「年齢やなかと。ほんまごつば、うち、福岡出身ではなかとです。」

驚く一同。ではどこかと言えば、既にクレジットではバレバレだったのだが

遠藤まな「佐賀県出身です、ごめんなさい。」

今度は誰も何も言わなかった。この会話も衝立の向こうで女性が聞いていた。

遠藤まな「福岡と佐賀って隣同士で福岡のグループに所属してるし福岡出身で通した方がよかばいと言われて。」

それに対する反応は

入間しおり「ピンとこない。」
水口琢磨「あ、そうか。だから福岡出身という時に咳き込んでいたんだね。」

という感じのもの。遠藤は水口の言葉に頷いた。さて島田洋七が『佐賀のがばいばあちゃん』を出版したのが1993年だった。それは兎に角、遠藤が告白しても入間しおりの反応は淡白だった。

入間しおり「違いがわかんないよなあ。」
喜屋武エレン「なんくるないさあ。」
水口琢磨「いやあ、売れる前で良かったよ。」

郷土愛の強かった遠藤の怒りがここで爆発した。

遠藤まな「佐賀と福岡は違います。全然違うばい。」
水口琢磨「落ち着け。」

思わず梅頭はヒヤヒヤし、衝立の向こうの女性は話を熱心に聞き始めていたのに、GMTのメンバーと水口は気づいていなかったのであった。