取り違え(あまちゃん)

あまちゃん 第21週「おらたちの大逆転」第123,124話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

潮騒のメモリー』の主役オーディションの二次選考にアキ(のん)は臨んでいた。明らかに前のめりの鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)に対して太巻こと荒巻太一(古田新太)は小野寺薫子(優希美青)を残したがっていたのだが、鈴鹿ひろ美の演技指導(だと思う)に合わせてアキが言うのを観ていた太巻はアキの姿がこう見えていた。

天野春子(有村架純)「母ちゃん、私、しんすけさんが好き。だから島を出ます。」

隣を観ると

鈴鹿ひろ美「好きにすりゃ良いべ。さっさと行げ。」

そして前を見直すと

天野春子「親不孝ばかりでごめんなさい。」

飛び出す「春子」を見て思わず太巻は立ち上がり

荒巻太一「ちょっと待って。」

と叫んでいた。だが「春子」はそのまま出て行った。呆然とする太巻。鈴鹿ひろ美が左を観ると太巻は呆然として立ち尽くしていた。

鈴鹿ひろ美「監督。」

これで太巻は我に返った。観たのは幻影だったらしい。太巻は取り繕ってこう言った。

荒巻太一「良いんじゃないですか。」

そして選考結果を決める段取りになった。天野アキを残そうという声が他の選考者からあがった。

島耕作(マギー)「監督!」

そう言われた太巻は、また選考中の事を思い出し、立ち上がりながらこう言った。

荒巻太一「ちょっと待って。」

天野アキの写真をホワイトボードに貼ろうとした河島は動きを止めてしまった。

荒巻太一「なんだ?」
島耕作「いや、ちょっと待てって言ったんで。」

それを聞いて慌てたのか、こう言い出した。

荒巻太一「確かに、(水口が挨拶しに入ってくる)天野は素材としては良いと思います。ただヒロインは荷が重い。例えば『伊豆の踊り子』の山口百恵、『野菊の墓』の松田聖子、それに映画オリジナルの鈴鹿さん然り。ああいう映画はヒロインの鮮烈なデビューによって記憶に残る。そういう意味でインパクトが天野春子にはない!」

え? 水口は太巻の取り違えに気がついた。鈴鹿ひろ美も気がついたようだが、話は先へ進んでしまった。

荒巻太一「天野春子にない物が他の候補者にあるかどうかは未知数です。じゃあ、例えば、小野寺薫子なんかは表現力こそ天野春子には及ばないが独特のムードがあります。芸歴も若い。(河島に)天野はいくつだっけ?」
島耕作「(怪訝に思いながらも)四十…」

太巻は河島が持っていた天野アキの写真を手に取り

荒巻太一「18じゃないか。」

写真を河島に返したが

島耕作「天野アキはそうです。」

驚く太巻。

鈴鹿ひろ美「ずーっと、春子って言ってるから、ねえ。」

目を丸くする太巻。河島は「ええ」と言うだけ。

鈴鹿ひろ美「誰、春子って?」

この質問の意図は不明。春子と鈴鹿は面識がある。質問の意図はどうとも取れる。だが、これ以降、太巻は何も言えなくなってしまった。他の選考者は「残しましょうよ」と改めて言い、鈴鹿ひろ美はニヤリと笑った。ここで水口が

水口拓磨「(天野アキの予定は)空いてます。」

と話に割って入った。太巻きと河島以外の選考者に挨拶し、

水口拓磨「もちろん、次も空けて待ってましたんで。」

と言うわけで

鈴鹿ひろ美「じゃ、そう言う事で。」

となり、太巻はガックリするのであった。こうして天野アキは最終選考まで進んだのであった。それにしても何故太巻は大事な選考会議で取り違えを起こしたのだろうねえ。

検知 その5(あまちゃん)

あまちゃん 第21週「おらたちの大逆転」第123,124,125話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

二次審査を終えたアキ(のん)は母の春子(小泉今日子)が夏(宮本信子)の見舞いに北三陸へ行き、父の黒川正宗(尾身としのり)がタクシーの給料を取りに出かけたので、「家には誰もいない」と種市浩一(福士蒼汰)を家に連れてきてしまった。要するに自宅に二人っきりの状態となったわけである。種市は20歳になっていたのでビールを飲むといい、さらに

