諜報活動(あまちゃん)

あまちゃん 第8週「おら、ドキドキがとまんねぇ」第43話(脚本:宮藤官九郎、演出:吉田照幸 (C) NHK)より

天野忠兵衛(蟹江敬三)の送別会がリアスで開かれ、天野春子(小泉今日子)が「潮騒のメモリー」をカラオケで歌い、忠兵衛が遠洋漁業へ旅立った日の夜、リアスで動きがあった。送別会の場に小田勉(塩見三省)と一緒に水口琢磨(松田龍平)もいたにも関わらず春子は彼の存在に気がついていなかった。ユイと種市との間にも動きがあったが、それは割愛しよう。その直後にリアスに天野アキ(のん)が入ってきた。後でわかるが終電が出たので送ってもらうために来たのである。早速、足立ヒロシ(小池徹平)が声をかけた。

足立ヒロシ「いつだっけ、資格試験。」
天野アキ「1月です。」

この問いになぜか水口が割って入った。

水口琢磨「資格試験?」
天野春子「潜水士の資格を取るんです。っていうかさ、誰よ。」

この問いに

熊谷美寿々(美保純)「水口君、初めて? 勉さんのお弟子さん。」

上記の通り、初めてではないのだが…なお、美寿々は春子と共に店番をしていた。

天野春子「怪しい。」
水口琢磨「え?」
天野春子「勉さんの弟子でしょ、バカじゃあるまいし。だって、勉さんから学ぶ事ってある?」

鋭い。だがこの問いに答えた者がいた。

菅原保(吹越満)「いや、あるでしょう。何かは今すぐにはスーッとは出ないけど。」
吉田正義(荒川良々)「すぐなぐとも反面教師にはなるべ。」

やはりないようだが、それに対し

小田勉「ほら。名刺、名刺。」

水口は名刺を渡した。その記述によれば会社の情報は次の通り。

(有)小田こはく工芸
岩手県三陸市小田町17-32
電話 0094-90-0589

なお「0589」は「オーコハク」というルビが振られていた。また左下にはコハクらしき者が貼られて「北三陸産こはく」と下に書かれていた。名前の読みは「みずぐちたくま」である。この名刺を受け取り

天野春子「みずたく」

一同、大笑い。

大向大吉「水炊きみてえだなあ、みずたく。」

ミズタクも大笑い。

水口琢磨「そんなに面白いですか?」
吉田正義「そんなに面白くねえよ。」
菅原保「分析しないでよ。スナックだもの。」

ミズタクは愛想笑いした。すると

熊谷美寿々「ねえねえ、ミズタクって独身?」

ミズタクが「はい」と答えると美寿々の質問が止まらなくなった。天野春子が「あんまりがっついちゃダメ。」と注意すると

水口琢磨「ごめんなさい。僕、年上じゃないとダメなんです。」

目を輝かせる美寿々ちゃん。大騒ぎになったのでアキが「うるせえ」と言って一騒ぎあった後

水口琢磨「ねえねえ。アキちゃんはさあ、資格をとって将来どうなりたいの?」

するとアキが「わがんねえ。」などと言うと

水口琢磨「でも君、ネットで凄い人気だよねえ。テレビにも出たんでしょ。凄いよねえ。普通に可愛いし。」

美寿々は嫉妬して「この野郎、年下はダメだと言ったくせに。」と軽く考えていたが、水口は話を続けた。

水口琢磨「でもさあ、まだ17歳だろう。まだまだ知らない世界があるわけじゃん。君自身、無限の可能性を秘めているわけじゃんか。」

その言葉の真意をはかりかね

天野アキ「なんだ、こいづ?」
水口琢磨「こいづ?」
天野アキ「言ってること、さっぱりわがんねえ。」

このアキの言葉を受け

菅原保「さてはマルチ商法の勧誘か?」
水口琢磨「いやあ、そういうんじゃなくて。」

更にこの男が黙っていなかった。

足立ヒロシ「その辺にしておきましょうか。彼女のマネージャーです。」

足立ヒロシは名刺を出した。そこに書かれている文言を、うまく再現できるかどうかはわからないが、文章で引用しよう。

三陸観光協会
WEB担当 足立 洋

〒028-8078
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ヒロシや保の説明の後、ミズタクはこう言った。

水口琢磨「いやあ、僕はただ、普通に可愛いのにもったいないなあと思って。」

これに春子が噛み付いたのでミズタクの琥珀を磨く手が止まってしまった。それを勉さんに注意された後、ミズタクは磨いていた琥珀をゴミ箱を捨ててしまった。曰く

水口琢磨「虫が入っていたんで。」

それを聞いた勉さんは

小田勉「ジェー!」

血相を変えてゴミ箱を漁った。その最中に

菅原保「琥珀に虫が入っていたのか?」
水口琢磨「ええ。アリみたいなのが。だから捨てました。」
菅原保「アリ入っているのは、琥珀、高く値がつくって聞いたことがあるな。」

どうもこのドラマ、邪心のない人にところに価値のあるものが手に入り、邪心のある人のところには手に入らないようになっているようだ。ミズタクと勉さんもそんな感じなのであろう。

小田勉「よんずう(四十)年やってて、初めて見たよう。」

そこへ黒川正宗(尾身としのり)がやってきた。

黒川正宗「ごめん、ごめん、また道間違えちゃったよう。」

これをミズタクは聞き逃さなかった。

水口琢磨「パパ?」
熊谷美寿々「(勉さんが立った隙をついて水口の隣に座り)春子さんの別れた旦那さんだあ。」

さりげなく情報を色々と得たミズタクであった。