引継(あまちゃん)

あまちゃん 第20週「おらのばっぱ、恋の珍道中」第117,118話(脚本:宮藤官九郎、演出:桑野智宏 (C) NHK)より

上京した天野夏(宮本信子)は目的を果たし、大向大吉(杉本哲太)と一緒に帰る事になったのだが

天野春子(小泉今日子)「ちょっと待ってよ、持って行ってもらいたいものがあるんだから。」

土産は要らんぞという夏に託されたのは足立よしえ(八木亜希子)である。

天野春子「説教は勘弁してあげてね、何度もあたしがやったから。」

仕方なく

天野夏「よく考えたのか?」
天野春子「それも散々聞いた。許してもらえなくてもいいんだって。それでも家族になりたいんだって。謝りたいんだって。ね。」

足立よしえは頷いた。

天野夏「それじゃあ、おんめえ、連れて帰るしかないじゃないか。」

春子は頷いた。

足立よしえ「(深々と頭を下げながら)お願いします。」

そして北三陸駅に着いた夏と大吉はよしえをリアスに連れて行った。よしえは「ミス北鉄 足立ユイ」のポスターを観た。

その頃、アキは種市と二人で無頼鮨の裏にいた。

さてリアスからは予め連絡を受けていた吉田正義(荒川良々)が店の外に出てきた。

吉田正義「ユイちゃん、何も知らないから。足立先生とヒロシ君はちょうど病院さ、リハビリに行ってます。だがねえ、街の人達はなんか集まってる。」

さあ困ったよ。

大向大吉「ジェジェジェ。なして集まってる。」
吉田正義「なんか呼んじゃいました。」

呼ぶなよう。さてここから修羅場が始まるのである。その収拾も夏は引き継いだ事になるのだ。まあ海女クラブの会長を務めていたからこういうトラブル解決は亀の甲より年の功で何とかなるのであろう。とはいうものの、街の人がたくさんいるというのは夏にとっても困ったことで口あんぐりしていた。よしえは下を向いてしまった。だが夏は覚悟を決めた。

天野夏「こそこそする事はねえ。おい、行くぞ。」

店番をしているのは今野弥生(渡辺えり)と熊谷美寿々(美保純)でユイも手伝っていた。カウンターにいるのは勉さん(塩見三省)、今野あつし(菅原大吉)、菅原保(吹越満)、栗原しおり(安藤玉恵)。本当にいっぱいいる。まず夏が入った。

天野夏「ただいまあ。土産は特にねえ。その代わり、懐かしいーお客(ユイと目が合い、一瞬戸惑うが)連れてきたよ。」

あれ、花巻珠子(伊勢志摩)と長内かつ枝(木野花)がいつの間にか座っているよ。まあそんな事は瑣末な指摘に過ぎない。ここからが大事なのだ。夏はよしえを中に入れた。当然の如く、ユイが怒り狂って修羅場になった。書かなくても内容はわかると思うので割愛しよう。足立功(平泉成)とヒロシ(小池徹平)もリハビリの帰りなのか、リアスにやってきた。泣き叫ぶユイを見かねて

足立功「ユイ、それくらいにしなさい。もういいだろう。母さん、責めてもしょうがないんだから。」

父の一喝に娘は黙った。涙をたくさん流していた。居た堪れずに北三陸駅の待合室へ出てしまった。ドアを閉める音は大きかった。次に口を開いたのはヒロシだった。

足立ヒロシ「なぜ帰ってきたの?」
足立功「(大声で)黙れ! 喋るな!」
足立ヒロシ「(大声で)黙んねえよ! だって、逃げたんだぞ。」
足立功「皆さんがいる前で醜態を晒す気か?」

取りようによっては酷い言葉を吐く功に夏はこう言った。

天野夏「どうも、おばんで。さ、遠慮なくやってください。口、挟みませんから。おら達にとっては所詮、他人事だし、よしえさんもそれなりの覚悟で戻ってきたようですから。」

よしえは深々と頭を下げた。

さてユイは北三陸駅の待合室のベンチにいた。ちょうどその頃、アキから写メが来ていることに気がついた。それはアキが撮った種市の変顔だった。アキの変顔も届いていた。それを見て心癒されたユイは今度は自分の変顔を写してアキや種市に送信。何とか修羅場は丸く収まったのであった、とりあえずは。最後は功のこの言葉で締められた。

足立功「元通りになんかならなくたっていいよ。だって、ここにいる皆さんは、君が弱い人間だって知ってるんだから。」

よく考えたら、夏はユイの世話も春子から引き継いでいたね、かなり前に。夏はユイを連れて自分の家へ帰っていた。

天野夏「ユイちゃん、お母さんと仲良くできっか?」

そして色々とユイの気持ちを聞いた後、いつの間にか寝てしまったのであった。