バックドア(必殺仕置人)

必殺仕置人 第10話 「ぬの地ぬす人ぬれば色」(脚本:國弘威雄、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

今回の標的は大奥。あらすじは便利なこのサイトから引用。

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第10話「ぬの地ぬす人ぬれば色」1973.6.23

 将軍の側室・お美代の方が外出先で目にとまった友禅を無理矢理買い上げ。それは娘の婚礼衣装と取り縋った父も、あろうことか傍にいた婚約者も斬殺されてしまう。残された娘・お雪は不憫と言い立て大奥へ召抱えるとの話をたつきの道無き故に受けるが、父の死の因となった布地を雑巾に仕立てろと命令される。また、上様のお声がかかったお雪に激怒したお美代の方はお雪を父殺しの伊賀者に下げ渡そうとする。その夜自ら縊れて死ぬお雪、おきんに託されていた金が仕置料となる。付女中として入り込んでいたおきんはお美代の方の髪をばっさばさに刈り取るという荒技を見せる。仕置は宿下がりの寺で。豪快。

ロケ地
友禅流しの川、桂川か。
江戸城彦根城。宿下がりの根津仏性寺、妙顕寺。渡廊越しに方丈を望むアングルほかが使われ、寿福院塔が映り込む。本堂廊下では錠の派手な三角飛び、主水の殺陣は亀腹越しで摂社前。

広敷用人 村瀬東吾(小林勝彦)の娘であるお美代の方(北林早苗)は付き従っていた伊賀者 御広敷番 板倉新八(上野山功一)に命じておゆき(鮎川いづみ)の父と許嫁から無理矢理友禅を買った挙句、その友禅の役割は雑巾に仕立てる事(これは後に判明)だと言うのだから酷い話だ。この話を聞いた仕置人がお美代の方達を仕置するというのが大筋。

まずおきんは元スリ仲間のお仙(正司歌江)がおゆきの近所に住んでいることを使っておゆきと知り合い、お付きの女中として大奥に潜入。その後、仕置料はおゆきからおきんに託された大金(店や道具を売り払って得たもの)が充てられる。

それを黙ってみている鉄達ではなく、おひろめの半次があの手この手を使って大奥御用商人猪狩屋の情報を得たが、何故か棺桶の錠は疑問を呈した。

棺桶の錠「商人ってのは出入りするだけだろ? 大奥に住み込みで行ける手立てってのはねえかなあ。」
念仏の鉄「馬鹿野郎。女ならともかく男が住み込みできるわけがねえじゃねえか。」
中村主水「それがあるんだなあ。」

なんと。全員、主水の方を向いた。

棺桶の錠「(鉄に)それみろ、あるんだ。(また主水の方を向き直す)」
中村主水「大奥に住み込める、結構な男がいるんだ。」

主水は懐から書類を出した。

おひろめの半次「ほう、いるんだ。」
中村主水「これは俺がな、昨日、奉行所の書物蔵引っ掻き回してたら出てきたもんだ。大奥男役人衆一覧。」

と説明をはじめ、大奥女中の用を足すための下男がいることを説明。おひろめの半次、念仏の鉄、そして棺桶の錠も身を乗り出して話を聞いていた。

おひろめの半次「で、誰かが、下男になって入り込めば良いわけ?」

しかも下男の元締を以前主水が博打で捕まえた事があるという。思わぬ入口があったわけだ。

中村主水「となると、この中で誰が一番、下男面してるかだ。」

何故か棺桶の錠が自分の顔を指差した。

結局、入り込んだのはおひろめの半次。最終的に半次はおきんとの接触(おゆきが首を吊った直後)に成功。仕置料と宿下りの情報が半次を通じて全員に知れ渡った。

まずおきんは剃刀(口に咥えるのは藤枝梅安の真似だと思うが後に緒形拳が知らぬ顔の半兵衛を演じると思うと面白い)でお美代の方の髪をバッサリ、切った。慌てるお美代の方に

鉄砲玉のおきん「どうなさいました?」

当然、おきんは疑われて、外に連れ出されたのが後に功を奏した。村瀬東吾、お美代の方、そして、板倉新八が寺でおきんを責めようとしたその時、寺の僧に化けた念仏の鉄が登場。この時も鉄はニヤリと笑っている。棺桶の錠も現れ、伊賀者の板倉新八と対戦。この時の殺陣は必見で新八を見事倒した。念仏の鉄は村瀬を始末した後、今回は珍しく中村主水も乱入。十手や脇差を使ってお付きの侍を倒して念仏の鉄と一緒にお美代の方を挟み討ち。トドメの一撃(大門豊談)は

念仏の鉄「これが大奥の女か。」

とお美代の方に抱きついた後、腰を使い物にしなくした。話が前後するが半次はおきんを連れ出して脱出に成功したのであった。

ちなみに町奉行所配下の者は寺社の管轄外なのだが

中村主水「何か声がしましたので無断で入らせていただいた。」

と駆けつけた僧には断ったのであった。