ジェンダーレス(必殺仕置人)

必殺仕置人 第3話「はみだし者に情なし」(脚本:安倍徹郎、監督:松本明 (C) 松竹)より

念仏の鉄は目明しの六蔵(神戸瓢介)を仕置した。

念仏の鉄「おめえを仕置してくれっていう、そういう訴えが出ているんだよ。」

中村主水は後のダチョウ倶楽部の如く「聞いてないよー」と鉄達に文句を言ったが、鉄達の調査は甘かった。鉄達は六蔵を殺せば良いと軽く考えていたのだが、六蔵の裏には同心 島本(入川保則)、与力の高坂多聞(唐沢民賢)などなど色々と繋がっていたのである。

さて六蔵殺しを調べた島本は亀吉(常田富士男)の口から鉄の犯行であることを知り、捕り方を出動させた。慌てて主水は観音長屋へ急行したが、鉄と錠を逃す前に捕り方が着いてしまった! 仕方なく主水は

中村主水「(両腕で鉄と錠を掴んで)中村主水が召し取ったぞ! 中村主水が召し取った!」

と叫んで自分が召し取ったことにした。それを観て、観音長屋に住んでいた熊さん(茶川一郎)がこんなことを言った。

熊さん「どうなってんの?」

熊さんはおかまのオジさんなのだが、島本の顔もしっかり見てしまった。

さて主水は鉄と錠の取り調べに立ち会ってあわよくば逃がそうとしたが高坂の圧力にかかって失敗。だが半次とおきんの調査により、熊さんから話を聞き出すことに成功した。

熊さん「あらやだ。恥ずかしい、あたし。」
鉄砲玉のおきん「何が恥ずかしいんだい。キレイよ、オバさん。」
熊さん「ありがと。いやだ、オバさんだなんて、お姐さんよ。」

おきんは適当に相槌を打った。

おひろめの半次「そんなシナシナしている場合じゃねえんだよ。ゆんべ、俺達に話した事をこの旦那(主水のこと)に申し上げてくれよ。」
熊さん「いえね、こないだ長屋に手入れがあった時、もう一人の町方のお役人がいたでしょう。あたしね、妙なところでずっと前、お会いしたことがあったんですよ。」
中村主水「だからどこなんだい、どこの屋敷なんだい?」
熊さん「向島のお屋敷なんだけどさあ…恥ずかしいわ、あたし。」

主水は話をもっと聞き出すため、半次に合図した。

おひろめの半次「キレイだわ、姐さん。」
熊さん「そう? あたし達ね、そこで見せ物にされちゃったの。」
中村主水「見せ物?」
熊さん「ええ。隣の部屋に偉い人がずらりと並んでこーんな大きな目をして見物してるのよー。」
中村主水「そんなかに八丁堀(島本のこと)がいたってわけか。」
熊さん「あの方だけじゃないわ。もっと偉そうな人も。」
中村主水「その屋敷ってのは誰の屋敷なんだい。」
熊さん「さあ、後で聞いたんだけど、日本橋の蝋燭問屋で三國屋(谷口完)とか。」
中村主水「三國屋?」
おひろめの半次「ほら、室町の角にあるでしょう。でけえ蔵の並んだ。」
中村主水「そうか。良い話聞かせてくれた。お礼言うぜ。」

主水が銭を渡すと熊さんは大喜び。

熊さん「まあ、旦那。気前がいいのねえ。あたし、惚れそうだわ、この人に。」

変な方に話が進みそうになったので主水はおきんに熊さんを止めさせて帰るのであった。

そして仕置となった。紀州藩家老 小笠原頼母(溝田繁)を楽しませるため、「人形」を医師 道安(山本耕一)は用意した。桐の箱の中に入るのは人形風の役者(嵐冠十郎)と鉄砲玉のおきん。まず役者が出てきて人形を演じた。小笠原頼母は大喜び。そしておきんが入っている桐の箱を開けたら中から出てきたのは熊さんだった。

熊さん「あ、お殿様。」

呆気に取られる一同。そこへ錠と鉄が乱入。

念仏の鉄「もっと面白いところへ案内してやる。」

熊さんは役者の鼻の中に指を突っ込み

熊さん「あ、生きてる、この人。」
念仏の鉄「そいつは関わりねえ。ほっとけ。」

役者は悲鳴を挙げて逃げ去った。

念仏の鉄「早くしろ。」

鉄は熊さんを連れ出した。果たしてどうなるのか。続きは映像で。