おつきあい(あまちゃん)

あまちゃん 第21週「おらたちの大逆転」第122話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

映画『潮騒のメモリー』のオーディションでGMTのメンバーと再会したアキ(のん)。無頼鮨にそのまま行った。カウンターに座った一同。水口(松田龍平)と正宗(尾身としのり)もいた。GMTのメンバーは寮の場所がバレたので転居したという話になり、週刊誌に好き勝手書かれているという話になり、そこから、アキの場合はどうかという話になり、さらに入間しおり(松岡茉優)が無邪気にこう言い出した事から話がおかしく、もとい、面白くなってきた。なおこの場に小野寺薫子(優希美青)はいなかった。

入間しおり「彼氏できた?」
天野アキ「え?」
入間しおり「そっちの方は派手にやってますか?」

目の前でワサビを擦っていた種市(福士蒼汰)は気が気ではなかったようで、擦る手が止まらなくなってしまった。

天野アキ「そうでもないか。」
水口琢磨「おい、おい、おい。君達、お父さんいる前でそんな。」

真相を知る水口は止めにかかったのだが

黒川正宗「(無邪気に)派手にやってるのか、アキ?」

右手をマイクに見立てて突き出した。入間しおりも突き出した。種市はもちろん、気が気ではない。

喜屋武エレン(蔵下穂波)「岩手の観光協会のイケメン。」
遠藤まな(大野いと)「ストーブさん?」
入間しおり「告白でもされましたか?」

アキは黙ったままだったが

遠藤まな「というか、もしかしてえ。(種市を指差し)憧れの先輩?」

あんらあ。正宗は鬼の形相で種市を睨みつけた。

入間しおり「どっちにしろさ、地元の先輩ですよねえ。」

さらにGMTのメンバーは『地元に帰ろう』まで歌って囃し立てた。梅頭はチラッと種市を見て、正宗は鬼の形相である。

♪好きです、先輩、覚えてますか

とりあえず

種市浩一「迷惑になるんで、静かに。」

ところがGMTの暴走は止まらない。真相を知っていた水口はとりあえず冷静を装っていた。梅頭(ピエール瀧)は種市に何か合図した。種市はまたワサビを擦り出した。歌がピークに達したところで、遂に

水口琢磨「(カウンターを叩いて)そんなわけないじゃん!」

GMTのメンバーは歌をやめた。

水口琢磨「やばいでしょ、恋愛して9時間寝てたら。そんなアイドル、やばいっしょ。引退して田舎帰った方がいいっしょ。彼氏とかいませんからあ。CMの契約あるし、向こうの。向こう1年は受験が恋人ですから。」

するとこんな攻撃を喜屋武ちゃんがしてきた。

喜屋武エレン「水口はどうなわけ?」
水口琢磨「え?」
喜屋武エレン「アーキのこと、どう思っているわけ?」
入間しおり「だってさあ、流石にちょっとは恋愛感情がないと独立なんかしませんよねえ、ねえ、ねえ。」
黒川正宗「(鬼の形相で)そうなの?」
入間しおり「どうなんですか? どうなんですかあ?」

この想定外の攻撃に対する水口の反応は

水口琢磨「勘弁してくださいよ。」

なんと酒を飲み始めてしまった。

種市浩一「水口さん、運転…」

すると水口はこう言い出した。

水口琢磨「ちょっと来いよ。」

水口は種市を外へ連れ出した。さーて、ここから恐いやりとりが行なわれるのである。

入間しおり「まさか、決闘? アキをかけて決闘?」

そういう話ではないのだが、GMTのメンバーも野次馬根性で外へ出ようとしたが

黒川正宗「まま、やめなさい、やめなさい。男同士なんだから、ね。」

最悪の事態は防がれたようだ。

さて水口は種市に土下座してこう言い出した。

水口琢磨「この通りだ。何も言わずにアキちゃんと手を引いてくれ。」

種市は驚いて座り込んだが、今度は水口は立ち上がって、こう尋ねた。

水口琢磨「実際、どうなの、二人は?」
種市浩一「どうって、付き合ってますけど。」
水口琢磨「そんなの知ってるよ。舐めんなよ。」

この恐ろしい言葉を聞いて種市の表情が凍りついた。続けて水口は尋ねた。

水口琢磨「だから、程度の話してんだよ。なあ、言ってみ。どこまで行った、二人は? 怒らないから言ってみ。」

このさらに恐ろしい質問に対する種市の答えは

種市浩一「まだ、何も。」
水口琢磨「まだ何も?」
種市浩一「目茶苦茶怒ってんじゃないですか。」

水口の恐ろしい質問、というか、警告はまだ続く。

水口琢磨「まだって事は、いずれ、どこかまで行こうとしているって事ですよねえ、先輩。南部ダイバー先輩。それが明るみになったらどう報道されると思います? 清純派天野アキ、交際発覚、お相手は一歳年上の一般男性。予備校のCMは打ち切られ、違約金を払わされ、当然、映画のヒロインの話も立ち消え。あーあ、大損害だぜ、一般男性。いっぱーんだーんせーい。ルパン三世。」
種市浩一「酒臭いですよ。」
水口琢磨「何してくれたんだよう。大事な時期によう。おいら、いっぱーんだーんセーい。」

とそこへアキがやってきた。

水口琢磨「ごめん、ごめん。お会計ね。」
黒川正宗「もうしましたけど。」
水口琢磨「じゃあ、タクシーで帰りましょう。」
黒川正宗「タクシーって、君飲んでるだろう?」
水口琢磨「(正宗の)タクシー置いて(別の)タクシーで帰りましょう。」
黒川正宗「そうだね。」

こうして種市への警告は終わりが見えたのだが、水口はトドメの一撃(大門豊談)をしっかり放った。

水口琢磨「じゃあ、頼みますよ、一般男性。」

とりあえずアキは「大丈夫?」と尋ねたが

種市浩一「ああ、僕は。ああ、それより、バアちゃん無事(夏の手術成功の知らせがあったこと)でよかったな。」

と言い、さらに

種市浩一「大事な時期なんだ。」
天野アキ「んだ。でもいいんだ。生きてる限り大事じゃねえ時期ねんてねえじゃん。先輩と付き合っている今だっておらにとって大事な時期だべ。」
種市浩一「(デレっとして)天野。」
天野アキ「仕事も先輩もどっちも大事だ。」
種市浩一「(声が大きくなって)天野!」

思わずアキが「シーッ!」と口に右手の人差し指を当てた。いい雰囲気だと思ったのだろう。水口がみたら激怒するぞー、と思うのだが種市が何かしようと近寄るとアキは後退りして拒否した。

天野アキ「今はちょっと。」
種市浩一「いづする?」
天野アキ「いつって、今は決めらんねえ。」
種市浩一「じゃあ、いつ決める?」
天野アキ「また今度。」

いつの間にか『南部ダイバーの歌』のメロオケ(?)が流れる中、梅頭はその様子をジッとみていた。それに種市に気がつき

梅頭「タクシー来ましたけどー。」

という言葉でおつきあいの話は終わった。

この後、鈴鹿ひろ美と太巻が実は一緒に住んでいると梅頭から聞き、驚く入間しおり、遠藤まな、喜屋武エレンであった。