フィクションなどから拾う情報処理用語 その13 なりすまし (仮面ライダーV3)

仮面ライダーV3 第47話「待ち伏せ! デストロン首領!!」(脚本:伊上勝、監督:折田至、(C)石森プロ、東映)より

「続きは映像で」と書いてしまったが、その続きである。

この日は1974年1月5日。ライダーマンがアジトに乗り込んだ頃、風見志郎は正月パーティーに参加していた。

黒ずくめの男「風見志郎君。デストロンからのお年玉を差し上げよう。」

芸の細かいことにお年玉まで用意していたのである。
黒ずくめの男が白い布を外すとシーラカンスが現れた。

風見志郎「あ! 3億年前の魚。シーラカンス。」

と言うや否や

シーラカンスキッド「ウワオー。」

シーラカンスデストロンの怪人シーラカンスキッドになった。

シーラカンスキッド「デストロンパーティーのパートナーはこのシーラカンスキッドだ。」
志郎「デストロンの怪人。物騒なパートナーは、俺の方から願い下げだ!」

で変身するのかと思ったら、

志郎「ト、トー! トイヤー! 」

まるで後のアオレンジャーを思わす掛け声をかけながら黒ずくめの男達と戦った。
そういえば宮内洋は生身で戦うのが好きだった。
脚本家や監督や殺陣師に意見を言って、仮面ライダーV3の出番を極力削って自分の出番を増やしていたのであーる。閑話休題

志郎「ふん。変身! ヴイスリー!」

宮内洋は「変身! ヴイスリャー!」と言っていたという都市伝説(?)があるが、私は何度聞いても「変身! ヴイスリー!」にしか聞こえない。それは兎に角、風見志郎は変身して仮面ライダーV3になった。

仮面ライダーV3「トー! トー! トー! トー!」

(さっき倒したはずの)黒ずくめの男達を倒したV3はシーラカンスキッドとも格闘を開始した。だがシーラカンスキッドは口から赤い風船を飛ばした。風船はV3の前で(なぜか)爆発。V3は悶絶した。それでもV3はシーラカンスキッドと戦っていたが、突如、シーラカンスキッドが逃げ出した。当然、追いかけるV3。

一方、ライダーマンは屋敷の部屋のドアを開けようとしていたが、鍵が閉まっているのか、開かなかった。で別のドアのノブを回しながら

ライダーマン「どこだ、ヨロイ元帥。卑怯者の姿を見せろ!」

やはり頭に血が昇っている。すると戸が開いた。その先にヨロイ元帥が座っているのが見える。

ヨロイ元帥「ここだ。逃げも隠れもせん!」
ライダーマン「そこか。」

中にはいるライダーマン。ヨロイ元帥は不敵に笑って立ち上がり、こう言った。

ヨロイ元帥「待っていたぞ、ライダーマン。いや、裏切者結城丈二。」

この言葉を聞いてライダーマンは逆ギレもとい怒り狂った。

ライダーマン「ヨロイ元帥、今日こそ恨みを晴らしてやる。」

そう言うのはV3のようなプロの人(よく考えたら職業にしているわけではないが、まあそれは置いといて)に任せるべきだと思うのだが、それはそれ。
ライダーマンは猪突猛進の人なのだ(溜息)。
ライダーマンはヨロイ元帥に駆け寄り

ライダーマン「ヤー! 」

と飛び交ったが、悲しいかな、ヨロイ元帥の敵ではない。跳ね飛ばされてしまった。ライダーマンは反撃しようとしたが、その時、ライダーマンの上に鉄の縄(だと思う)が落ちてきて、ライダーマンは拘束されてしまった。

ライダーマン「しまった。」

後の祭りである。

ヨロイ元帥「良いざまだな、ライダーマン。」
ライダーマン「俺を捕まえても無駄だ。まだV3がいるぞ。」

ライダーマンは自分が何故そうされているのかまではわかっていなかった。
科学の知識は一流だ(ったかもしれない)が戦いの方は素人である。
ヨロイ元帥は真の狙いを告げ始めた。

ヨロイ元帥「そうかな。果たしてライダーV3は助けに来るかな。」
ライダーマン「もちろんだ。」
ヨロイ元帥「今、面白いものを見せてやる。」

外ではV3とシーラカンスキッドの戦いが続いていた。

ヨロイ元帥「シーラカンスキッド。」

その声をV3もシーラカンスキッドも聞いた。
V3の動きが止まった隙にシーラカンスキッドは逃走し、また屋敷の中に入った。
追いかけるV3だったが、シーラカンスキッドは何かを跨いで逃げた。
おや。どこかで見たようなもの、というか、人である。
床に寝そべっていた。
この場面がヨロイ元帥のいる部屋にあるテレビ(だろう)に映っていた。
V3がシーラカンスキッドを追いかけてその寝そべっている人に気づかず通り過ぎた、まさにその時、

デストロンライダーマン「V3。」

なーんとライダーマンと同じ声だ。というか、姿も一緒である。
V3は思わず立ち止まり、振り返った。

V3「ライダーマン。」
デストロンライダーマン「V3。」

それをしっかり観た(本物の)ライダーマン

ライダーマン「あ、あれは…」

絶句した。

ヨロイ元帥「観たか。デーストロンライダーマンだ。」
ライダーマンデストロンライダーマン!?」

今度はどう観ても全く同じ姿である。

V3「しっかりするんだ。」

V3はライダーマンの仮面を外した。すると現れたのは結城丈二(そっくり)の顔だ。

ライダーマン「あ、俺の顔まで。」

ここまで再現して(というか本人が演じて)いたのだ。

ヨロイ元帥「顔ばかりか、声までも同じだ。」

そうとは知らないV3はデストロンライダーマンを肩に抱えて逃げようとした。

ライダーマン「ライダーV3、それは俺じゃない。偽者だあ。」

だが

ヨロイ元帥「怒鳴っても無駄だ。この部屋は完全防音だ。」

万事休すである。

ライダーマン「俺の偽者に何をさせるつもりだ。」
ヨロイ元帥「ライダーV3は、味方と信じるライダーマン、いや、結城丈二に殺される。そして少年ライダー隊の全滅。最後の仕上げには、東京都民皆殺し。全ては結城丈二のやったことになる。」

少年仮面ライダー隊は川崎市多摩区にあると言う情報をデストロンは掴んでいたはずだが、ヨロイ元帥は勢いもあってかこう言った。東京都だけで良かったらしい(わけではないとは思うが)。

さあ、果たしてどうなるか。今度こそ、続きは映像で確認していただきたい。アッと驚く展開が待っている。デストロンライダーマンの正体はシーラカンスキッドだった…って先程の展開とは矛盾しているような気がするのだが、そういう話だから仕方がない。

それにしてもこのネタ、一年前にもやったばかりだよ、伊上勝さん。