フィクションなどから拾う情報処理用語 その9 部分一致 (仮面ライダー)

仮面ライダー 第72話「吸血モスキラス対二人ライダー」(脚本:鈴木生朗、監督:山田稔、技斗:岡田勝、(C) 石森プロ、東映)より

立花レーシングクラブの一行は前回の有馬温泉に引き続き関西をバスで旅行していた。
なお、本郷猛と滝和也は別行動である。
また一文字隼人は本郷と入れ替わるように南米へ旅立ってしまった。
重傷を負った藤岡弘、の傷が癒えた事を受けて毎日放送はダブルライダーを前面に押し出したかったのだが、佐々木剛が「元々は藤岡君の番組だったから」と固辞したのが理由である。
閑話休題

バスは紀伊勝浦に着いた。
有馬温泉から移動したのだからかなりの長旅だと思うが川崎の生田付近在住の彼らから見れば誤差であろう。
今回の宿はそこである。
ナオキとミツルは昆虫採集に出かけた。
しかし、夕方になっても戻ってこない。
そこで藤兵衛達は宿の番頭とともに探しに行ったのだが、
熊野那智大社で事件は起きた。
と書いたが、よく考えたら徒歩で移動したのだから登場人物は皆、健脚だ。
藤兵衛、ユリ、ユリの友人ヨッコ、そしてこれまたユリの友人チョコは参道(だろう)で番頭の白骨死体を発見。

モスキラス「ブールヨイーン! 来たな。」

モスキラスが木の上から現れた。

立花藤兵衛「やっぱりショッカーの仕業か。」
モスキラス「貴様達も番頭のようにしてやる。」
立花藤兵衛「逃げろ!」

藤兵衛は逃げて熊野那智大社に着いた。
戦闘員まで現れて絶体絶命のピンチ。

とそこへ仮面ライダーがやってきた。
だがよく観ると何かが違う。
改造サイクロンを駆り、手袋とブーツは赤色。
体の線はぶっとい1本である。
有馬温泉で戦った仮面ライダー
新サイクロンを駆り、手袋とブーツは銀色。
体の線は細い2本線であった。
別人である。
しかし、ショッカーの連中も藤兵衛達もそこまで注意して見なかった。
まさに非常事態だったからだ。
冷静な視聴者と違って、そこまで注意する余裕などなかった。
全体の様子が似ているので部分一致し、
本郷猛が変身した仮面ライダーだと誤認したのである。
もっともユリ達が本郷猛や一文字隼人が仮面ライダーと知っていたかどうかはこの時点では不明だが。
それは兎に角

モスキラス「来たな、ライダー。」
藤兵衛「よし。みんな、逃げろ。」

形勢逆転。仮面ライダーの加勢もあって色々あった後、モスキラスは退散した。

藤兵衛「ちきしょう、逃したか。ライダー。どこ行くんだ?」

仮面ライダーが鳥居の柱をぐるっとまわると

一文字隼人「お久しぶりです。」
藤兵衛「隼人! お前だったのか! どうしたんだ?」

突然の再会に驚きつつ喜ぶ藤兵衛。

隼人「ショッカー南米アマゾンの奥地で作った改造人間モスキラスを日本へ送り込んだという情報をキャッチして追ってきたんです。」

本当の理由は東映から(夏枯れ対策として)出てくれと佐々木剛が頼まれたからである。閑話休題

藤兵衛「そうだったのかあ。いや、俺達は夏休みを利用して遊びに来たんだがな、まさかこんなところにショッカーが現れるなんてえ。」
隼人「奴らは太平洋を臨むこの紀伊半島の南端に基地を作ろうとしてるんです。」
藤兵衛「なるほど、そうか。」

とここまで聞いて藤兵衛は思い出した。

藤兵衛「あ、しまった。」
隼人「どうしたんです?」
藤兵衛「ナオキ達が危ない。」
隼人「え?」

一文字隼人は当然ナオキとミツルとは面識がない。
かくして一文字隼人も(自分からすすんで那智まで来たとはいえ)藤兵衛達の受難に巻き込まれることになってしまったのであった。