交渉(あまちゃん)
あまちゃん 第20週「おらのばっぱ、恋の珍道中」第119,120話(脚本:宮藤官九郎、演出:桑野智宏 (C) NHK)より
GMTは伸び悩んでいた。そこで荒巻太一(古田新太)は起死回生の策、というのは正確な表現ではないのだが
荒巻太一「太巻、映画作ります。」
と言うわけで、ある日の夜、無頼鮨に荒巻太一は鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)を呼び、河島耕作(マギー)を同席させた。事務所のタレントを起用して、あの『潮騒のメモリー』をリメイクすると言うのだ。さて荒巻が持ってきた資料には
と書かれていた。なので
鈴鹿ひろ美「『(交渉中)』と言うのは?」
と尋ねたが、返って来た答えは
二人とも両手を前に出した。それを観て、鈴鹿ひろ美は「(交渉中)」の意味を理解した。
鈴鹿ひろ美「ジェジェジェ!」
さて鈴鹿ひろ美は確認した。
鈴鹿ひろ美「というか、本当にやるの?」
太巻は権利は問題ないと言い
荒巻太一「後は主演女優次第です。」
これを聞き、さらに河島も頷いたので
鈴鹿ひろ美「え! 無理よ、無理、無理。お断りします。」
と答えた。
河島耕作「(頭を下げながら)そこをなんとか。」
荒巻太一「鈴鹿さんのデビュー作であると同時に私の原点でもあります。(頭を下げながら)お願いします。」
なんか話が噛み合っていない気もするのだが、鈴鹿の答えは変わらなかった。
鈴鹿ひろ美「できません。そんな17歳の海女の役なんて。」
それを聞き、河島も荒巻も無言で頭を上げた。鹿おどしの音だけが響いた。
鈴鹿ひろ美「無理よねえ、隊長。」
そう言われた大将の梅頭は答えに窮したが、とりあえず敬礼して乗り切った。河島も荒巻も無言。
鈴鹿ひろ美「見えないでしょう、17歳には。(手で目の横。というか、目尻の皺を伸ばしてみて)どんな技術を駆使しても。」
それに対する答えは
荒巻太一「はい。っていうか、主演じゃねえっす。」
そりゃそうだよねえ。鈴鹿は怪訝な顔。
荒巻太一「一番最初に申しましたが、うちの所属タレントを主演に使った純然たるアイドル映画だと。」
鈴鹿ひろ美は誤解していたと気がつき愛想笑いしながら
鈴鹿ひろ美「そうよねえ。わかってますよ。どうせ母親役でしょう。」
呆れながらも
鈴鹿ひろ美は罰が悪かったのか
鈴鹿ひろ美「うるさいなあ。」
なんだか、天野アキ(のん)みたいだねえ。
梅頭「図々しいですよ。」
それを聞いた一同が梅頭を観て、さらに鈴鹿ひろ美が鬼の形相だったので梅頭は頭を下げてしまった。太巻はそれを無視して(?)話を進めた。
荒巻太一「主演は彼女を考えています。」
河島が主演候補を呼んだ。やって来たのは
さて鈴鹿ひろ美の反応は
鈴鹿ひろ美「ああ、なるほど。宮城の子だったわよね。」
小野寺薫子「はい。宮城と言えばあ。」
荒巻太一と河島耕作「(振り付けながら)ずんだ、ずんだ。」
鈴鹿ひろ美「(冷たく)結構です。」
あまり芳しいものではないようだったが
小野寺薫子「美味しいお米と」
鈴鹿ひろ美「(つい)ずんだ、ずんだ。」
と言ってしまった。そのあとで
鈴鹿ひろ美「(冷たく)結構です。」
それでも河島は話を続けたのだが、それを遮り
鈴鹿ひろ美「ラストシーンは?」
さらに
鈴鹿ひろ美「エンディングですよ。主題歌が流れるでしょ。」
心なしか太巻の表情が凍りついたような気がする。さらに
鈴鹿ひろ美「今回は誰が歌うんですか?」
そこまで太巻も河島も考えてはいなかったようだ。と言うか、河島は真の意味を知らなかった(ような)ので太巻の方を思わず向きながら
河島耕作「今回は?」
と尋ねてしまった。太巻は無言。最初に制作された時は鈴鹿ひろ美…ではなくて天野春子(演じているのは有村架純だが声は小泉今日子)だったのだ。
鈴鹿ひろ美「わかりました、やりましょう。ただし、一つだけ条件出させて。」
その条件とは
鈴鹿ひろ美「ヒロインはオーディションで決めましょう。」
その真意を測りかねたのか河島はポカンと口を開けてしまった。
小野寺薫子「私は…」
鈴鹿ひろ美「あなたも受けなさい。私、立ち会ってるから。」
小野寺は「はい」と言うしかなかった。
鈴鹿ひろ美「ごめんなさいね。あたしが関わる以上、こけるなんて絶対に許さない。」
それを聞き
さてこの件は種市浩一(福士蒼汰)からアキにガラケーで知らされたのだが、最終的に天野春子がガラケーを奪い取り、一部始終がスリージェープロダクションにも伝わるのだが、その時の恐ろしいやり取りは映像などで確認してほしい。