種市浩一「その前にシャワー借りていいか?」

と言って浴室に入ってしまった。とその時、自宅、というかスリージェープロダクションの電話がなった。思わずアキは出てしまった。

天野アキ「もしもし。」
天野春子「ママだけど。」

後ろめたいところのあるアキは「うわあ」と叫んでしまった。この時、春子は北三陸の天野家にいた。

天野春子「うわあって何よ。元気?」
天野アキ「なんなんなんの用だ?」
天野春子「あんたに用はないの。事務所の留守電聞こうと思っただけ。」
天野アキ「じゃあ、出なきゃ良かったのか?」
天野春子「もう遅いけどね。で、どうだったの、審査。」
天野アキ「うーん、まあまあだな。ジェジェ。」

なんと種市が服を脱ぎかけで事務所に来ていた。慌てて受話器を押さえるアキ。種市はシャンプーとリンスを持っていた。

種市浩一「あ、ごめん。どっちがシャンプーでどっちがリンスだ?」
天野アキ「(受話器を押さえたまま)泡の出ない方がリンスだ。」

とりあえず種市は浴室へ戻った。アキはまた電話に出て話した。

天野アキ「もしもし。」
天野春子「誰かいるの?」

この当然すぎる質問に対してアキはこう言って誤魔化した。

天野アキ「あ、うん。水口さん。」
天野春子「あ、そ。遅くまでご苦労様あ。」

アキは取り繕うためにこう言った。

天野アキ「ご苦労様あ、だってえ。」

そして

天野春子「じゃあね。おやすみ。」

こうして一回目の電話は切れた。

それからしばらく経ち、アキと種市が色々と話をして、アキが浴室に入った後、春子から電話がかかってきた。留守番電話を再生するためである。そして再生されたのは1時間前に大喜びの水口がガラケーでかけてきたこの電話。

水口拓磨「もしもし。水口ですー。後で携帯にもかけますが、アキちゃん、最終選考、残りましたあ。というわけで今日は事務所に寄らずにそのまま帰りますね。(これを聞いた春子の表情が変わる)御報告でしたあ。」

春子は気がついた。

天野春子「ん! ん! ん! 『今日は事務所に寄らずにそのまま帰る』」

その頃、無頼鮨では水口が上機嫌で一人で寿司を食べていた。水口のガラケーがなった。上機嫌の水口は電話に出た。

水口拓磨「あ、もしもし。今ですか? いや、お寿司食べてます。ちょっとなんか、気が大きくなっちゃって。ふふ。え? え! なんで?」

当然お分かりだろうと思うのだが、電話は春子からのもの。スリージェープロダクション社長の春子は部下でマネージャーの水口にこう言った。

天野春子「いいから、事務所に戻って。今すぐ。お願い。」

電話が切れた後、水口は念の為、無頼鮨に種市がいるかどうかを確認。いないようだ。そして梅頭に尋ねた。

水口拓磨「大将、今日、あの若造、なんでいないの?」
梅頭「種市? 9時であがったけど。」

何が起きたのかを瞬時に悟った水口は梅頭にこんな理不尽な事を言った。

水口拓磨「何やってんだよ。」

その勢いに気圧されて

梅頭「すいません。」

と謝ったのだが、水口が正宗に連絡をとりながら出て行くのを見送った後、別の客にこう言った。

梅頭「今、なんか謝ることありましたっけ? ないですよねえ。」

この後の展開は想像がつくかと思うけど、詳細は映像などでご確認を。

ハニートラップ(必殺仕置屋稼業)

必殺仕置屋稼業 第25話「一筆啓上 不倫が見えた」(脚本:中村勝行、監督:大熊邦也 (C) 松竹)より

江戸の小石川の新堀河岸が崩れてしまった。土嚢を積んで応急措置を施したのだが、また崩れるかもしれない。相模屋勘右ヱ門(永田光男)は工事に乗り出そうとしたのだが三州屋惣兵ヱ(谷口完)の手代の弥助(五味龍太郎)が妨害。人足は管轄の役人である中村主水に掛け合い、主水はもう一度、担当者に掛け合ってみると約束した。工事の担当は堅物で有名な岡崎左門(小笠原良知)。妻の志乃(市原悦子)は内職で苦労していた。

