フィクションなどから拾う情報処理用語? その94 補償(必殺仕置屋稼業)

必殺仕置屋稼業 第4話「一筆啓上 仕掛が見えた」(脚本:中村勝行、監督:大熊邦也 (C) 松竹)より

あの昼行燈の中村主水が書類を調べていた。そこへ通りかかったのは与力 村野様(宗方勝巳)だ。以前のネタでは厳しい処分を伝えていたが、ああ見えて中村主水には目をかけていた節がある。後の田中様とは大違い。実は所謂前期必殺シリーズでは上司の入れ替わりが激しいのだ。それはさておき

村野「お、相変わらず精が出るのう。」
中村主水「お陰様で、これが私の生き甲斐でございまして。」

とまあ感心する村野様であったが

村野「で本日は何を調べとる。」
中村主水「は、役宅にこの月割(要するに住宅ローン)にてうちを増築いたしましてなあ、その増築の途中、支払いが済まぬうちに火事で焼けた場合、全額奉行所から補償が出るのでございますか。」

あのう。確かにこの頃、火事が頻繁に起きていた(実は本筋はこちらだがこのネタにはこの程度しか関わらない)のは確かだが、仕事中に何をしているのかね、主水は。そして答えは

村野「あー、しかし、焼け損、焼かれ損であろうなあ。」
中村主水「あー、ちょっと無茶苦茶ですなあ。」

当然の事ながら

村野「(大声で)中村!」
中村主水「は。」
村野「つまらんことを調べるより、柳橋の腰巻き泥棒の目鼻はついたのか?」

そんな仕事をしていたのかね、主水さん。

中村主水「(慌てて頭を下げて)間もなく。」

村野は立ち去ったが

中村主水「腰巻き泥棒か。どっちへ転んでもくだらんねえ。」

道理で出世できなかったわけである。