聞き取り(必殺仕置人)

必殺仕置人 第3話「はみだし者に情なし」(脚本:安倍徹郎、監督:松本明 (C) 松竹)より

念仏の鉄は目明しの六蔵(神戸瓢介)を仕置した。

念仏の鉄「おめえを仕置してくれっていう、そういう訴えが出ているんだよ。」

中村主水は後のダチョウ倶楽部の如く「聞いてないよー」と鉄達に文句を言ったが、鉄達の調査は甘かった。鉄達は六蔵を殺せば良いと軽く考えていたのだが、六蔵の裏には同心 島本(入川保則)、与力の高坂多聞(唐沢民賢)などなど色々と繋がっていたのである。

さて六蔵殺しを調べた島本は亀吉(常田富士男)に目をつけた。亀吉は左目が潰れたこじきだったが六蔵殺しの一部始終を聞いてしまったのだ。

亀吉「知らねえ。」

だが亀吉は島本に殴られた。

島本「とぼけんじゃねえ。おめえが乞食仲間に喋った事はこっちの耳に入っているんだよ。見たんだろう、目明かし殺しを見たんだろう。」
亀吉「知らねえ。俺は知らねえ。俺はこんな目してて、見えるわけねえ。」
島本「そうか。そこまでシラを切るなら…(そばにいた同心に)おい。」

なんと島本は同心仲間に火のついた蝋燭を持って来させ、融けた蝋を亀吉の見えていた方の目に入れてしまった。叫ぶ亀吉。

島本「今更目が潰れたって慌てることはあるめえ。元々目が見えなかったんだからな。」

この拷問の後、なおも拷問は続き、ついに亀吉は吐いてしまった。

島本「よし。これ以上、用はねえ。離してやりな。」

とりあえず、亀吉は放された。鉄と錠が捕まってしまった。

島本による鉄と錠への拷問が続く。二人とも天井から吊るされて竹刀でしこたま叩かれた。

念仏の鉄「(島本に煙管からタバコを頭に落とされ)あち、あちー。てめえ、なんてことするんだ。変態。あっちー。おい、この野郎。ハゲになるじゃねえか。」

本当に熱そうだ。覗き見していた主水も目を逸らしてしまった。そして

島本「(錠に)おめえも吸いてえか?」

今度は錠の鼻の穴の中に煙管を突っ込んだ。熱さに錠ものたうち回った。

天神の小六(高松英郎)は牢に入った鉄と錠を宥め、自ら調査。そして主水を呼び出し、亀吉から話を聞き取ることに成功した。

亀吉「すまねえ。あっしは、俺が吐いてしまったんじゃ。そうだけど、親分、聞いてくれ。俺はな、たった一つのこの片目を島本って同心に潰されてしまったんだよ。これじゃあ、二度とお天道様を拝めやしねえよう。(胴巻を出して)このお金はなあ、俺が二十年貯めた金なんじゃ。水呑百姓が江戸で食い詰めて乞食しながらな、それでもいつかは田舎へけえって少しの田んぼでも買って百姓に戻ろうと、ただそれだけの願いで貯め抜いた金なんじゃ。でもなあ、これじゃあ、それも叶わねえよ。どうか、この金で俺の恨みを晴らしてくれ。あの同心の目を叩き潰してくれ。頼むよ、親分。なあ頼むよ。」

そこまで聞いた小六は答えた。

天神の小六「亀、引き受けたぜ。確かに引き受けたぜ。お天道様が拝めねえことがどれほど辛えことか、その野郎にたっぷり思い知らせてやるぜ。」

翌日。鉄の頭にはタバコで焼かれた痕がしっかりついていた。主水が熊さんから話を聞き出した後、主水は島本にこう言った。

中村主水「三國屋の寮じゃ、お楽しみですな。」
島本「何?」
中村主水「折があったらあたしも連れてってください。」

島本は高坂と相談。鉄と錠を解き放って泳がせることにした。鉄と錠は釈放されたが二人とも途中で襲われた。

念仏の鉄「来た、来た、来た。」

毎回、遊んでいる感じである、念仏の鉄は。錠が蹴りを入れて戦闘開始。全員倒され、島本は捕まった。そして島本は錠が作った沈没船のアジトへ連れ込まれ、鉄、錠、そして主水による聞き取りが始まった。

念仏の鉄「そうか。(煙管からタバコを右胸の上に落とし)目明かしの六蔵はおめえ達の指図で女漁りをしていたんだなあ。」

なお主水は甘党なので大福餅を食べていた。さらに

棺桶の錠「おい。与力の指図だろう。高坂って与力だろう、この野郎。」

錠は煙管を島本の鼻の穴の中に突っ込んでいた。目には目を。歯に歯を。蚊には金鳥マットです…というCMが作られたのはもっと後だが、兎に角、仕置人のやり口はそう言うことだ。

念仏の鉄「その与力は三國屋に雇われていた。お前達は金で買われた犬なんだ。」

またもタバコが落とされた。

念仏の鉄「いいか。おめえ達がなぶりものにした女が後で何人も死んでるんだ。それを忘れるな。」

またもタバコが落とされた後、今度は主水が口を開いた。

中村主水「おい。三國屋の客は一体、誰だい。言え。」

だが答えは

島本「知らん。知らんぞ。」
中村主水「お前達の他に大層な客がいたって言うじゃないか。そいつは一体誰なんだい。」
島本「知らん。俺も知らん。」

すると主水は島本の上に跨り、顔を何発も何発もビンタした。島本の鼻から鼻血が流れた。

中村主水「どうだい。思い出したかい。」

そして答えは

島本「紀州藩江戸詰家老小笠原頼母(溝田繁)だ。」

大物の名前が飛び出たので

中村主水「何やらえれえことになりそうだぜ、こいつは。」

さてはみ出し者の念仏の鉄達仕置人がそれからどうしたのかは映像で確認してほしい。