フィクションなどから拾う情報処理用語? その67 探索(仮面ライダーストロンガー再登場)

スカイライダー 第21話「ストロンガー登場 2人ライダー対強敵2怪人」(脚本:伊上勝、監督:山田稔、技斗:岡田勝 (C) 石森プロ、東映)より

 

そろそろ終盤に入ろうとしている(?)仮面ライダーBLACK RX。もうすぐ先輩ライダー登場となるはずなのだが、正直申し上げて複雑な気分になってしまう。先輩ライダーのスーツアクターWikipediaで少し見ただけでもシン(敢えてこの言葉を使います)の岡元次郎さん(すなわち澄川真琴さんや砂川真吾さんなど)と同期の人やら2期下の人やらいらっしゃるので否応なく力が入っていたこともわかってしまった。更にはもう少し下の世代の人、しかも私と同年の人までいるので、その意味でも脂の乗り切ったであろう人が揃ってしまったのがわかってしまったので、さあどう観るべきなのかなあ、とどうしても考えてしまうのである。その理由を明確に語ることはとりあえず置いておこう。やはり機動刑事ジバンのように無の境地(また大袈裟な)に達しないとダメなのかなあと考え過ぎてしまう時が否応なく近づいているのである。

とまあ、こんなことまで考えてしまうのはそれなりの理由が当然ある。私はギリギリながら「仮面ライダーはストロンガーで終了した」ことを体験してしまった世代なのだ。ということはどうしても、この後制作された仮面ライダーの番組についても色々と考えてしまうのだ、どうしても。そしてやはり取り上げざるを得ないのが、所謂スカイライダーに仮面ライダーストロンガーが再登場した話なのである。その辺りの事情についてはある程度書いた。

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この時は前後編にして盛り上げようと東映が頑張っているのはわかった。前編でちらっとずつストロンガーを紹介していることはわかった。ストロンガーの姿も当時とあまり変わっていないこともわかった。ストロンガーが先輩として後輩にあたるスカイライダーにアドバイスを送っていることもわかった。だが、何かが違うことが否応なくわかってしまったのである。それは寄りによって一番最後(?)、チャージアップしないまま(ここが重要)のストロンガーがこう叫ぶ。

ストロンガー「行くぞ"!」

うん。だがストロンガーがジャンプして、なんとこう叫んだ。

ストロンガー「超電子ドリルキック!」

え!?

もう一度書こう。

ストロンガー「超電子ドリルキック!」

そう。チャージアップして超電子人間にならずに超電子ドリルキックを放ってしまったのだ!

そりゃ、最初に呼ぶライダーをストロンガーにした理由はわかった。声が違う件は気づいていたかどうかは記憶が曖昧だが、そこは気にならなかったのだろう。だが、放つ技の細部はしっかり覚えていたので、チャージアップして超電子人間になって放つはずの技をチャージアップせずに放つことに違和感を覚えてしまったのである。しかも当時は小学校4年生くらいなのでそれなりに色々考えてしまう年齢である。ゲストで呼ぶライダーのために2体も着ぐるみを作る予算などケチりたい気持ちは大人になった今ではわかるのだが、子供の頃はそこまで大人の事情を察することなどできるわけがない。ここでもう私はスカイライダー(本当は「仮面ライダー」という題名だったけど敢えてこう書く)に違和感を抱き始めてしまったのだ。その後はV3再登場時は(そこがまた微妙なのだが)声のみがオリジナルと同じ宮内洋さんだったのだが、その後が…後述する理由も相俟って微妙な感じの記憶だけが残ってしまったのである。

似たような違和感を感じてしまった人は多かったらしく、それなりに聞いてしまう。さあ困った。以後、私が安直に父から(と母から聞いている)の無茶苦茶な提案である「子供向け番組」を観るのをやめろという提案を安直に受け入れる元になってしまったのだ。そしてTBSは毎日放送制作の番組を全くと言っていいほど再放送しなかった。更には、これは後で気がついたのだが、仮面ライダースーパー1についても酷すぎるとしか言いようのない事をしているのだが、それはとりあえず置いておこう。兎に角、仮面ライダーシリーズは関東地方では全くと言っていいほど再放送されなかったのだ。唯一の例外は私が中学校3年生の時、最初の仮面ライダーのしかも初期の話だけを土曜日の朝(よく考えたらジンドグマ編の時の仮面ライダースーパー1と同じ時間帯なのだが、それさえもなんとなく察した感じであった)7:00 - 7:30 に放送しただけなのだ。それも旧1号編の異常な人気に繋がったかもしれないが、それ以上の事はよく知りません(桂歌春談)。

