フィクションなどから拾う情報処理用語? その66 なりすまし(仮面ライダーBLACK RX)

仮面ライダーBLACK RX 第37話「牙むく獣人忍者隊」(脚本:江連卓、監督:蔦林淳望、アクション監督:村上潤 (C) 石森プロ、東映)より

 

なんだかんだ言って第37話まで観てしまった。第47話が最終話なのでなんだかんだ言って最後まで観るのは間違いないだろう。この話は色々と見所はある。まず霞のジョーが帰ってきたことである。まあ劇中では入院しているのだが、演じていた小山力也さんの証言(以後、特に断らない限り「証言! 昭和ライダー 昭和」)によれば

劇団俳優座では年に一回、劇団員や準劇団員、研究生の査定をするための発表会があるんですが、それに参加するための稽古や発表会当日の時間を作る都合で、『RX』への出演が困難になった期間があったんです。それで、吉川さんや堀さんにお願いして第26話(『ボスガンの反撃』)の時にボスガンとの戦いで重傷を負って戦線を離脱し、第37話(『牙むく獣人忍者隊』)で復帰するというストーリーにしていただきました。

とある。なるほど。それくらい長期間(8話分)の時間、あれだけ活躍した霞のジョーが重傷を負って入院していた理由がわかった。更にそれまで金田治さんと連名だった村上潤さんがアクション監督を単独で担当するようになった。私は村上潤さんが実務を担当して金田治さんが保証人のような感じだったのだろうと「太陽にほえろ!」の事例に合わせて考えていたのだが、実際は本当に分担していたようで、同じく小山力也さんが証言しているので最小限の範囲(本当はもっと引用すべきだと思うのだが)を引用しよう。

高校時代から空手の修行をしていたことが役立ち、アクション撮影は特に楽しかったです、ただ、霞のジョーが得意としている〝釵〟を使った演技は、アクション監督の金田治さんや村上潤さんに指導していただきました。

本当はもっと語っているのだが、これにより、金田さんと村上さんが分担していることがわかる。ここからは私の仮説に過ぎないが、おそらく最初は補助として金田さんもついていたのだろう。そして徐々に村上さんが補助なしでアクションをつける場面が増えて金田監督の補助なしで単独で担当できる目処がついたので、第37話から村上潤さん単独名義となったのではないだろうか。

更に特筆すべきは白鳥玲子が久しぶりに(あれ? ここで抱いた違和感については後にどこかで語るかも知れないが、この記事の本題ではないので割愛)本格的なアクションを見せること。更に更に意外にも吾郎(小野寺丈)が戦場となる風神村までやってくるのである。これは本当に意外だったが、一応、見せ場は設けられている。一瞬、石ノ森章太郎さんに見えるなあと私が思った場面もある。ただコケるだけだったかも知れないけど。

さてこれだけ語るべきことの多い話が面白くないわけがない(逆に言えば今までの話の中でイマイチなものもあったということになるが)。だが、前置きが長過ぎたとは言え、このシリーズの記事は情報処理用語らしきものに繋がりそうな場面を拾い上げるのが趣旨。やはりあったのである。しかもよくある(裏を返せば「またかね」と言いたくなる)ネタが。なりすましネタである。本当に多いのね。そしてバレるパターンもほぼ同じ。でもあったので書くとしよう。

というわけでやっと本題に入る。前回はやたら長かったが今回は前よりも短めとなると思う。と書きながら本題に入っていないねえ。

さて霞のジョーは風神村にあるクライシス帝国のアジトに乗り込んだ。ボスガンがクライシス帝国の移民第一陣(未だ諦めなかったのがやはりグダグダなのだが、どうも皇帝陛下の方にもそれなりの理由があるようだし、日本でも最近見かけたような気がする)がやって来るための準備をしていた。霞のジョーは彼なりに活躍したのだが、一歩及ばず、ガイナニンポー(声 - 神山卓三)に捕まってしまった。霞のジョーの顔を掴んだガイナニンポーは

ガイナニンポー「貴様の顔をしばし借りる。」

とほざいた後、本当にアッという間に服も含めて霞のジョーそっくりの姿になってしまった! 顔だけではなかったの? もちろん、それは瑣末な疑問に過ぎない。本当に便利な言葉だねえ。実相寺昭雄監督はやはり非凡だ。とか言っている場合ではないね。閑話休題

霞のジョーは床に転がされ

ガイナニンポー「ガイナ忍法顔写し。ウキー。」

聞き取ったので漢字などが間違っているかも知れないが、一応、こう言ってはいる。なお今まで書かなかったが、ガイナニンポーは忍法が使えるようだ。やはりダジャレなのかね。私が「クライシス帝国の刺客」という表現をよく使う気持ちがご理解いただけただろうか。しかし、名は体を示すというのだが、やはり何かが足りないのだ。顔だけではなくて服もコピーしたから問題ないって? いやいや。もっと本質的なところが足りないのだ。更にセリフで想像がつくかもしれないが、おかしなところが残ってしまっているのだ。まあガイナニンポーのモチーフはサルなのかもしれないねえ。まあ前回を思い出して欲しいのだが、次の場面に進もう。

というわけで偽者は南光太郎、白鳥玲子、吾郎のいる風神村の家に来た。一応、吾郎は吾郎なりに努力しており、子供達の食事を作ったりしている。フライパンだけ持った状態で現れた時は「は?」と思ったのだが、彼は彼なりに役立っているのである。まあこれが江連卓さんが好きそうなテーマと言えよう。偽者は怪魔忍者隊をほぼ全て撃退して光太郎と玲子(なぜ玲子は今まで戦闘しなかったのかなあ、というのが、どうしても抱いてしまった大きな疑問だが、これについても後で別の形で述べるだろう。)に加勢し、ほぼ全ての作戦を事実通りに光太郎達に述べた。まあここまではうまくいった(実はここでもおかしな癖が出ているのだが、それは置いといて)。偽者は今回の作戦を包み隠さずほぼ全て隠すべきところは隠して話した結果、いつの間にか外へ出ていた(吾郎と)子供達は興奮が抑えきれなくなった。親を助けたいと思ったのだろう。

南光太郎「待つんだ、みんな。君達のお父さんやお母さん、必ず僕達が助け出す。それまでみんなここに隠れていてくれ。」

そこへ吾郎と白鳥玲子がやってきた。

南光太郎「玲ちゃん、吾郎くん、頼むぞ。」

これを聞いた私は「え! やはり白鳥玲子は補助戦士扱いなの、ダイアナレディーと同様に。」と勝手に思って落胆したのだが、そこはこのネタでは大事なところではない。大事なのはここから。南光太郎と偽者は一緒に去っていったのだが、それを見送りながら、やはり何かが違うことに気がついた者がいた。

偽者「(お猿さんのように頭をかきながら)ウキー。」

あーあ。当然

吾郎「今のジョーの顔見た!? (一度玲子の顔を見た後、また偽者の方を向いて)気持ち悪い笑いだったなあ。」

なお白鳥玲子は無言だったが吾郎と一緒に口あんぐりしているように見えなくはない表情をしていた。

まあここである程度の流れが見えてしまっただろう。そう、あんたの思った通りだよ、師岡さん(中村主水談)。そういえば師岡を演じた清水紘治ウルトラシリーズでも戦隊シリーズを悪役を演じていたよねえと余計なことを思いつつ、続きは映像で確認してほしい。

これだけ簡潔に書けるネタもあるんだからさあと思ってしまったのだが、過去の話だから仕方がないかな。