期限(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第34話「軍配無用」(脚本:古市東洋司、監督:原田雄一 (C) 松竹)より

さて本題。勧進相撲が行なわれたのだが綱綿(大前均)と刀の岩(団巌)の取組(多分、結びの大一番だろう)で事件が起きた。綱錦の気迫に気押された刀の岩が立ち合いで待ったをした。立行司の日下清風(岩田直二)は綱錦の勝ちとしたのだが、これに物言いを言った男がいた。勧進元の大開の一蔵(多々良純)が合図をすると刀の岩を召し抱えようとしていた藩の家中の飯塚典馬(中村孝雄)がこう言い出した。

飯塚典馬「その勝負、待った。」

飯塚典馬は老中にこれが行司差し違えであると主張した。更には日下清風を無礼打ちにしたいと申し出た。老中は勧進元の一蔵に預けると決めた。だが先ほどの合図からも分かるとおり、一蔵と飯塚はグル。日下清風は「待ったで受けるのは既に気負け」と言い放った。飯塚は激怒し、斬りかかろうとしたが、周りの者に止められた。一蔵は部下の源次(平泉征)に合図。

源次「この勝負、大開の一蔵がつける。」

そして

大開の一蔵「日下清風、ご老中様のお言い付け通り、この勝負、わしが預かる。」

と宣言。すると清風は持っていた刀で自害してしまった。今でも大相撲の立行司は短刀を身につけているのだが、これは自分の命を持って判定するという精神の名残りなのだ。これを目の当たりにした綱錦はこう宣言。

綱錦「触るな! 立行司さんに触るな。てめえら指一本でも触ってみろ。その首の骨、へし折るぞ。」
大開の一蔵「綱錦、そこをどけ。」
綱錦「どかん!」
飯塚典馬「相撲取りが勧進元に逆らえば、どうなるのか知っているのか!」

すると綱錦は清風が持っていた短刀で自分の髷を切ってしまった。引退するというのだ。そして清風の遺体を清風の家まで運んだのであった。

そして寅の会。

吉蔵「では、本日の挙句をご披露します。
軍配の
いらぬ大開
一蔵や
虎漫筆。」

頼み料は十両勧進元なので大物だ。しかも付句もあるという。皆、二の足を踏む中、やはり鉄が競り落とした。地下室で

念仏の鉄「相手は大開の一蔵、飯塚典馬、それに源次って野郎だ。この仕事には条件があってな、四日以内にやってくれって。」

正八が疑問に思ったのだが

中村主水「今日から勘定して四日目は清風さんの初七日だ。」

そう。頼み人は清風の妻の梶(藤山喜子)だったのである。

そして色々あって殺しの分担は次のようになった。

さて鉄は何故か一蔵を殺す前に屋根の上で自分の手形を朱肉をつけてペッタン、ペッタンして、その紙をばら撒いて人々が群がっている最中に一蔵を殺したのを付け加えておこう。