そんな状態で向き合ってしまったのが仮面ライダーBLACK RXなのである。本放送当時、自宅にはビデオテープレコーダーなどなかった。否応なく本放送当時の記憶しかなかったため、どうしてもフィルタリングして観てしまう様になってしまったのだ。だから私は先輩ライダーの登場は制作者の思いとは逆に微妙なイメージをどうしても抱いてしまうのである。

そして、これで終われば良かったのだろうが、今度は多チャンネルの時代に入り、私も実家を脱出して(まさにそう思ったので実家にはほとんど寄り付かなかった)国分寺へ移り住んだ頃にはケーブルテレビで視聴可能となった。そしてファミリー劇場でスカイライダー 第21話「ストロンガー登場 2人ライダー対強敵2怪人」(脚本:伊上勝、監督:山田稔、技斗:岡田勝 (C) 石森プロ、東映)で

ストロンガー「でーんきショック!」

と叫んで放つ技はどう観ても、エレクトロファイヤー。もうダメだ。ついに私は別物と認定してしまい、以後はスカイライダーの再放送の度にオリジナルのストロンガーとの違いを探す、すなわち探索するようになってしまったのである。いや、大人の事情は理解できる年齢には既になっていたのだが、まさにドツボにハマってしまったのだ。負の連鎖から抜け出せなくなってしまったのだ。

そしてこれは本当につい最近気がついたのだがスカイライダー 第21話「ストロンガー登場 2人ライダー対強敵2怪人」(脚本:伊上勝、監督:山田稔、技斗:岡田勝 (C) 石森プロ、東映)でストロンガーはスカイライダーにこう言い放っている事を東映チャンネルで見てしまった。以前は何故か気になっていなかった。だが

ストロンガー「かつてオレ達7人ライダーは命懸けの特訓で(は?)強敵と戦い、それを倒してきた。」

と言い放って大回転スカイキックを会得すべく特訓しなさいとスカイライダーに忠告するのを観ると、正木博士による再改造手術を受けて超電子人間にチャージアップできる様になっていることを知っている(さらにファミリー劇場東映チャンネルなどの再放送などでリスキリングまでしている)私はもはや「あなたはそうではなかったでしょう。」と苦笑いを浮かべるしかなくなる状態にまでなってしまったのだ。まあ成功する確率は低いとか正木博士は言ってはいたように思うので広い意味で言えば特訓なのかもしれないが、こうこじつけないとダメなところが悩みどころなのだ。単に伊上勝さんが、それこそ紙芝居のように、勢いで入れただけの場面だったのかもしれないけれどもね。

いやあ、困ったなあ。やっぱりストロンガーではなくてV3を出した方が良かったのではないかなあとは思うけど、それは私のような一視聴者が言えることでもないしねえ。制作者に委ねるしかない問題だと私は思うのだけれども、そうではない人が「ちむどんどん反省会」を作って(正確には違うけど)人間の嫌なところを更にピックアップしてしまうのでしょうねえ。気持ちはわかるけどやめた方がいいですよ。似たようなことをウルトラシリーズについて上原正三さんも生前証言してましたっけ。

ただ今度はなんかの映画に神敬介役で速水亮が出た時に…もうダメだ。なので先輩ライダーの人気になまじ頼らない方が良いのではないかなあと実体験も踏まえて考えてしまうようになってしまうのだ。もはや笑うしかない状態をどうすれば良いのか、それ以上の事はよく知りません(桂歌春談)。とふざけるしかないのである。

ただ藤岡弘、さんがよりによってあのお年のまま仮面ライダー1号を演じた時は、オリジナルとは全く違うと言い切って良い姿だったにも関わらず、受け入れてしまったんだよねえ。それも何故だか、それ以上の事はよく知りません(桂歌春談)。