模倣品(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第15話「密告無用」(脚本:保利吉紀、監督:大熊邦也 (C) 松竹)より

中村主水南町奉行所の定例の剣術稽古会に顔を見せず上司に怒られていた。そして牢屋へ行ってみるとどこかで聞いた声が

中村主水「あの野郎。」

映ったのは小松政夫さん演じる亀吉。『必殺仕置屋稼業』にも登場したあの男である。十手右手に持ち、マイクに見立ててか、柄を口の方に持ってきて、こんなことを言い出した。なお、当時は「電線音頭」が流行っていた。伊東四朗はこの話には出ていない。

亀吉「涙、涙の物干し音頭。それでは、張り切って参りましょう。」

炬燵ではなくて長椅子が持ち込まれ、その上に載りながら亀吉は「物干し音頭」を踊り始めた。

亀吉「♪あ、それ、チュチュンがチュン、あ、それ、チュチュンがチュン。
♪あ、ほりゃ、物干しに雀が三羽止まってた、あ、それ。
♪それを猟師が鉄砲で撃ってさ、
♪あ、煮てさ、焼いてさ、食ってさ、
♪あ、よいよいよいよい、おっとっとっと
♪あ、よいよいよいよい、おっとっとっと。」

こんな感じで踊っているところで主水がやめさせ、亀吉はこけてしまった。

中村主水「亀、こんなところで油売ってないで仕事しろ、仕事、たまには。」

とまあ偉そうに説教する主水だったが、立ち去った後

亀吉「偉そうに。いつだってサボってばっかじゃないか。うち行って言いつけちゃうからな。」

亀吉の出番はこれだけだったが、主水が定例の剣術稽古をサボっている件は後でしっかり、中村せんとりつの耳に入ってしまったのであった。