発現(あまちゃん)

発現というのはサイバーセキュリティー業界では使われていないような気がするが正体を現したのを表現するのにぴったりの言葉なので敢えて題名に使った。

あまちゃん 第10週「おら、スカウトされる!?」第58話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

勉さん(塩見三省)から最近ユイ(橋本愛)が琥珀採掘場に出入りしていることを聞いた天野アキ(のん)は最近のユイの言動から目的が水口(松田龍平)との密談であると直感し、そこへ行った。そしてやはりそこにユイがいた。さらに水口が自分が北三陸に来た目的をついに話し始めた。

水口琢磨「分かりづらくてすいません、うちの荒巻が上野に劇場を作りまして」
足立ユイ「本題入ってるから」
天野アキ「あ、はい」
水口琢磨「そこに日本全国からアイドルの卵を集めて、コンサートや、お芝居を上演しつつ、アイドルを育成しようというプロジェクトで…」

その後、太巻こと荒巻太一(古田新太)のインタビュー映像が流れ、上野と品川に劇場を作る構想があることを述べていた。

荒巻太一「47都道府県のご当地アイドルを、東と西の玄関に集めてこう…闘わせる、いや闘わなくてもいいんですけどね。」

これが「GMT47」計画だったのだ。明らかにAKB48が元ネタだ。GMTは「地元」にかけたらしい。この後、荒巻が色々と構想を述べるインタビュー映像が流れた。ユイは乗り気。水口はそのために派遣されたのだ。この衝撃の事実が告げられたのにアキはこんな質問をした。

天野アキ「へえ…ってじゃあ、本当に業界の人なんですか!?」
足立ユイ「そこに戻る?」
天野アキ「勉さんの弟子じゃないんですか?」
水口琢磨「バレなきゃそうですね。バレちゃった。いいんだけどね。当分バレないのも問題なんで。ずっと琥珀掘ってなきゃならないんで。」

ユイでなくてもそう言いたくなるのだが、水口が素性を隠し続けてアキに注目したのは理由があった。

水口琢磨「理由は色々あるんだけど、君のお母さんの歌を聞いたから。」

水口が指しているのは天野アキの祖父、天野春子(小泉今日子)の父でもある天野忠兵衛(蟹江敬三)の送別会で春子が「潮騒のメモリー」を歌った時のことを指していた。そう。勉さんにくっついて水口も送別会には参加していた。

水口琢磨「驚きました。あんな場末のスナックで聞く歌じゃない。うまい、下手じゃなくて、説得力というか、本物感がある。」

無邪気に喜ぶアキ。それから水口は慎重に調査を始め、お座敷列車の映像を撮影後、東京のスタッフに送ったところ、ゴーサインが出て交渉を始めようとした頃にユイが乗り込んだということだった。

水口琢磨「まあ、二人とも良いキャラだし、本当は君も東京に連れて行きたいんだけど、なんか忙しそうだし、興味ないんじゃね。」

この言葉がアキの心を動かし始めるのだが、それがきっかけで天野春子、黒川正宗(尾身としのり)、さらには水口琢磨自身の運命も変えるとは誰も思っていなかったに違いない。ただ水口や荒巻はある事に気がついていなかった。それもまた大きなポイントなのである。