フィクションなどから拾う情報処理用語? その149 費用(必殺仕掛人)

必殺仕掛人 第6話 「消す顔消される顔」(脚本:山田隆之、監督:松本明 (C) 松竹)より

妙(田代千鶴子)と直吉(石山律)には過去があった。妙は文殊屋多左衛門(三國連太郎)の娘で直吉は手代だったが駆け落ちしたのだ。直吉はわざと邪険な行動をとって妙に愛想をつかせて文殊屋へ帰そうとまで考えていたのだが、それを妙も見抜いていた。その文殊屋殺しを請け負った事もあって梅安は否応なく妙と直吉夫婦に関わらざるを得なくなってしまった。
さて直吉は女殺し屋(キャッシー)に殺されかけたが、そこへやってきた梅安、西村左内、そして岬の千蔵の妨害で助かり、女殺し屋は舌を噛んで自害した。さて女殺し屋は誰が差し向けたのだろうか?
実は仏の多左衛門と呼ばれていた文殊屋にも裏の顔があった。風が強くなった夜に番頭の音次郎(西沢利明)とこんな会話をした。

文殊屋「音次郎。」
音次郎「へい。」
文殊屋「強くなってきたようだなあ、風が。」
音次郎「乾ききっておりますし、今夜あたり、ジャーンと鳴ったら、江戸の半分は灰になりましょう。やりますか?」

文殊屋殺しを音羽屋が引き受けた理由もこれから語られるのだ。

文殊屋「今夜、何もかもみんな片付けてしまう。」
音次郎「何もかも?」
文殊屋「安い物は買う物ではないなあ。」
音次郎「は?」
文殊屋「いや、10両では安いと思って話をつけた女殺し屋がしくじった。」
音次郎「じゃあ、あれは旦那が!?」

音次郎も初耳だったのだろう。なんとあの女殺し屋は文殊屋が雇ったのだ。安物買いの銭失いとは言うけれど、それなりに費用をかけないとああなってしまうのだ。さてついでに会話は続くので載せましょう。

文殊屋「直吉さえ殺せば、お妙は帰ってくると思ったが。」
音次郎「旦那、女殺し屋が仏になってくれたから良かったようなものの、捕まって口でも割られたらどうするんですかい。そういう危ないことは他人に任せるもんじゃありません。」
文殊屋「音次郎、お前はやっぱり私の跡目だな。」

実際の文殊屋の跡目がどうなるのかは映像で確認してほしい。藤枝梅安と西村左内が尽力して丸く収まるのである。