岡崎は村野様に掛け合った。村野様は

与力 村野「普請元に見積を出させて入れ札で工事を請け負わせてはどうだ。」

と指示。工事費用の節減も考えての手だった。

さて南町奉行所で説明会が開かれ、悪徳工事が信条の三州屋はこんな作戦を発案した。

三州屋惣兵ヱ「なあに、まともに入れ札をする気ははなからねえぜ。」
弥助「というと?」
三州屋惣兵ヱ「年番役の岡崎って同心を抱き込む。奴の裁量で入れ札はどうにでもなる。」
弥助「へい。」

さてどうやって抱き込むのか。まず賄賂を弥助が持っていったのだが、岡崎は毅然として断った。その報告を聞き、三州屋はさらにこんな作戦を発案した。

三州屋惣兵ヱ「だが弥助、亭主がダメなら、女房って手があるぜ。」
弥助「え?」
三州屋惣兵ヱ「どうせ貧乏同心の女房だ。おいそれと着物の一枚でも買やしねえだろう。」
弥助「なるほど。」
三州屋惣兵ヱ「何も着物に限った事じゃねえが、女って奴はなあ、必ず何か一つは欲がある。そいつを探すんだ。」

そして志乃が出来心で清吉(寺田農)と言う飾り職人と密通している事を嗅ぎつけた弥助は清吉を通じて志乃に指示。岡崎が眠りこけている隙に志乃は見積の金額を調べ上げ、メモ帳に書き上げた。

そして入れ札の日。小石川新堀河岸の工事は一両違いで三洲屋に決まってしまった。奉行所内では同心連中が不審に思い、「見かけによらず岡崎さんもやるもんだ。」と無責任な事を言う連中が出る始末。主水も不思議に思っていた。その主水に相模屋がこう詰め寄っていた。

相模屋勘右ヱ門「中村様、わずか一両の差というのが、どうしても腑に落ちません。事前に手前どもの見積とかが漏れていたと思います。」

主水は岡崎の人柄をよく知っていたので、その意見を一蹴したが

相模屋勘右ヱ門「いえいえ。三洲屋ならやりかねません。中村様。この工事は三州屋には任せられません。平気で手抜き工事をやる連中ですから。」

主水は御定法によって決まった事だと反論したのだが

相模屋勘右ヱ門「この度の入れ札にからくりがあったのだとしたら、差し戻しはできるはず。」
中村主水「で、あたしにどうしろと言うんだ?」
相模屋勘右ヱ門「(懐から金を出し)これは決して賂ではございません。お奉行所黙許の礼金です。三州屋を調べていただきたい。」

と言うわけで、今回の仕置の流れはおわかりであろう。

さて岡崎は見積額を書いた書類と、その脇にあったメモ帳らしきものを見比べてあることに気がついた。志乃がメモを残していたのである。

岡崎左門「志乃。」
志乃「はい。」
岡崎左門「(メモ書きを手に持ち)これは何だ? この数字はお前の筆跡だ。言え。何のためにこんな事をしてたんだ。」

志乃は無言。これで志乃の犯行を確信した岡崎は志乃をビンタ。誰に頼まれたのかを問い詰めた。

そして翌朝。南町奉行所で岡崎は自決。その死体を主水が発見。その後、岡崎の自宅へ行ってみると離縁状が置かれて志乃はいなかった。なんと志乃は清吉の長屋へ転がり込んでいた。

その後の調査で清吉と三洲屋の繋がりが判明し、仕置屋は仕置を遂行することにした。まず印玄が清吉を仕置。屋根の上に登った印玄が網を投げて清吉を捕まえ、引き上げた。

清吉「助けて、おろして。」

と連呼する清吉。そして屋根の上まで引っ張り上げたところで印玄が網を持って高速(?)回転すると

清吉「目が回る。」

そして印玄が網を話すと清吉は落ちて死亡した。ジャイアントスイングの変形版と言ったところであろう。

その頃、主水は清吉の長屋へ行き、清吉の帰りを待って夕食の支度をしているという志乃にこう言い放って出て行った。

中村主水「奥さん、清吉は帰ってきませんぜ。」

市松は手抜き工事を指示する弥助を仕置。主水は三洲屋を仕置した。

事後、清吉を岡場所で探し回る志乃を見て、主水は複雑な気持ちになるのであった。

なお余談だが、中村勝行は後の『ザ・ハングマン』最終回でこの手口(妻を籠絡して情報を得る)を再利用して脚本を書いている。

キックオフ(燃えろアタック)

