フィクションなどから拾う情報処理用語? その69 隠蔽(仮面ライダーBLACK RX)

仮面ライダーBLACK RX 第38話「白骨ヶ原の妖舞団」(脚本:江連卓、監督:蔦林淳望、アクション監督:村上潤 (C) 石森プロ、東映)より

 

村上潤さんがアクション監督として独り立ちしたし、的場響子が再登場する話なので大いに盛り上がると思って勝手に期待したのが行けなかったのか、的場響子絡みで登場したマリバロンの失態をどうしても見逃すことができなかった。というか、ジャーク将軍までもマリバロンを間違った方向で庇うという、以前も観た失敗を繰り返して傷口を広げるとあってはやはり見過ごすことはできない。本来はもう少し、クライシス帝国の皆さんに頑張って欲しいのだが…

さて今回は一応次回の続きで亜硫酸ガス発生装置を活躍させるのだが、地上に放つのは南光太郎と霞のジョーの活躍もあって頓挫した格好になり、今度は地下空間に亜硫酸ガスを充満させようという、まあ悪くなさそうな作戦をマリバロンが中心となって遂行するのである。ただ今回マリバロンの指揮下に入るのが怪魔妖族 天空(声 - 木村有里)と聞き、私は「天空か。天空源一郎?」と余計なことを思い出してしまった。

これは制作者には何の落ち度もないことは承知している。実は関西圏では2022年11月10日 19:57 - 20:42 にNHK総合テレビで放送された鉄オタ選手権『南海電鉄の陣「第二戦」』に天空源一郎という人物が登場しているのである。鉄オタ選手権ではレーザーラモンRGが誰かに扮装(もっとも扮装するのは正確には『京阪電車の陣』からかな)して題材となった鉄道に関するあるあるネタを問題にするコーナーが第1回の『南海電鉄の陣』から恒例となっており、天空源一郎はレーザーラモンRGが扮装している人物なのだ。元ネタは二つある。一つは南海橋本駅から南海高野線を南下する観光列車「天空」で、もう一つは元々レーザーラモンRGが持ちネタとしていたプロレスラーである天龍源一郎。この二つを組み合わせて作り上げたのが天空源一郎なのである。天空源一郎が橋本駅から観光列車「天空」に乗り込んで紹介するという力技を披露した後、また橋本駅構内に止まる観光列車「天空」車内から(関西編では久しぶりに)替え歌(「剛さんの大好きな天龍源一郎の入場テーマ」である「サンダーストーム」の一部に歌詞をつけたもの)を歌いながらも南海のどこかの工場(おおよそのあたりはつくのだが字幕では出ない)にもしっかり登場した後に(各チームの解答後に)披露されたあるあるネタ

岸里玉出駅10回言ったら一度は噛みがち〜

というくだらなさすぎる(礼二もヒントでそう言ったので各チームともほぼ正解した)ネタに私はドツボにハマり、大笑いし、何度も何度もNHKプラスを再生して観てしまった。なお、今は関西圏にいなくても放送後しばらくすれば全国どこからもNHKプラスで観られるようになったので便利な時代になったものである。全くの余談になるがレーザーラモンRGもレーザーラモンHGもプロレス好きなのだ。気がついたら順番が逆になっちゃったが気にしていないと思う。

とまあ、例によって前置きが長くなってしまったが、本題にそろそろ入ろう。戦いの最中、マリバロンは迂闊にもこんなことを口走ってしまったのだ!

