帰任(あまちゃん)

あまちゃん 第11週「おら、アイドルになりてぇ!」第61話(脚本:宮藤官九郎、演出:吉田照幸 (C) NHK)より

ユイ(橋本愛)の東京への脱出計画は失敗に終わった。ユイとともに海女カフェのステージに立っていた水口(松田龍平)は自分の素性と自分が来た目的を素直に話した。長くなるので全ては書かないが

今野弥生(渡辺えり)「琥珀の研究してるっつうたのも…」
水口琢磨「嘘です。琥珀なんて興味ありませんし、何が面白いのか、さっぱりわかりません。」

当然、この男が激怒した。

小田勉(塩見三省)「この野郎! 」

勉さんは掴みかからんばかりにステージに上がろうとしたが、大吉(杉本哲太)と吉田正義(荒川良々)に阻止された。その後、春子(小泉今日子)が水口の来た目的をズバッと指摘するなど色々と話が進んだ後

水口琢磨「ホント、(頭を下げて)ごめんなさい。」

すると

熊谷美寿々(美保純)「謝って済むか、バカ!」

美寿々は当然、興奮した。その後、GMT47の説明も行なわれたが(アキを除く)海女クラブのメンバーは誰も理解できず、最終的にユイが北三陸を出る話は御破算になってしまった。

そして翌日。ユイはショックで部屋に閉じこもってしまった。水口とアキが部屋の前に来ても答えようとはしなかった。

天野アキ「ユイちゃん、そろそろ帰るね。」
水口琢磨「僕も一旦、東京へ戻るけど、ちゃんと営業するから、君もご両親とちゃんと話し合って。3月まで頑張りな。」
天野アキ「3月なんてすぐだべ、ユイちゃん。」
水口琢磨「待ってるから。」

リアスには天野春子、足立ヒロシ(小池徹平)、菅原保(吹越満)、吉田正義、大向大吉がいた。春子も大吉も以前、春子が北三陸を出て行った頃の事を思い出していた。

菅原保「おら達が町おこしに集中するあまり17歳の少女の夢ば食い尽くそうとしていたのかもしれねえなあ。」
大向大吉「一度しかねえ、青春だもんなあ。」

しんみりする二人にこの男が突っ込んだ。

吉田正義「で東京に行かせるんですか?」

回答は

菅原保と大向大吉「それはねえ。」

あ、そ。

水口は海女カフェに顔を出したが、美寿々は浜にいた。弥生達に言付けを頼んだ後、

天野アキ「車ですか?」
水口琢磨「北鉄で。裏切っちゃったからねえ。最後ぐらい乗らないと。」
天野アキ「ユイちゃんのごと、よろしく頼むぞ。ホントに約束だぞ。」

水口は頷いた。

その後、北三陸駅の待合室で水口は勉さんと会っていた。勉さんは見送りに来たのである。

小田勉「会わせる顔、ねえだろうから誰も呼ばなかった。」
水口琢磨「はい。(頭を下げて)ご迷惑をおかけしてすいません。」

勉さんは胸ポケットから琥珀を出した。

小田勉「これ、持ってけ。」
水口琢磨「いや、いただくわけにはまいりません。」
小田勉「持ってけ。」

そして勉さんは(この時点では)元弟子にこう言った。

小田勉「これは元はただの樹液だべ。磨いて、磨いて、やっと価値が出る。お前の仕事もそうだべ。どんな良い原石もよ、磨かなかったら宝石にはなんねえ。」

これは大事なセリフだが水口の答えは

水口琢磨「ああ。」
小田勉「ああ、ってわかったのか。」

とまあ素っ気なかった。列車の発車時刻が迫っているので改札を通ろうとしたその時

熊谷美寿々「たくちゃん!」
小田勉「たくちゃん?」

美寿々が海女カフェから駆けつけた。思い詰めた表情な上に凶器になりそうな鈎を美寿々が持っていたので思わず水口は後ずさりしたが

熊谷美寿々「行っちゃうの? あたしを置いて行っちゃうの?」

水口ピンチか?

熊谷美寿々「ごめん、ウニとっていたから。」

慌てて駆けつけたので鈎を持ったままだったのだ。美寿々はベンチに鈎を置いた。そして思いっきり抱きついた後

熊谷美寿々「よし!」

と叫んで離れた。

熊谷美寿々「もう吹っ切れた。若え頃なら、この勢いで駆け落ちもしたけど、もうそんな無駄な事はしねえ。次だ次。ありがとう。楽しがっだ。じゃあな。」

美寿々は何故か「まことちゃん」の「サバラ!」のポーズをしてから走り去った。思わず

水口琢磨「かっこいい。」

そして帰って行ったのだが、勉さんはベンチを見て気がついた。

小田勉「あの野郎。忘れて行きやがった。」

やはり水口は琥珀に興味はなかったのであった。