初仕事(新・必殺仕置人)

新・必殺仕置人 第30話「夢想無用」(脚本:保利吉紀、監督:高坂光幸 (C) 松竹)より

本当は「ミス」とか「退職」とかもネタにできそうだったが書く時間が取れなくなりそうだったので、正八が初めて殺しをしたことのみ書いておこう。

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第30話「夢想無用」1977.8.12

 軽い気持ちで食った娘・おたみと、ままごとのような暮らしを続けるうち、深みにはまってゆく正八。身籠ったおたみを持て余し、子を流そうとしたりするが、おたみの爛漫さは遂に正八の心を捉える

「海よりも、好き」

 おたみと甲州の田舎で暮らすことを決めた正八は足抜けを申し出るが、許されるはずもなく、鉄にギタギタにボコられる。あきらめぬ正八はすぐに江戸を離れようとし、旅支度を整えて帰った家に待っていたのは、前の勤め先での毒殺事件の真相暴露を恐れた仁吉の手にかかり瀕死のおたみだった。
 滂沱の涙流しながら、腕の中で息絶えたおたみの亡骸を弄り回す正八、慟哭の果て寝かせて手を組んでやる。なお愛しげにおたみの顔を撫でる正八の目に首の絞め跡、女を捻り殺すと言った鉄の言葉が甦る。駆け出し、鉄のヤサに走りこみ斬りつける正八、巳代松に押さえられ自分の尾行のまずさが招いた結果と知らされる。鉄は畳に落ちた匕首を差し出し、仇討ちを示唆。正八は匕首を手に括り付け松のフォローで仁吉を刺殺してのける。
初めての殺しのあと夜の海へ来た正八は、おたみが用意していた赤子の衣類と夫婦茶碗を投げ捨てるのだった。
 ロケ地、船宿を出た客らが毒を食らって落ちる大川、広沢池。子を流そうとおたみを跳んだりはねたりさせる祠、大沢池天神島、心経宝塔。砂丘のある海辺、日本海と思われるが不明。

挙句は

船宿に
地獄絵見たり
仁吉かなあ
虎漫筆

頼み料は二十両だったが念仏の鉄が十両にて落札。

冒頭で屋形船の上で毒殺事件が起こり、板前の文吉(小野川公三郎)が捕まって処刑されたのだが、文吉の母(近江輝子)が寅の会に頼んだのである。真犯人は同じ店に勤める仁吉(倉石功)だったのだ。おたみ(津田京子)も同じ店で働いていた。正八は仁吉を尾行したのだが、仁吉や磯島重兵衛(五味龍太郎)などに尾行がバレてしまい、おたみが正八の店に出入りしていたことから、一味はおたみも怪しみ、正八の店にいたところを殺してしまった。直後に巳代松が気づいて仁吉を尾行して、確認。鉄と合流。勘違いしてやってきた鉄を襲う正八に巳代松は真実を伝えた。

なお、仁吉を殺すやり方はほぼ上記の通りだが、実際は巳代松は念の為に陰に隠れて火縄を用意していただけ。なので今回は巳代松の殺しはない。主水と鉄も協力し合って仕置を遂行。まず鉄が天井から磯島を釣り上げたところを主水が斬り、もう一人は主水が押さえ込んだところを鉄が背骨折りするという趣向になっている。

なお劇中歌「想い出は風の中」は第17話同様、桜木健一も歌うバージョンが使用された。作詞作曲は火野正平で編曲は比呂公一が担当。比呂は後に『翔べ! 必殺うら殺し」の音楽を担当することになるのだが、いずれも火野正平および星野事務所の社長だった星野和子さん絡みでの人選だったそうだ。