エージェント(新・必殺仕置人)
新・必殺仕置人 第14話「男狩無用」(脚本:安倍徹郎、監督:渡邊祐介 (C) 松竹)より
鉄に逃げられたと気がついた志乃(戸部夕子)は探し回ったが見つからず、途方に暮れて屋敷に戻った。
さて鉄に主水はこう言った。
中村主水「ふーん。しかし、おめえもよく生きてけえってこられたなあ。あそこへ咥え込まれた男はなあ、一人も帰っちゃいないんだ。ま、お前もそのうちバッサリやられるぞ。」
念仏の鉄「そう? 俺は違うのよ。いや、向こうの方が俺にくびったけ。」
あまりにも馬鹿馬鹿しい話に一同、呆れ返り、仕事をやる事になったのだが
念仏の鉄「だけどなあ、俺も巷、巷に女がいたけど、あんなにこう体がピタッとした女は初めてだなあ。惜しいなあ。」
志乃は小夜(渡辺とく子)に折檻されていた。新三郎(森下哲夫)も一緒である。今まで咥え込まれた男の死体が眠る穴倉(?)の蓋が開けられたその時、念仏の鉄が戻ってきた! 辛くも志乃は助かった。
そして当然、小夜は鉄と情事に及んだ。墓参りの後は花見に言ったと嘘八百を並べた鉄の話を信じた小夜はこう言った。
小夜「お前達が羨ましい。私にはそういう暮らしはできぬ。この先も一生。」
念仏の鉄「そんなもんかねえ。」
そして満足したのか、小夜は休んで良いと鉄に告げた。今度の鉄の相手は志乃である。
念仏の鉄「なんだ、まだ怒ってるのかよ。」
志乃「知りませぬ。」
念仏の鉄「実を言うとな、俺はあのまんま逃げちゃうつもりだったんだ。」
鉄に背を向けて廊下を歩く志乃だったが、それを聞いて立ち止まった。そして鉄が横に移動し、こう言った。
念仏の鉄「だけどよ、俺は本気でおめえに惚れてるからよ。(志乃の前を歩きながら)それで命がけで戻ってきたんだよ。」
この話で鉄はやりたい放題やっている感じである。志乃は鉄を別の部屋に連れ込み
志乃「小夜様に未練があったんでしょう。」
念仏の鉄「冗談じゃねえよ。」
志乃「いいえ、そうです。そうに決まってます。」
念仏の鉄「志乃ちゃん。」
鉄のテクニックに負けた志乃ちゃんは真相を話し始めた。
志乃「お前は何も知らないんです。小夜様の夜伽を務めたのはお前だけじゃない。何人もの男が新三郎様の代わりを務めさせられたのです。」
念仏の鉄「新三郎の代わり?」
志乃「小夜様が本当に愛しているのは新三郎様お一人です。でもあの方は男であって男ではない。だからお前達がその代わりを務めているのです。」
どういう事と疑問に思う鉄。志乃の話は続く。
志乃「これでわかったでしょ。なぜお前がこの屋敷に呼ばれたか。なぜ小夜様がお前に肌を許すのか。よくわかったでしょ。」
念仏の鉄「いやあ、わからね。まあ男であって男でないっていうのは禅問答みたいなこと言われたってわかんねえ。はっきり言ってどういう事なんだよ。」
志乃「じゃあお話しいたします。まだお城にいた頃、殿様に処刑されたんです。」
念仏の鉄「処刑?」
三年前、近習だった新三郎は小夜との情事の最中に殿様に踏み込まれ、あそこを切られてしまったのだ。そして一生、小夜に仕える事になったのだ。
念仏の鉄「でもさあ、俺はこれだけ良い思いをさせてもらったんだから、いつ殺されても良いけどよ。」
これにコロっとまいった志乃は抜け道となる空井戸の絵図を鉄に渡してしまった。志乃との情事が終わった後、天井裏に忍び込んだ正八に鉄は絵図を渡した。
なお、殺しの分担は
- 中村主水:新三郎
- 巳代松:志乃
- 念仏の鉄:小夜
である。