フィクションなどから拾う情報処理用語? その187 バックドア(必殺仕掛人)

必殺仕掛人 第11話「大奥女中殺し」(脚本:國弘威雄、監督:松野宏軌 (C) 松竹)より

今回の頼みは大事だ。

音羽屋半右衛門「兎に角、今度の頼みは江戸城御本丸大奥3000人の奥女中を束ねる筆頭年寄り浦尾(磯村みどり)を殺してくれという頼みだ。」

無理でしょう。流石の音羽屋もそう思い、「この仕掛け料は今までになく高い」としか言わなかったのに千両積まれていた。なおこの直前に浦尾が折檻しておみの(丘夏子)を殺してしまったことは付け加えておこう。

藤枝梅安「やれないと言われるとどうしてもやってみたくなる性分でしてねえ。難しい仕掛けなら仕掛けだけにあたしは腕を奮ってみたいと思います。」

西村左内も仕掛に取り組むことになった。

音羽屋半右衛門「取り分はいつものように四分六。良いですね。この仕掛けはきっと頼みましたよ。」

だが

音羽屋半右衛門「あと四十九日の間に。」
藤枝梅安「あと四十九日。」
音羽屋半右衛門「そうだ。四十九日の間にな。」

と言うわけで困難な仕事に取り掛かることになった。さて通常の手口では入り込めるわけがないので仕掛人はあの手この手を使って潜入するのである。抜け道というかバックドアは結構あるものだ。順番にあげましょう。

  • お城の絵図面を入手
    音羽屋があの手この手で入手し、梅安、左内、千蔵、万吉が観る。
  • 宿下りした「奥女中」から話を訊き出す
    岬の千蔵が奥女中おこん(宮前ゆかり)を連れ出して梅安と左内が甘味処で話を聞く。ただし、おこんは「おすえ」すなわち下女。炊事洗濯をするだけ。お目見え以下なのでそれなりに「3年の間に6日ほど」宿下りが可能。守秘義務もあるので聞き取りは困難を極めたが、肉親が病気であるときは出られる事、代参の情報と、おみのが折檻された後、亡くなったという情報を入手。
  • 御用商人のいかり屋と一緒に七ツ口まで入る
    音羽屋半右衛門が偵察。奥女中に物を売りつつ、絵図に描かれている印(朱色の丸)が番所を指す事を知る。伊賀者 尾瀬(伊吹剛)との恐いやりとりもあった。
  • 増上寺(や上野の東叡山)への代参を利用
    前将軍の命日に浦尾が来るという情報を岬の千蔵が入手したので西村左内が予め潜入して襲うが、肝心の浦尾は急用ができて来なかったので失敗。おゆき(国景子)からそれを聞き出し(顔は一切見られていない)、命からがら左内は逃げた。
  • 瓦版に載っていた、江戸城の御金蔵から盗み出した盗人の手口を利用して侵入
    西村左内が情報を入手。数年前の事件なので「まさか同じ経路を使って入るとは思えまい」という心理に突け込む。この手口で藤枝梅安が城内へ侵入成功。あとは浦尾を探すのだが困難を極める。
    後に伊賀者の追手を防いで梅安を逃すため、西村左内が城内へ侵入し成功。
  • 大掃除の畳替えを行なう時を利用して侵入
    櫓の万吉が畳職人に扮して侵入。梅安との接触に成功。梅安に重要な情報(肥船が入る日の関係で期限が早まったこと、しかも当日!)を伝える事に成功。梅安が必死で探索し、入浴した後の浦尾がおゆきを襲うところで顔も名前も確認した上で、見事、仕掛けた。
  • 葛西の船が肥桶船で脱出
    月1回、大百姓が肥を運び出す。その肥船を借りる。櫓を漕ぐのは音羽屋半右衛門。肥の中に藤枝梅安と西村左内が入って脱出。

とまあ大変だったのだが、なんとか仕掛けは成功したのであった。