南光太郎「マリバロン、お前は地球をがらんどうにしてまで地下王国を作る気か!」

マリバロン「(光太郎の言葉に答えて)そうだ。作らなければ怪魔界50億の民を迎え入れることはできん。」

まあ、マリバロンは的場響子を人質に取ることに成功して優勢に戦いを進めていたので油断したのだろう。おや。なんだか嫌な予感がするぞ。こうやって失敗した事例は何度もあったのだ。

南光太郎「馬鹿げた妄想だ!」

マリバロン「黙れ!」

予感が的中しそうな臭いがしてきましたよ。

南光太郎「(なぜか歩きながら。まあ演劇ではよくある手法なので、ここはツッコミどころではないが)マリバロン、地球には合わないんだ。その証拠に第一陣500名は全て滅びたんだろう!」

光太郎自身も自覚していなかったのだろうが、どうやらこれがトドメの一撃(大門豊談)となったようだ。

マリバロン「黙れ! 黙らんか! 悔やんでも悔やみきれないのは第一陣500名に我ら幹部が着用している強化細胞を与えられなかったということだ。」

あー。という声が聞こえそうな重大機密をマリバロンはポロリとこぼしてしまったのだ。なおマリバロンの発言直後に南光太郎の顔がアップになるのだが蔦林淳望監督はしっかり仕事をしていると思う。

南光太郎「強化細胞!?」

思わず部下の天空源一郎もとい天空はこう言ってしまった。

天空「マリバロン様、それは、極秘の極秘事項。」

この後は書かなくてもわかるよね。やはり的場響子は救い出され、天空は倒され、マリバロンは撤退する羽目に陥った。しかも情報漏洩のオマケ付き。

さて、当然の事ながら、若造(松井哲也さんは21歳になる直前!)ながらすごい能力の持ち主(松井哲也さんは倉田保昭さんの内弟子で香港で修行もした!)である査察官ダスマダー大佐(この階級もクライシス帝国の既存メンバーをイラっとさせる理由の一つ)は当然これを問題視。マリバロンを詰問した。自らの過失が原因とは言え大佐に詰問されるマリバロンの胸中やいかに。

マリバロン「(アジト(おそらく大谷石の採掘場所かなあ)の隠蔽にも失敗して)おのれ、ロボライダー。この恨み忘れてなるものか。」

それは逆恨みではないのかね。そんなことは当然瑣末な指摘にすぎない。便利な言葉だねえ、実相寺監督はやはり非凡。いや、そんな事を言いたいわけではない。

ダスマダー大佐「マリバロン、お前は重大な任務に失敗した。その上、強化細胞の秘密まで南光太郎に漏らした。」

この時の高畑淳子さんの演技は見事だが

ダスマダー大佐「皇帝陛下の名において、お前を処刑する!」

すごい音楽が流れる中、剣を抜いたダスマダー大佐が処刑開始。21歳になる直前で見せる動きとはとても思えない凄い迫力で思わずマリバロンもたじろぎ、後ろへ下がるほどであったが、そのダスマダー大佐を倒した(一応)者がいた。それは

ジャーク将軍「マリバロン。そちは予の同志。ダスマダー如きに殺させはせん!」

あちゃー。この場面は前も観た気がする。

hirofumitouhei.hatenadiary.org

だがこの方々は懲りていないようだ。高橋利道さんと加藤精三さんと高畑淳子さんの演技は見事なのだが…

マリバロン「ジャーク将軍。」

なんとマリバロンは引き揚げるジャーク将軍の後をついていって、そのまま立ち去ってしまった。背中にジャーク将軍の(だと思う)剣が刺さったままでうつ伏せになって倒れていたので油断してしまったのだろう。もちろん、それは甘かった。この直後、ダスマダー大佐は目を開けてしまった! あーあ。さらには不適な笑みまで浮かべている。あーあ。というわけで私はダスマダー大佐の次の出番を確認した…のだが、ああそうですかという時にやはり再登場するのである。他の要因も相まって仮面ライダーBLACK RXを本放送当時観なかった理由の一つも思い出してしまった一幕であった。

とりあえず二見書房の「仮面ライダー大研究」でも読んでネタに昇華する方法を会得できるようにならないかなあと思ってしまった。いや、ホントはそんな捻くれた見方などしたくはないのだが、やはり仮面ライダーBLACK RX仮面ライダーシリーズだったのだなあ、と確信した場面でもあったのは確かだ。うん。