燃えろアタック 第57話「ふたりで作った愛のスパイク」(脚本:上原正三、監督:奥中惇夫、助監督:三ツ村鐵治 (C) 東映)より

小杉百合子(河内桃子)から小鹿ジュン(荒木由美子)が伝授された技「ひぐま落とし」を夏川ゆか(中原歩)と西方美樹(池田信子)に伝授したことにより、ダブルひぐま落としをできるメンバーが増えてジュンのエースの座が危うくなってしまった。そこで部長の速水大造(小瀬格)は、かつてジュンの母小野民(河内桃子、実は小杉百合子と同一人物)が高校時代に考案しながら完成させることのできなかった「幻のスパイク」のノートをジュンに渡した。以後、ジュンは「幻のスパイク」開発を試行していた。ここまでが前回までの大まかなあらすじである。

そして春の選抜大会初戦。白富士学園バレー部の先発メンバーが発表された。なんとエースのはずの小鹿ジュン(荒木由美子)がいないのである。引退したばかりの3年生も驚き、コーチに訊き直した方がいいと言ったのだが、マネージャーの八田のり子(中島千里)はコーチがそれで良いと言ったのだという。驚いたジュンがコーチの速水大介(南條豊)に詰め寄るとコーチが観ていたのは「幻のスパイク」のノートであった。

速水大介「俺は幻のスパイクを完成させたいと思う。どうだ、小鹿、二人でやってみないか?」

コーチの真意はそこにあったのだ。

速水大介「その代わり、それ相当の覚悟が要るぞ。」
小鹿ジュン「私、どんな事でも。」
速水大介「じゃあ、俺に任せろ。いいな。」

と言うわけで幻のスパイクを完成させる練習が始まった。まず大介はジュンを徹底的に走り込ませて基礎体力をつけさせた。なお幻のスパイクの回転は、ひぐま落しが縦方向なら、横回転という感じである。台風のようにクルクル回るのである。それ相応の体力が必要になるのだ。研究を重ねる大介に父の大造は声をかけた。大介はこう言った。

速水大介「なんとしても完成させますよ。ひぐま落としを超える技を。」

大造はその意気込みを買いつつも忠告した。

速水大造「期待している。だけど焦るなよ。父さんと同じ轍を踏ませたくないからな。」

大造は小野民を指導していたのだが、民はアキレス腱を切って選手生命が断たれた過去がったのだ。それは当然、大介も知っている。

納谷悟朗のナレーション「ジュンは大介のプランにしたがって毎日のように鍛えた。」

ロケ地は東京都北区付近の新河岸川か荒川の堤防だろう。そして基礎体力ができたとみた大介はおしゃれなレストランにジュンを呼び出した。「ナポレオン」と言う店のようである。

小鹿ジュン「びっくりしました。御めかしして来いだなんて。」

大介はまずジュンを座らせた。さて大介がジュンを呼び出した真意は

速水大介「今日は二人だけの壮行会だ。」
小鹿ジュン「壮行会?」
速水大介「うん。第一段階のトレーニングは終わった。いよいよ、組み立てに入る。」
小鹿ジュン「組み立て?」
速水大介「うん。組み立てるんだよ、幻のスパイクを。親父はひぐま落としを組み立てた。俺は幻のスパイクを組み立てる。そして親父を超えてみせる。お前だってそうだ。お母さんの完成できなかったスパイクを完成させるんだ。超えるんだよ。」
小鹿ジュン「母さんを超える?」
速水大介「そうだよ。超えるんだ。超えようじゃないか。超えてみせようじゃないか。」

