検知 その5(あまちゃん)

あまちゃん 第21週「おらたちの大逆転」第123,124,125話(脚本:宮藤官九郎、演出:梶原登城 (C) NHK)より

二次審査を終えたアキ(のん)は母の春子(小泉今日子)が夏(宮本信子)の見舞いに北三陸へ行き、父の黒川正宗(尾身としのり)がタクシーの給料を取りに出かけたので、「家には誰もいない」と種市浩一(福士蒼汰)を家に連れてきてしまった。要するに自宅に二人っきりの状態となったわけである。種市は20歳になっていたのでビールを飲むといい、さらに

種市浩一「その前にシャワー借りていいか?」

と言って浴室に入ってしまった。とその時、自宅、というかスリージェープロダクションの電話がなった。思わずアキは出てしまった。

天野アキ「もしもし。」
天野春子「ママだけど。」

後ろめたいところのあるアキは「うわあ」と叫んでしまった。この時、春子は北三陸の天野家にいた。

天野春子「うわあって何よ。元気?」
天野アキ「なんなんなんの用だ?」
天野春子「あんたに用はないの。事務所の留守電聞こうと思っただけ。」
天野アキ「じゃあ、出なきゃ良かったのか?」
天野春子「もう遅いけどね。で、どうだったの、審査。」
天野アキ「うーん、まあまあだな。ジェジェ。」

なんと種市が服を脱ぎかけで事務所に来ていた。慌てて受話器を押さえるアキ。種市はシャンプーとリンスを持っていた。

種市浩一「あ、ごめん。どっちがシャンプーでどっちがリンスだ?」
天野アキ「(受話器を押さえたまま)泡の出ない方がリンスだ。」

とりあえず種市は浴室へ戻った。アキはまた電話に出て話した。

天野アキ「もしもし。」
天野春子「誰かいるの?」

この当然すぎる質問に対してアキはこう言って誤魔化した。

天野アキ「あ、うん。水口さん。」
天野春子「あ、そ。遅くまでご苦労様あ。」

アキは取り繕うためにこう言った。

天野アキ「ご苦労様あ、だってえ。」

そして

天野春子「じゃあね。おやすみ。」

こうして一回目の電話は切れた。

それからしばらく経ち、アキと種市が色々と話をして、アキが浴室に入った後、春子から電話がかかってきた。留守番電話を再生するためである。そして再生されたのは1時間前に大喜びの水口がガラケーでかけてきたこの電話。

水口拓磨「もしもし。水口ですー。後で携帯にもかけますが、アキちゃん、最終選考、残りましたあ。というわけで今日は事務所に寄らずにそのまま帰りますね。(これを聞いた春子の表情が変わる)御報告でしたあ。」

春子は気がついた。

天野春子「ん! ん! ん! 『今日は事務所に寄らずにそのまま帰る』」

その頃、無頼鮨では水口が上機嫌で一人で寿司を食べていた。水口のガラケーがなった。上機嫌の水口は電話に出た。

水口拓磨「あ、もしもし。今ですか? いや、お寿司食べてます。ちょっとなんか、気が大きくなっちゃって。ふふ。え? え! なんで?」

当然お分かりだろうと思うのだが、電話は春子からのもの。スリージェープロダクション社長の春子は部下でマネージャーの水口にこう言った。

天野春子「いいから、事務所に戻って。今すぐ。お願い。」

電話が切れた後、水口は念の為、無頼鮨に種市がいるかどうかを確認。いないようだ。そして梅頭に尋ねた。

水口拓磨「大将、今日、あの若造、なんでいないの?」
梅頭「種市? 9時であがったけど。」

何が起きたのかを瞬時に悟った水口は梅頭にこんな理不尽な事を言った。

水口拓磨「何やってんだよ。」

その勢いに気圧されて

梅頭「すいません。」

と謝ったのだが、水口が正宗に連絡をとりながら出て行くのを見送った後、別の客にこう言った。

梅頭「今、なんか謝ることありましたっけ? ないですよねえ。」

この後の展開は想像がつくかと思うけど、詳細は映像などでご確認を。