違い(必殺仕置屋稼業)

必殺仕置屋稼業 第24話「一筆啓上 血縁が見えた」(脚本:猪又憲吾、監督:田中徳三 (C) 松竹)より

今日もロリコン主水はおはつの料理屋にやって来た。おはつは友達のおみね(葵三音子)と話している最中。

おみね「おはつちゃんさあ、お嫁さんに行かないの?」
おはつ「あたしなんかダメよ。みて、このお店。素敵なお客さんどころか、みんなおじさんばっかだもん。」
おみね「そうね。」

主水、大いに落胆。それでも

中村主水「ああ、おはつちゃん。」
おはつ「あら、おじさん。」
中村主水「いつもの飯、作ってくれないかなあ。」

おはつが立ちかけたのだが、おみねが声をかけてしまった。

おみね「それで、それで、それでさあ、おはつちゃん、どんな人のお嫁さんに行きたい?」
おはつ「あたし? そうねえ。若くって、逞しくって、陽気で、明るい人がいいわ。」
おみね「そうねえ。」
おはつ「いつもボヤッとした人なんて頼りないじゃない。

この言葉を聞いて、お茶を自分で入れようとした主水の手が止まってしまった。

おみね「それでどんな顔貌の人?」
おはつ「丸顔よ。」

自分とおはつの理想との違いに大いに落胆した主水は咳払いしながら出て行こうとした。

おみね「そうねえ。」
おはつ「おじちゃん、帰っちゃうの?」

主水は落胆してこう言った。

中村主水「今日は食う気になれんね。」

そして鼻歌を歌った。

中村主水「♪あーの恋もー(ここから調子が外れて)過ぎてみれば」

どっかで聞いたような歌(主題歌の『哀愁』)である。すると(主題歌を歌っている葵三音子が演じる)おみねはこう指摘した。

おみね「おじさん、違うわよ。♪あーの恋もー過ーぎーてみれば。おじさん、調子はずれねえ。」

まさに泣きっ面に蜂。

中村主水「生まれつきだよ。」

というのが精一杯であった。