フィクションなどから拾う情報処理用語 その34 再利用 (ジャイアントロボと仮面ライダー)
東映チャンネルや東映特撮ファンクラブで色々な番組を観ていて気がついた事をこの記事では書く。
まずジャイアントロボ 第11話「恐怖の人喰い砂」(脚本:伊上勝、監督:田口勝彦、技斗:久地明 (C) 東映)の話をしよう。
ユニコーンの南極支部が流砂に襲われる事件が起きた。
その調査にユニコーンのニューヨーク本部からの指令で日本支部が当たることになった。
そして草間大作ことU7と南十郎ことU3が出動することになった。
何かがおかしいような気がするのだが、そこは東映特撮番組 アーンド 伊上勝脚本である。
第21話「ミイラ怪人」(脚本:伊上勝、監督:田口勝彦、技斗:久地明 (C) 東映)で何気にジャイアントロボはマッハ17で宇宙を飛ぶのであーる。凄すぎる速さだぞ。これだけで適当な作りであることがわかるだろう。
だから気にしては行けない。問題はここからだ。
出動を志願したU7にマリー 花村ことU6がこう言った。
U6「大作君、お願い。」
U7「女の子は連れて行けない。」
ジェンダーフリーの観点から見ると明らかに酷い理屈だがこの話が放送されたのは1967年12月20日。(恐ろしいことに)既におばさんになってしまった森高千里が生まれる前。半世紀以上も前なのだ。そういう時代だったのである。本当の問題はここからだ。
U6「うーうん、違うの。あたしまだ雪って見たことがないの。お土産に雪持ってきて。」
えーと、U6はニューヨークにあるユニコーン本部から派遣された人である。ニューヨークでも雪は降る気がするのだが…だが今回問題なのはこれでもない。本当の問題はここからだ。
U7「冗談じゃない。僕達は南極見物に行くんじゃないんだぞ。」
U3「まあまあ、U7。マリーちゃんのためじゃないか。」
これも別に問題ではない。本当の問題はここからだ…何回、この言葉を使ったのかねえ。
U6「じゃあ、あたしのお守り持ってって。」
と言ってU6はペンダントを出してU7の首にかけた。
!!!
ここで私はあることに気がついたが、とりあえずそれは置いといて、U7はこういった。
U7「ちぇ、こんなお守り。僕のお守りはこれさ。」
U7はジャイアントロボに指令(「ロボ、がんばれ!」のように適当極まりないものが実に多いが)を出すための腕時計型の発信機を示した。
とりあえず、先へ進もう。話は一気に1971年5月29日に飛ぶ。
仮面ライダー 第9話「恐怖コブラ男」(脚本:山崎久、監督:山田稔、技斗:高橋一俊 (C) 石森プロ、東映)が放送された。日本の金保管所が襲われた。そのニュースを知り、城南大学の助手(に過ぎないのだが)の本郷猛は立花藤兵衛が営むスナックアミーゴへオートバイを走らせていた。ノーヘルで藤岡弘、が運転している本郷猛である。
本郷猛「今度の事件もきっとショッカーの仕業だ。奴らの目的は?」
あれ? 声が藤岡弘、のものではないぞ。実は藤岡弘、はこの話の撮影最中にオートバイ事故を起こしてしまい、番組どころか自身の俳優生命をも危うくなりかねない重傷を負って入院していた。なので声は納谷六朗さんが当てている。のちの「クレヨンしんちゃん」で組長先生もとい園長先生を演じた方でなんとショッカー首領を演じた納谷悟朗さんの弟である。なお、後の第66話と第67話ではこれまた別の理由で仮面ライダーの声を市川治が当てており、その話では本郷猛は一切出ない…のだが今回問題なのはこれでもない。本当の問題はここからだ。
スナックアミーゴでは偶然にも(としか言いようがない)立花藤兵衛が小林昭二の私物のパイプから煙を出しながらこう言っていた。
立花藤兵衛「次々に世界各国の金を狙っているとすると、(脇で腕組みしているアルバイトの緑川ルリ子の方を向き直して)その目的は地球の征服だ。」
本当か? …だが今回問題なのはこれでもない。本当の問題はここからだ。
緑川ルリ子「だとすれば、これは一大事ね。」
なお脇では島田陽子演じる野原ひろみがカウンターの中で食器を洗っていた(ように見えた)。島田陽子は藤岡弘、と同じ事務所で、なんと藤岡弘、とバーターの形で起用されたらしいのだが、元々近藤正臣が本郷猛を演じる予定だった時は緑川ルリ子には島田陽子が配役されていたので、その説は間違っているような気がする…だが今回問題なのはこれでもない。本当の問題はここからだ。
大好き(絶対そうでしょう)な本郷がやってきて緑川ルリ子は微笑みながら迎えた。
ルリ子「いらっしゃい。」
いつの間にか後に消えた史郎を含めた他の人も「いらっしゃい」と言った。
藤兵衛「ルリちゃん、これ。」
藤兵衛は首に手をやり合図した。ルリ子は奥に入った。
本郷「ひろみ君、コーヒー。」
ひろみ「はい。」
本郷はカウンターに置いてあった新聞を取り上げ、
本郷「立花さん。」
そう、この頃は「おやっさん」とは呼んでおらず、こう呼んでいたのだ…だが今回問題なのはこれでもない。本当の問題はここからだ…何回書いたんだ、この言葉?
閑話休題。
藤兵衛がドアップになった。
藤兵衛「猛、行くか? 金保管所へ。」
本郷がドアップになった。
本郷「ええ。今度こそはきっとショッカーの尻尾を捕まえます。」
本郷の前のめりな姿勢はU7と似ているが、一応、これは偶然だと思う。出動前なので興奮しているのだろう。問題は次。緑川ルリ子が何かを持ってきた。
ルリ子「はい。」
あれ、手に持つのはペンダント。形は違うがペンダントだ。それに気がついた…訳ではなかったのだろうが、本郷は疑問に思ったのは確かだ。
本郷「これは?」
ルリ子「ロケットの中にお守りが入っているの。」
!!!!!
どこかで聞いたような言葉である。ルリ子は本郷の首にペンダントをかけた。差分の一つは
藤兵衛「は、は、は、は、は、は。猫の首に鈴だよ。」
である。もうお分かりであろう。
そう。ジャイアントロボ 第11話「恐怖の人喰い砂」(脚本:伊上勝、監督:田口勝彦、技斗:久地明 (C) 東映)と仮面ライダー 第9話「恐怖コブラ男」(脚本:山崎久、監督:山田稔、技斗:高橋一俊 (C) 石森プロ、東映)は同じネタを使用しているのだ。東映制作が共通点というだけではない。実は山崎久というのは田口勝彦さんのペンネーム。役割は違えど、田口勝彦さんが両方とも関わっているのである。
さてここからは私の仮説に過ぎない。おそらく山崎久こと田口勝彦さんは仮面ライダー 第9話「恐怖コブラ男」(脚本:山崎久、監督:山田稔、技斗:高橋一俊 (C) 石森プロ、東映)の脚本を書くにあたってジャイアントロボ 第11話「恐怖の人喰い砂」(脚本:伊上勝、監督:田口勝彦、技斗:久地明 (C) 東映)を参考にしたのではないだろうか。そう考えられるのである。ただし現段階ではあくまでも私の仮説に過ぎない。
さて両者の差分については映像で確認してほしい。両方ともペンダントが何らかの形で活躍するのであーる。