その言葉にジュンは頷いた。

速水大介「明朝5時、体育館で待っている。」

さらにジュンは頷いた。そして料理が来た。

速水大介「さあ、うんと食ってスタミナつけろ。」

それはステーキだった。

速水大介「貧乏教師の給料じゃ身分不相応だがな。」

こうして「幻のスパイク」の組み立てに向けてジュンと大介は始動したのだが、それが苦難の道であることをジュンも大介も、視聴者も知る由はなかった。ちなみに試作技は次回に披露されるのだが本当に未完成の代物で、真の意味で完成するのは第65話になってからだったのである。

ローテーション(コサキン)

我ながら狡い題名だが、コサキンネタの名物に高速回転がある。

www.tbsradio.jp

第15回「ムーラン・ルージュは逆○○○○○○」の『おハガキ列島』『意味ねえ夏のイベント』で抱腹絶倒もののネタが2つも投稿されたので一気に紹介しよう。一つ目は常連投稿リスナーの相模原市の村上敦さんが投稿したネタである。

スーパー高速回転祭り
太秦で活躍する面々による高速回転によって発生した風で涼もうというイベント。後の方の水戸黄門で助さん格さんを演じた東幹久、的場浩司さんの二人は1分で2回転と今一つの調子だったが、あおいと伊吹は1分間に9500回転を叩き出し、その回転の残像が全盛期の小柳ルミ子大澄賢也に見えるという離れ業も見せてくれた。

上記は途中で小堺さんが「読めなくなってるよ。(関根勤談)」と言う状態になったので不正確かもしれない。

そしてもう一つが熊谷市のベーチさん(音声しか聞こえないので表記は仮)が投稿したネタである。

USJ
これは、U:薄めた、S:そばつゆを、J:ジッと見る会の略。内容はメリーゴーランドに乗りながら中心に置かれた薄めたそばつゆをジッと見ると言うもので、参加メンバーは西川きよし竹内力北大路欣也、白竜、遠藤憲一市村正親の6人。しかし6人の眼力の余りの強さにメリーゴーランド内の温度が上昇。機械が故障し、メリーゴーランドの回転速度はみるみる上がり、そのまま6人は高速回転しながら空高く舞い上がり、紫色の霧を噴射しながら夏の空へと消えていった。そしてその年の秋の訪れは例年より早かったそうな。

これを聞いた関根勤さんの感想は「バカじゃねえの。」であった。

おつきあい(あまちゃん)

あまちゃん 第21週「おらたちの大逆転」第122話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

映画『潮騒のメモリー』のオーディションでGMTのメンバーと再会したアキ(のん)。無頼鮨にそのまま行った。カウンターに座った一同。水口(松田龍平)と正宗(尾身としのり)もいた。GMTのメンバーは寮の場所がバレたので転居したという話になり、週刊誌に好き勝手書かれているという話になり、そこから、アキの場合はどうかという話になり、さらに入間しおり(松岡茉優)が無邪気にこう言い出した事から話がおかしく、もとい、面白くなってきた。なおこの場に小野寺薫子(優希美青)はいなかった。

入間しおり「彼氏できた?」
天野アキ「え?」
入間しおり「そっちの方は派手にやってますか?」

目の前でワサビを擦っていた種市(福士蒼汰)は気が気ではなかったようで、擦る手が止まらなくなってしまった。

天野アキ「そうでもないか。」
水口琢磨「おい、おい、おい。君達、お父さんいる前でそんな。」

真相を知る水口は止めにかかったのだが

黒川正宗「(無邪気に)派手にやってるのか、アキ?」

右手をマイクに見立てて突き出した。入間しおりも突き出した。種市はもちろん、気が気ではない。

喜屋武エレン(蔵下穂波)「岩手の観光協会のイケメン。」
遠藤まな(大野いと)「ストーブさん?」
入間しおり「告白でもされましたか?」

アキは黙ったままだったが

遠藤まな「というか、もしかしてえ。(種市を指差し)憧れの先輩?」

あんらあ。正宗は鬼の形相で種市を睨みつけた。

入間しおり「どっちにしろさ、地元の先輩ですよねえ。」

さらにGMTのメンバーは『地元に帰ろう』まで歌って囃し立てた。梅頭はチラッと種市を見て、正宗は鬼の形相である。

♪好きです、先輩、覚えてますか

とりあえず

種市浩一「迷惑になるんで、静かに。」

ところがGMTの暴走は止まらない。真相を知っていた水口はとりあえず冷静を装っていた。梅頭(ピエール瀧)は種市に何か合図した。種市はまたワサビを擦り出した。歌がピークに達したところで、遂に

