同業者(必殺仕置屋稼業)

必殺仕置屋稼業 第20話「一筆啓上 手練が見えた」(脚本:中村勝行、監督:渡邊祐介 (C) 松竹)より

さて本題。中村主水は市松、捨三、印玄と一緒に上州藤岡へ向かったのだが

中村主水「どうもさっきから気になるんだ。」
印玄「あ?」
中村主水「後ろから来る旅人よ。」

それは木枯し紋次郎そっくりの格好をした男(中村敦夫)だった。違いは右目に眼帯をしていることと長い楊枝を咥えていないことだけ。印玄は渡世人ではないかと考えていたが主水は彼が自分達をつけているのではないかと考えた。市松も足の運び方から只者ではないと考えた。そこで「本庄」という立札のたっている辺りで立ち止まり、やり過ごしてみる事にした。すると渡世人

印玄「あいつも藤岡の方へ」
中村主水「やな予感がしてきやがったなあ。」

そして藤岡宿に着いたがやはり渡世人も藤岡にいて、しかも石神辰五郎(北村英三)と接触。石神辰五郎を短筒で狙った男を捕まえて石神辰五郎に引き渡した。

石神辰五郎「お前さん、なんと言うんで。」
渡世人「通りすがりの旅のもんで疾風の竜と申します。」

やっと名前がわかったねえ。さてここから長くなるので省略するが、実はこの男も主水達とは同業でしかも標的も同じ。市松が玄関の軒下に潜り込み、石神辰五郎の屋敷に下男として潜り込んでいた捨三に頼んで辰五郎の草履の鼻緒がすぐ切れるように細工をし、外出しようとした辰五郎が草履の鼻緒が切れたので立ち止まった一瞬の隙を突き、竹串をブッ刺すと同時に、屋根の上から飛び降りた疾風の竜も辰五郎をブッ刺した。逃げる市松を援護して四天王(阿藤海、馬原雅和、福島広宣、工藤重孝)のうち二人を主水が斬り、同じく疾風の竜を追いかける四天王のうち二人のうち一人は疾風の竜自身が倒し、もう一人は印玄が加勢して荷車についていた車に嵌め込んで屋根の上から転がり落として倒した。

さて帰り道。その名も「主水」と言う曲が流れる中

市松「また例の旅人だ。」
捨三「あの野郎、まさか俺達を。」

緊張が走る。

疾風の竜「なんだ、お前さん達かい。」

殺意はなかったようだ。

市松「さっきはなかなか見事だった。」
疾風の竜「何。お前さんの腕には敵わねえよ。俺はただ捨て身で飛びかかっただけだ。」

これは本音だろう。そして主水は尋ねた。

中村主水「ところでおめえさんの頼み人は誰なんだい。」

それに対する答えは

疾風の竜「その前にお前さん達の頼み人は誰なんだい。」

主水が答えられるわけがない。よって

疾風の竜「お互いに言えねえはずだぜ。先急ぐんでな。」

疾風の竜は立ち去った。

捨三「かっこいいなあ。」
印玄「市松、おめえも負けそうだぜ。」
中村主水「あっしも先を急ぎますから。」

捨三と印玄が「え?」という間に主水も立ち去るのであった。