抜け穴(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第26話「抜穴無用」(脚本:松原佳成と嵯峨忍、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

このところ、将軍家お抱えのお月見屋敷の辺りで不審者が消えていなくなる事件が続発していた。主水もそういう事案に遭遇したのだが、月峰(灰地順)自ら登場して、屋敷の中を調べなさい、というハッタリ攻撃に臆してしまい、関わり合いにならない方が良いと引き上げてしまった。

そんなある日。おていが本業のスリで稼いでいると

尾関一心(南原宏治)「いつもうまく行くと思うなよ。」

と言われてしまった。この男は月峰の側用人。尾関はこう続けた。

尾関一心「おめえの仕事を守ってやりてえんだ。話に乗らねえか。」
おてい「あたしを?」
尾関一心「もし今みてえにヘマをやって役人に見つかって追われた時は逃してやる。ただし、儲けの半分は貰う。」

なんという阿漕な商売なのであろうか。

おてい「冗談じゃないわよ。あのね、この仕事には誰の手助けもいらないの。それにあたしは十手持ちなんかちっともこわかないからね。」
尾関一心「そうかい、そうかい。それじゃあ、向こうから来る役人にお前を渡そうかなあ。」

やってきたのは岡っ引の権太(剣持伴紀)。実は尾関の仲間なのである。この攻撃は効き、結局、おていは尾関についていった。実はその様子を主水も遠くから目撃していたのだが観たのは中に入るところまで。お月見屋敷の中に地下道の入口があったのだ。地下道の出口は裏の墓場にあった。

尾関一心「裏木戸は四六時中開けとくから、いつ逃げ込んできても良い。ただし、ここを使う時はこの男に稼ぎの半分を払う。」

しかも裏口からは入れないような仕掛けにしてあるという。仕方なくおていはその抜け道を通って裏の墓場へ出るのであった。なお、この仕掛けを作らされたのが冒頭で殺された三次(布目真爾)で彼女の妻きく(西条真砂子)から寅の会へ依頼があったのである。