冷却(暗闇仕留人)

暗闇仕留人 第7話 「喰うて候」(脚本:國弘威雄、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

今回は真夏の話。コンピュータの熱暴走が問題になりがちなので冷却が必要。さて冒頭の中村家の主水への嫌味炸裂のやりとり(せんとりつが糸井貢があやを連れて高地なので涼しい箱根へ行くのを話題に挙げる)も面白いのだけど時間が取れないので必要最小限のことだけを書きましょう。将軍が召し上がるという富士山からお雪様を運ぶのを良いことにやりたい放題やる役人達を殺すというのが大筋。今回からしばらくおひろめの半次は出ないが、箱根へ湯治に出かけた糸井貢とあや夫妻が役人に遭遇し、江戸にいる皆さんは藤沢宿から半次の事を聞きつけてやってきた藤兵衛(伊藤亮英)の頼みを聞いて同じ役人を狙って西上するというのが大筋。でも箱根での悪事の描写に力が入っている。

まず役人は雪が融けると難癖つけて温泉を出させないようにする。ところが信助(石山律雄)とおなつ(八木孝子)の息子が高熱を出してしまった。蘭学の心得のある貢が診断するのだが、やはりお湯で温める必要がある。貢は理路整然と役人を説得するのだが、話を聞かず、更におなつに夜伽をするよう迫った。仕方なくおなつは応じて信助は源泉から湯を出したのだが、役人は信助を斬って湯を止めてしまった。結局、息子も死に義憤に駆られた貢はあやに傷心のおなつを送り届けるように頼み、自分は金も貰っていないのに役人を追いかける始末。やはり貢は殺し屋にはなりきれていなかったのだ。

最終的に六郷の渡し(多摩川)で糸井貢と大吉と中村主水が合流。大吉と中村主水は下っ端を殺し、貢が狙うのはボスの米谷(早川保)。結構強くて三味線のバチも割られてしまったのだが、このバチ、中には針が仕込まれていた。最終的にはその針で眉間を刺して米谷は倒されたが、直後の貢は、やり切った満足感で充実したかのような感じである。

さて藤兵衛はこれを見て逃げ出してしまったのでお金は貰えずタダ仕事。怒りまくる大吉と主水と違って貢は涼しい顔。これも最終回の伏線と言えなくはない。さて残されていたのは「お雪様」で塩やらおがくずやらで寒剤を作って融け難くしてあるのだが、最後はそれを喰うて候。そういう話なのだ。最後にヤケクソでお雪様を食べる彼らのセリフを並べておこう。

中村主水「あ、いててて。(首の後ろ側を叩いた後)今度の仕事は一文にもならなかったなあ。」
鉄砲玉のおきん「だけどさあ、お陰様でお雪様にありつけたじゃない。こりゃ千両の値打ちだよ。将軍の上前はねたんだからねえ。(貢と大吉は頷く)」
村雨の大吉「こいつは蜜なんかかけた方がうまいんじゃないかなあ。」
糸井貢「うん。甘すぎた小豆も合うんじゃないかねえ。」

この後、おきんは大吉の胸の中に雪を入れて遊ぶのであった。