遺族年金(必殺仕置屋稼業)
必殺仕置屋稼業 第20話「一筆啓上 手練が見えた」(脚本:中村勝行、監督:渡邊祐介 (C) 松竹)より
さておこうのところに上州藤岡からお千代(桑垣浩子)という少女が辿り着き頼み、さらにおこうの差金で風呂屋の釜場で
お千代「仕置屋さん、殺して、お願い。」
と一分銀握りしめて頼み込んだ事により上州藤岡への出張は仕置も絡むことになってしまった。頼み料は一人二朱。安値すぎるのでおこうは仲介料を取らなかったようだ。
さて中村主水は旅に出ることになったのだが
もちろん裏の仕事が絡んでいるからであるが、そんなことなど知るはずがないせんとりつは戦慄した。冗談抜きでこれが名前の元ネタなのだが菅井きんさんも白木万里さんも最終盤まで気づかなかったそうだ。それは兎に角
中村せん「婿殿。」
中村主水「は。」
中村せん「御先祖様がきっと見守ってくださいます。」
中村主水「そうですな。ま、万が一、旅先で何かの間違いで私が死ぬようなことがあっても向こう十五年間は奉行所から年金が支給されますから。」
これを聞き、母上は露骨にニコニコして
中村せん「十五年間も!」
思わず
中村りつ「縁起でもない。」
と娘は嗜めた。
中村主水「では、そろそろ行って参ります。」
と出て行ったのだが、あれ、何かが置かれたまま。それは文字通り置いといて
中村せん「こんなことになるんだったら、もう少し婿殿に優しくしてあげたかった。」
どうも本気で泣いているようである。
中村りつ「母上、思えば私もあの人に辛く当たってしまって。」
と泣いている最中
中村主水「りつ。弁当を忘れた、弁当。」
主水は忘れ物の弁当を持ち
中村主水「お二人とも今の言葉をお忘れなく。」
そして再度出かけるのであった。