開放(門限破り)

必殺シリーズでは京都映画が京都の岡崎にあったかんのんホテルに部屋を借りて脚本家や監督などを滞在させていた。

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さて火野正平さんも宿泊していたそうだが、門限破りのためにこんな役までしていたそうである。『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』に載っている証言である。

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火野 (前略)俺はかんのんホテルの表に面した部屋に泊まってたの。あそこは門限があって鍵を閉めちゃうんだけど、俺の手に紐を繋いでずっと下に垂らして、みんな酔っ払って帰ったら、その紐をガンガン引っぱる…そうしたら下に降りて鍵を開けてって、そんな係までやらされていたからね。

外から紐を引っ張るとドアが開くのだから門限はないに等しい。内部からの攻撃には案外脆いものである、こう言う外からの遮断設定は。

なおかんのんホテルには山城新伍さんや渡瀬恒彦さんも宿泊していたそうだが、彼らは東映関係の番組に出演するために利用したのであろう。まあ大映の撮影所も当時はあったが。とは言うものの山城さんは『必殺必中仕事屋稼業』にゲスト出演しているし、『江戸プロフェッショナル 必殺商売人』に出演した梅宮辰夫さんを櫻井洋三プロデューサーに紹介したのも山城さんなので、あながち必殺シリーズと無関係とも言えないのである。またピラニア軍団の面々も必殺シリーズには大挙出演していて渡瀬恒彦さんもピラニア軍団とは酒を飲む間柄だったので、もしかしたら渡瀬さんの紹介で必殺シリーズに出演した人もいたのかもしれない。なお渡瀬さんは『影同心』、山城さんは『影同心II』でレギュラー出演しているし、櫻井洋三プロデューサーは岡田茂東映社長(当時)と個人的な付き合いがあったそうである。