水口琢磨「(カウンターを叩いて)そんなわけないじゃん!」

GMTのメンバーは歌をやめた。

水口琢磨「やばいでしょ、恋愛して9時間寝てたら。そんなアイドル、やばいっしょ。引退して田舎帰った方がいいっしょ。彼氏とかいませんからあ。CMの契約あるし、向こうの。向こう1年は受験が恋人ですから。」

するとこんな攻撃を喜屋武ちゃんがしてきた。

喜屋武エレン「水口はどうなわけ?」
水口琢磨「え?」
喜屋武エレン「アーキのこと、どう思っているわけ?」
入間しおり「だってさあ、流石にちょっとは恋愛感情がないと独立なんかしませんよねえ、ねえ、ねえ。」
黒川正宗「(鬼の形相で)そうなの?」
入間しおり「どうなんですか? どうなんですかあ?」

この想定外の攻撃に対する水口の反応は

水口琢磨「勘弁してくださいよ。」

なんと酒を飲み始めてしまった。

種市浩一「水口さん、運転…」

すると水口はこう言い出した。

水口琢磨「ちょっと来いよ。」

水口は種市を外へ連れ出した。さーて、ここから恐いやりとりが行なわれるのである。

入間しおり「まさか、決闘? アキをかけて決闘?」

そういう話ではないのだが、GMTのメンバーも野次馬根性で外へ出ようとしたが

黒川正宗「まま、やめなさい、やめなさい。男同士なんだから、ね。」

最悪の事態は防がれたようだ。

さて水口は種市に土下座してこう言い出した。

水口琢磨「この通りだ。何も言わずにアキちゃんと手を引いてくれ。」

種市は驚いて座り込んだが、今度は水口は立ち上がって、こう尋ねた。

水口琢磨「実際、どうなの、二人は?」
種市浩一「どうって、付き合ってますけど。」
水口琢磨「そんなの知ってるよ。舐めんなよ。」

この恐ろしい言葉を聞いて種市の表情が凍りついた。続けて水口は尋ねた。

水口琢磨「だから、程度の話してんだよ。なあ、言ってみ。どこまで行った、二人は? 怒らないから言ってみ。」

このさらに恐ろしい質問に対する種市の答えは

種市浩一「まだ、何も。」
水口琢磨「まだ何も?」
種市浩一「目茶苦茶怒ってんじゃないですか。」

水口の恐ろしい質問、というか、警告はまだ続く。

水口琢磨「まだって事は、いずれ、どこかまで行こうとしているって事ですよねえ、先輩。南部ダイバー先輩。それが明るみになったらどう報道されると思います? 清純派天野アキ、交際発覚、お相手は一歳年上の一般男性。予備校のCMは打ち切られ、違約金を払わされ、当然、映画のヒロインの話も立ち消え。あーあ、大損害だぜ、一般男性。いっぱーんだーんせーい。ルパン三世。」
種市浩一「酒臭いですよ。」
水口琢磨「何してくれたんだよう。大事な時期によう。おいら、いっぱーんだーんセーい。」

とそこへアキがやってきた。

水口琢磨「ごめん、ごめん。お会計ね。」
黒川正宗「もうしましたけど。」
水口琢磨「じゃあ、タクシーで帰りましょう。」
黒川正宗「タクシーって、君飲んでるだろう?」
水口琢磨「(正宗の)タクシー置いて(別の)タクシーで帰りましょう。」
黒川正宗「そうだね。」

こうして種市への警告は終わりが見えたのだが、水口はトドメの一撃(大門豊談)をしっかり放った。

水口琢磨「じゃあ、頼みますよ、一般男性。」

とりあえずアキは「大丈夫?」と尋ねたが

種市浩一「ああ、僕は。ああ、それより、バアちゃん無事(夏の手術成功の知らせがあったこと)でよかったな。」

と言い、さらに

種市浩一「大事な時期なんだ。」
天野アキ「んだ。でもいいんだ。生きてる限り大事じゃねえ時期ねんてねえじゃん。先輩と付き合っている今だっておらにとって大事な時期だべ。」
種市浩一「(デレっとして)天野。」
天野アキ「仕事も先輩もどっちも大事だ。」
種市浩一「(声が大きくなって)天野!」

思わずアキが「シーッ!」と口に右手の人差し指を当てた。いい雰囲気だと思ったのだろう。水口がみたら激怒するぞー、と思うのだが種市が何かしようと近寄るとアキは後退りして拒否した。

天野アキ「今はちょっと。」
種市浩一「いづする?」
天野アキ「いつって、今は決めらんねえ。」
種市浩一「じゃあ、いつ決める?」
天野アキ「また今度。」

いつの間にか『南部ダイバーの歌』のメロオケ(?)が流れる中、梅頭はその様子をジッとみていた。それに種市に気がつき

梅頭「タクシー来ましたけどー。」

という言葉でおつきあいの話は終わった。

この後、鈴鹿ひろ美と太巻が実は一緒に住んでいると梅頭から聞き、驚く入間しおり、遠藤まな、喜屋武エレンであった。

インシデント対応(あまちゃん)

あまちゃん 第20週「おらのばっぱ、恋の珍道中」第121話(脚本:宮藤官九郎、演出:桑野智宏 (C) NHK)と第21週「おらたちの大逆転」第121話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

天野アキ(のん)は映画『潮騒のメモリー』主役オーディションの書類審査を通った。それを知らせに天野夏(宮本信子)のところへ電話したのだが、何故か夏は出なかった。そこで今度は梨明日(リアス)へ電話した。ところがそこにも夏はいなかった。いたのは

だった。夏はその日は休みだったのである。

大向大吉「明日の朝、おらが家に寄って伝えてやるべ。」

など言って、その時は終わった。

翌朝。しかもオーディション当日。大向大吉がうに丼を取りに行く用事もあったので天野家へ行ってみれば、母屋に夏がいる様子はない。

大向大吉「まさか、まーた海さ行ったか?」

と一瞬思ったが、猫が向かいの離れを覗いている事に気がついた。夏はそこでうに丼を作っているのである。そこで大吉が戸を開けて夏を呼んだのだが、返事はない。しかし、うに丼は作りかけの状態である。そして大吉は気がついた。床に夏が倒れて気を失っていたのである。

大向大吉「バッパ。夏バッパ。夏バッパ。」

何度呼んでも返事はない。

そしてスリージェープロダクション。オーディションへ出かけようとしている春子のガラケーに大吉からメールが届いた。

天野春子「みてよ、これ。」

文面は

お母さん倒れた!(`;;;')/

だった。

天野春子「気にしなくていいからねえ。アキはオーディションに集中!」

まあこんな事件があったからだろう。

hirofumitouhei.hatenadiary.org

直後に固定電話に電話がかかってきた。

大向大吉「嘘じゃねえって今度は。夏バッパ、いくら呼んでも返事しねえんだよ。」

茫然自失の娘春子。夏の自宅からかけたので救急隊員の様子やかつ枝(木野花)が夏を心配して声をかける様子も聞こえたからだ。大吉からのメールは嘘ではなかったのである。

天野アキ「どうしたの? ねえ、ママ、バッパ、どうしたの?」

春子は決断し、電話を切った。

天野春子「アキは気にしなくて大丈夫だから。私、ちょっと行ってくるわ。水口、今日、頼むね。」

慌てて出ていく春子を見て

水口琢磨「どうしたんですか?」
黒川正宗「うーん。お母さんが倒れたらしいんだ。」

さてアキはというと

天野アキ「おらも行く。」
天野春子「アキ!」
天野アキ「夏バッパのそばにいて、おらも帰る。」

スリージェープロダクション社長の天野春子は所属タレント天野アキにこう告げた。

天野春子「おばあちゃんはママがついてるから大丈夫。アキはアキの今やるべきことをがんばんなさい。」

風雲急を告げる中、春子は夏の見舞いへ、アキと水口はオーディションへと向かったのであった。